【6月26日 AFP】ドイツの保守派政権は、地中海で移民を救助している団体への資金提供を停止すると外務省筋が25日、明らかにした。野党は「人道危機」を悪化させる可能性があると警告している。

前政権で、緑の党のアナレーナ・ベーアボック氏が率いた外務省は、アフリカから欧州を目指す移民を救助しているNGOに多額の財政支援を行っていた。

5月に政権を握ったフリードリヒ・メルツ首相率いる中道右派「キリスト教民主同盟(CDU)」は、この措置を批判している。

外務省筋によれば、政府は昨年、移民の救助を行うNGO「SOSヒューマニティー」や「SOSメディテラネ」などに200万ユーロ(約3億4000万円)を拠出。今年の第1四半期には、海難救助に携わる複数のNGOに約90万ユーロ(約1億5000万円)の資金援助が行われていた。

外務省筋はAFPに対し、「政府は民間の海難救助に関わるNGOへの財政支援を打ち切る方針」だとした。

メルツ新政権は、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭に対抗するため、不法移民の取り締まりを推し進めている。

緑の党は、CDUおよび連立政党の中道左派・社会民主党(SPD)による「破滅的な決定」と批判。

同党のブリッタ・ハッセルマン議員はAFPに、「予想されたことだが、連立政権は地中海の人道危機を悪化させる」と主張した。(c)AFP