米CPI、9月は予想下回る伸び-FRB追加利下げへの論拠強まる
Mark Niquette-
コア指数上昇率は前月比0.2%、予想0.3%-前年比では3%、予想3.1%
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エネルギー除くサービス価格0.2%上昇、住居費の伸びも減速
9月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回る伸びにとどまった。米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては来週の会合以降も利下げを続ける余地が生まれる可能性がある。今回の統計は政府機関閉鎖の影響で発表が遅れていた。
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今回の予想を下回る数値は、追加利下げに慎重な複数のFRB当局者にとっても歓迎すべきサプライズとなった。FRBは来週の会合で利下げを実施すると広く予想されているが、12月のさらなる利下げ判断を後押しする可能性がある。
9月のCPI統計は当初10月15日に発表の予定だった。10月1日に政府閉鎖が始まって以降、米労働統計局(BLS)は大半の業務を停止しているが、今回のCPI発表に向けて職員を呼び戻していた。社会保障庁がこのデータを使って翌年の受給者向け生活費調整(COLA)を決定できるようにするためだ。
CPI発表を受けて、S&P500種株価指数は上昇。米国債利回りは低下した。円は対ドルで一時上昇に転じたが、その後は再び値下がり。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン氏らは「今回のCPIは政府閉鎖以降初めて公表された主要政府データ。十分に低調な内容で、今月と12月の0.25ポイント利下げを確実にするものだ」と指摘した。
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食品とエネルギーを除く財の価格は伸びが減速。中古車価格の下落などを反映した。一方、家具調度品や娯楽品など関税の影響を受けやすいカテゴリーは上昇した。衣料品の価格は1年ぶりの高い伸びを示した。
エネルギーを除くサービス価格は0.2%上昇。航空運賃の伸び鈍化を一部反映した。住居費の伸びも減速。前月は年初以来の大幅上昇となっていた。持ち家のある人がその家を賃貸する場合の想定家賃である帰属家賃(OER)はわずか0.1%上昇と、2021年1月以来の小幅な伸びにとどまった。OERはCPI全体の約4分の1を占める。
家計費関連の動向はまちまちだった。食料品のインフレは鈍化したものの、シリアルやノンアルコール飲料など主要品目の価格は伸びが加速した。ガソリン代も上昇加速。一方、自動車保険料は下落した。
関税の影響
関税によるインフレ圧力はこれまでのところ、多くのエコノミストが懸念していたほど大きくないが、一部のエコノミストや政策当局者は関税が物価押し上げ要因として作用し続けるとの警戒心を崩していない。
こうした傾向は、9月の一部民間指標にも表れていた。キッチンキャビネットや布張り家具などの家庭用品を対象とした、トランプ大統領による最新の関税措置は今月発効したばかりだ。一部の小売企業は値上げを警告している。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、オリバー・アレン氏は「企業はこれまで、関税によるコスト上昇分を利益率で吸収し、消費者への価格転嫁を抑えてきた。しかし、今後数カ月にその負担分を価格に反映させる動きが進む可能性が高い」と指摘した。
エコノミストの間では、9月CPI統計の信頼性について大きな懸念はなかった。データ収集が政府閉鎖前に完了していたためだ。しかしBLSはその後は新たな物価データを収集できておらず、政府予算案を巡る議会での対立が続けば、10月分の統計やその後数カ月分のデータにも影響が及ぶ恐れがある。
ホワイトハウスはこの日、今なお続く政府閉鎖の影響により10月のインフレ統計を発表できない可能性が高いとの見解を明らかにした。
予算の未承認により実地での調査ができず、「極めて重要なデータが得られない」とホワイトハウスはX(旧ツイッター)に投稿。情報が公表されないのは「前例のない事態だ」と指摘した。
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BLSの報道官は「予算が再び確保され次第、BLSは通常業務を再開し、統計公表予定の変更を発表する」と電子メールでコメントした。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Inflation Data Comes in Soft, Building Case for More Fed Cuts(抜粋)
— 取材協力 Chris Middleton, Reade Pickert and Jarrell Dillard