阪神 北海学園大・工藤をリストアップ メジャーも熱視線の最速159キロ右腕 球種も豊富、中継ぎもOK
阪神が今秋のドラフト候補として、北海学園大の工藤泰己投手(21)をリストアップしていることが14日、分かった。北海道出身の剛腕は、4月23日の北海道ガスとのオープン戦で自己最速159キロを記録。先発だけでなく中継ぎとしても評価は高く、メジャーからも熱視線が注がれている。さらなる投手王国へ、ドラフト巧者の虎がマークを続けていく。
“虎の恋人”が北の大地にいた。北海学園大の剛腕・工藤だ。虎の「工藤」と言えば、育成指名から支配下を勝ち取った「泰成」が1軍で奮闘中。偶然にも虎は同姓の工藤泰己にも熱視線を送っていた。
工藤は5月2日の札幌学生野球春季リーグ・星槎道都大戦で6回2安打、10奪三振、無失点と快投。メジャー2球団を含む多数のスカウトの前でポテンシャルの高さを披露した。阪神も現地でチェック。担当の葛西スカウトは「ストレートに力があり、球種も豊富。真っすぐの制球が安定してくれば完成されてくるのでは」と評価していた。変化球はスライダー、カーブ、フォークなどを操り、先発だけでなく、中継ぎとしても魅力的な逸材だ。
札幌市出身の工藤は北海高を経て、北海学園大へ。大学入学と同時に頭角を現し、4月23日の北海道ガスとのオープン戦では自己最速159キロをたたき出した。自身のインスタグラムではピッチングに加えて、ウエートトレに励む動画をアップするなど、意識の高さをうかがわせる。
そんな剛腕は虎の補強ポイントに当てはまる存在だ。今季も投手陣はリーグ屈指の陣容を誇る。同学年コンビの村上、才木の両右腕が先発の軸を務め、ドラフト1位・伊原(NTT西日本)や門別、富田ら若手左腕も開幕ローテ入り。中継ぎ陣では、守護神・岩崎、昨季の最優秀救援投手・桐敷をはじめ、及川も開幕から17試合連続無失点と好投を続ける。
左腕王国を形成する一方、20代前半の右投手はやや手薄だ。昨年は今朝丸(報徳学園)をドラフト2位で獲得。だが、6年目・西純は2月に右肘の手術を受け、3年目・茨木もケガで別メニュー調整。2年目の津田も伸び悩む。
中継ぎでは石井はセットアッパーとして10ホールドを挙げ、湯浅も復活の兆しを見せているが、助っ人のゲラ、ネルソン、巨人から新加入した畠、昨季35試合に登板した岡留も2軍再調整中。漆原もコンディション不良で離脱してしまった。
今秋のドラフト会議では右のスラッガーの創価大・立石正広内野手(4年)や、健大高崎の最速158キロ右腕・石垣元気投手(3年)らが目玉に挙がる。独自の戦略を練り、ドラフト巧者と呼ばれる虎。他球団の動向を注視しつつ、道産子右腕の成長を追っていく。
◆工藤 泰己(くどう・たいき)2003年9月29日、21歳。北海道札幌市出身。175センチ、82キロ。右投げ右打ち。小3から常盤ハリケーンで野球を始め、常盤中では軟式クラブチームの「T・TBC」でプレー。北海1年春から捕手としてベンチ入りしたが、1年秋に投手転向。3年春夏に甲子園出場も登板はなし。北海学園大では1年秋にデビュー。最速159キロ。