私たちは持続可能な社会の実現に向けて、事業による生態系への影響に配慮し、持続可能な調達、廃棄物対策および水資源・生物多様性の保全に努め、地球環境保全の取り組みを進めます。
LINEヤフーグループでは、資源循環の観点からサーキュラーエコノミー(循環経済)を促進するためのサービスを提供しています。これらのサービスを通じて、資源を効率的に使用しながら付加価値を生み出すと共に、資源消費の最小化、廃棄物の削減に取り組みます。また、社内におけるリデュース・リユース・リサイクルを推進することによって、温室効果ガスの排出量削減を含めた環境負荷の低減につなげています。
LINEヤフーが提供する、1999年9月にサービスを開始した日本最大級のオークションサービス「Yahoo!オークション」、誰もが手軽に売買できるフリマサービスとして2019年10月に開始した「Yahoo!フリマ」は、モノの価値を最大化できるプラットフォームを目指し、安心して楽しくリユースできる場を提供しながら廃棄物削減に役立っています。
また、ZOZOが提供するブランド古着のファッションゾーン「ZOZOUSED」では、衣料品の買取および販売を行うことで廃棄物削減に取り組んでいます。衣料品を回収する際には、クリーニングすることで繰り返し利用できるリユースバッグを導入するなど、循環型ファッションの確立を目指していきます。
ファッション業界における課題である大量廃棄を解決するために取り組みを開始した生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO」では、これまで手作業でおこなっていた工場での作業をデジタル化し、複数の異なるデザインの商品を同時並行で生産可能にする独自のシステムを開発することで、最低1着から生産をおこない、商品を受注してから最短10日で発送しています。お客様からZOZOTOWN上で商品を受注した後に生産工程に入るため、過剰在庫による売れ残りリスクゼロで販売でき、商品のバリエーションを豊富に揃えることが可能になります。
アスクルでは、商品の設計・企画から製造、販売、使用後の再利用、資源化・再商品化にいたるまでの商品ライフサイクル全体を通じ、バリューチェーン上のあらゆる主体と連携した資源循環の取り組みを促進するため、2022年4月に「アスクル資源循環プラットフォーム」を立ち上げました。
クリアホルダーは何回か使用されたあとは捨てられてしまうのが現状ですが、「環境省令和2年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」の実証実験において、単一素材かつほぼ同一形状であることからも実は資源循環に適したプラスチック製品であるということが確認できました。限りある資源の有効活用、CO2の削減、そしてアスクルの販売者としての責任を果たすため、提供事業者の皆様に使用済みクリアホルダーを提供いただき、再資源化・再製品化する資源循環を実現していきます。
アスクルではLoop Japanと共に、飲料や食品、洗剤などの容器を捨てずに再利用する仕組みの構築に挑戦しています。アスクルで商品を購入・使用いただいた後、容器を回収し洗浄・再充填を行い、リユースした商品を再度購入いただけます。本取り組みを通じて、廃棄物と廃棄コストの削減やCO2の削減を目指していきます。
アスクルでは商品廃棄ロス削減を目的とした取り組み「Go Ethical」を2019年11月に「LOHACO」内のサービスとして開始しました。従来様々な理由により販売前にメーカー側で廃棄されていた商品を、作り手であるメーカーと共創しながら、品質に問題のない商品を廃棄することなくアウトレット価格で販売しています。取り組みでは、商品の廃棄ロスを削減するとともに、サステナブルな暮らしやエシカル消費が広がる中での購買の選択肢として、お客様の環境配慮ニーズにも応えることが可能と考えています。2023年11月からはASKULでもBtoBのお客様向けにサービスのご提供を開始しました。メーカーやサプライヤーとの共創を強化し、サプライチェーン全体での廃棄ロス削減に取り組んでいきます。
ZOZOでは配送用資材において廃棄量削減につながる取り組みを進めています。商品を梱包する資材は複数のサイズを用意し、商品サイズに合わせて適正サイズの資材を選択できるシステムを導入することで過剰梱包を防いでいます。また、プラスチック素材の緩衝材を再生紙100%に変更することで、廃棄段階における環境への配慮も行うことができます。
※ 一部ワレモノ等に関しては、プラスチック素材の緩衝材も使用しています
LINEヤフー(当時ヤフー)は2022年11月、使用済みIT資産の再生・再利用を実現するため、ヒューレット・パッカード エンタープライズ社の提供するHPE Asset Upcycling Services(AUS)を採用しました。
これまでは、不要になったIT機器を撤去・廃棄する際、ハードディスクなどの記憶媒体はリユースせず外部装置により破壊して廃棄してきましたが、今後は破壊せずデータ消去を行うのみとなるため、再利用が可能となります。破壊の廃止にともなうセキュリティリスクについては、AUSにより、LINEヤフー専用のロック可能な格納庫、密閉型トラック、GPS追跡、ルートレポートなどプロセス全体にわたる対策が講じられます。
これにより、IT資産の再利用とセキュリティ対策を、ともに進めることが可能となります。
従業員へノートパソコンやタブレット端末を配布し、会議資料のパソコン閲覧やプロジェクター活用、業務のオンライン化などにより、印刷する書類を大幅に削減しペーパーレス化を推進しています。
東京・紀尾井町オフィスでは、全館LED照明を導入し消費電力の削減、ゴミの15分別によるリユース・リサイクルを推進しています。社内レストランにおいては、同じ食材を使用して毎日メニューを変更するなど、食べ残しを減らすフードロス対策も実施しています。
また、各オフィスで発生する使用済み書類については、専用のリサイクルボックス「保護(まもる)くん」や機密文書の回収処理システムを活用して、機密保持とリサイクルを両立し、森林資源の保護に取り組んでいます。
LINEヤフーが運営するデータセンターでも、UPS(無停電電源装置)のバッテリーリサイクルを推進しています。
実施項目 |
2021年度
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2022年度
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2023年度
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紙リサイクル |
199本相当の森林伐採抑制
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105本相当の森林伐採抑制
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423本相当の森林伐採抑制
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LINEヤフー(当時ヤフー)では、コロナ禍で従業員の働き方が大きく変わり、オフィススペースの最適化が進むと同時に従業員の自宅の執務環境向上へのニーズが高まったため、通常のリサイクルに加えて一部のチェアと液晶モニターの従業員向け販売を実施。2020年から2022年にかけて、日本各地の従業員向けにチェア1,277脚、モニター374台を提供しました。また2020年から2021年には、オフィスへの出社人数の減少によって過剰となった災害用の備蓄食糧34,650食分を外部団体に寄付し、フードロス削減につなげました。
LINEヤフーグループでは、自然環境、地域、未来社会との調和を図る企業として、持続可能な形で未来世代に引き継げる取り組みを行ってまいります。
生物多様性保全投資額 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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7,685万円 | 10,500万円 | 400万円 |
LINEヤフーが運営するネットオークションサービス「Yahoo!オークション」では、ユーザーに買い物や取引を楽しんでいただくために多種多様な商品を取り扱う一方で、法令の遵守に加え、当社が不適切であると判断した商品については、ガイドラインを作成し、これに基づいて運営をしてきました。
象牙については従来、種の保存法に照らして国内で適法な取引の機会を提供してきました。しかし、「Yahoo!オークション」を通じて、国内にて取引された象牙が、その後外国へ違法に持ち去られ、外国の税関で摘発される事件が複数例報告されたため、象牙取引を巡る国際情勢や環境団体からの助言も踏まえ検討した結果、2019年11月1日より、LINEヤフー(当時ヤフー)のeコマースサービスにおいて、全象牙製品の取引を禁止しました。
また生き物については、関係省庁の協力も仰ぎながら運営を行い、生き物を愛好する方に取引を楽しんでいただける場としてサービスを提供してきました。一方で、絶滅の恐れがある生き物の取り扱いについては、さまざまなご意見をいただき、継続的な協議も重ねてきました。その中で「Yahoo!オークション」での取引が、絶滅の恐れのある生き物の種の存続に影響を与える可能性を重く受け止め、レッドリストにおける絶滅危惧種、準絶滅危惧種の対象となる生き物を2022年9月29日より、出品禁止物に追加しました。
2017年8月より、環境省と経済産業省も支援する地球温暖化防止に向けた取り組み「国立公園・世界自然遺産カーボン・オフセットキャンペーン」に賛同し、国立公園および世界自然遺産の保全活動に参加しています。
このキャンペーンは、国立公園周辺で使用されるエネルギーや排出されるCO2を、省エネ・再エネ設備導入や森林管理によって削減・埋め合わせ(=カーボン・オフセット)をし、その活動を広く伝えることで、地球温暖化防止に向けた行動を喚起するための取り組みです。
LINEヤフー(当時ヤフー)がキャンペーン事務局を通してJ-クレジット(※1)を購入。その半額が、国立公園や世界自然遺産の保全のための活動に役立てられ、残額もクレジット創出団体(※2)に還元され有効に活用されました。
※1:省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を、「クレジット」として国が認証するもの
※2:温室効果ガスの排出量削減や吸収量増加に取り組む団体や企業。「J-クレジット」創出団体は、排出削減量や吸収量に応じて算定された「クレジット」を売却し、設備のランニングコストの低減や新たな省エネ投資に活用できる
LINEヤフーはYahoo!ネット募金にて、生物多様性保全を目指す活動への寄付を受け付けています。2021年4月には、特定非営利活動法人エバーラスティング・ネイチャーと、アオウミガメの保全のための募金窓口を、2021年7月には、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)と、大規模な火災によりコアラなど多くの野生生物が犠牲になったオーストラリア東部の森林保全を目的とした募金窓口を開設し、それぞれ80万円と、200万円を超える寄付を集めています。
「Yahoo!ネット募金」では、ほかにも多くの生物多様性保全活動への募金窓口を開設しており、寄付を通じて生物多様性保全に貢献しています。
LINEヤフーは、生物多様性の保全と地域貢献を目的に、東京・紀尾井町オフィスのある東京ガーデンテラス紀尾井町が進める「都心の貴重な緑地をつなぐエコロジカル・ネットワーク(生態回廊)の形成に貢献する街づくり」に協力し、ビオトープ(生態環境)整備による生物多様性の保全と再生の取り組みを行っています。 具体的には、オフィス周辺の皇居内濠で棲息が確認されているホタルを身近な自然復元の象徴として、紀尾井町のビオトープでも棲息できるような環境構築を2016年6月から推進しています。
これらの活動を核として、LINEヤフーと(株)西武リアルティソリューションズ 東京ガーデンテラス紀尾井町は「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しています。
アスクルのグループ会社である嬬恋銘水は、群馬県嬬恋村で四阿山の豊富な水資源を利用したナチュラルミネラルウォーターの製造販売を行い、アスクルにおいても同社製品を販売しています。水資源を将来に渡って保全していくためには周辺の森林整備が不可欠とされていることからも、嬬恋銘水のある嬬恋村周辺の森林整備の必要性を認識し、「アスクル・ 嬬恋銘水・嬬恋村の森林整備連携協定」締結に至りました。森林資源の保全につながる事業をはじめ、植林活動を通じた森林保全への理解の促進、体験学習などの活動を共に実施し、嬬恋村の森林をはじめとする環境保全や地域活性化に寄与していきます。
気候変動の影響による海洋環境悪化により、サンゴが死滅しています。この現状に対して親会社であるソフトバンクは、温暖化対策や生態系維持などの環境保全に取り組むため、サンゴの植え付け面積世界一を誇る沖縄県・恩納村や、多数の企業・団体とともに、「未来とサンゴプロジェクト」を立ち上げました。LINEヤフーでは、Yahoo!ネット募金でサンゴの苗を植え付けるための寄付を募る、「サストモ」で実状を発信する、といった協力活動を行なっています。
自然共生サイトとは、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」あるいは地域生物多様性増進法に基づく「実施計画」が環境大臣より認定された区域であり、地域が有する生物多様性価値が認められた区域です。
田島山業「みんなの森」は大分県日田市に位置する丁寧に手入れされてきた森で、スギの大木、自生する広葉樹など多様な生態系が広がっており、その生物多様性価値は自然共生サイトにも認定されています。LINEヤフーは、この「みんなの森」で実施した生物多様性調査に協力しており、この活動と実施効果は環境省が発行する「支援証明書」としても認定されています。
アスクルでは、2005年6月にFSCのCoC認証を、2010年5月にPEFCのCoC認証を取得し、森林認証製品の開発や取り扱いに力を入れています。コピー用紙やノート、伝票などの紙製品をはじめ、主要な木製家具シリーズにおいて森林認証製品を揃えるなど、紙製品や木製品を扱う販売者として「責任ある調達」を進めています。また、アスクルオリジナルコピー用紙では、商品のロット番号を元に、どのような木からコピー用紙が作られたのかを追跡することが可能です。
ZOZOにおいても、お客様への配送時に使用している段ボールはFSC認証を取得したものを使用しています。
2019年、環境NGOレインフォレスト・アクションネットワークから、持続可能性に配慮した調達基準を満たさない紙を生産する業者から調達するリスクについてのエンゲージメントがありました。調査した結果、該当する業者との間接的な取引が認められたため、「環境への配慮」「労働安全衛生の確保」などを旨とした、取引先評価基準を満たす業者へ調達先の変更を行いました。
水資源は、気候変動課題や生物多様性の保全とも関連する自然資本の保全上の重要項目と認識し、事業活動における水使用量の削減、水源の保全、水リスクの管理と対処に努めてまいります。
財務・非財務報告を行なっている連結対象グループ会社の拠点182箇所(重複して入居する拠点は1カウント)の地域について、水リスクの確認を行いました。
※ 2024年6月実施
拠点数 | 拠点数割合 | |
---|---|---|
日本 | 149 | 81.9% |
アメリカ | 8 | 4.4% |
韓国 | 7 | 3.8% |
台湾 | 5 | 2.7% |
中国 | 4 | 2.2% |
シンガポール | 3 | 1.6% |
ベトナム | 3 | 1.6% |
タイ | 1 | 0.5% |
香港 | 1 | 0.5% |
インドネシア | 1 | 0.5% |
調査拠点合計 | 182 | 100.0% |
分析には世界資源研究所(WRI)のWater Risk Atlasツールを活用し、主に水に関する「全体リスク(Overall water risk)」「水ストレスリスク(water stress risk)」「将来リスク(Future risk)」の項目を中心に定期的に確認しています。
拠点数 | 拠点数割合 | 国別内訳 | |
---|---|---|---|
Extremely High (4-5) | 1 | 0.55% | インドネシア1 |
High (3-4) | 10 | 5.49% | 中国4、アメリカ3、ベトナム3 |
Medium - High (2-3) | 2 | 1.10% | タイ1、香港1 |
Low - Medium (1-2) | 160 | 87.91% | 日本145、韓国7、台湾5、アメリカ3 |
Low (0-1) | 6 | 3.30% | シンガポール3、アメリカ2、日本1 |
No data | 3 | 1.65% | 日本3 |
合計 | 182 | 100.00% | ― |
調査を行った182拠点のうち、約82%の149拠点を日本国内拠点が占め、売上規模では国内売上が90%以上を占めています。国内拠点の多くは「Low - Medium (1-2)」であり、総じてリスクは低く、事業への影響は小さいと認識しますが、国内拠点の多くが川沿いの平野や海岸部などの低地に立地し、気候変動に伴う集中豪雨や洪水、高潮等のリスクがあると認識しています。
なお、水ストレスリスクHigh(リスク割合40%)以上の拠点として、海外4カ国における計7拠点に該当がありました。これらのエリアには人口集中、渇水/干魃リスクがあり、要配慮エリアであると認識しています。リスク規模は以下のとおりです。
High(40-80%)以上の拠点の事業への影響度 | FY2023グループ売上規模比 |
---|---|
4カ国、計7拠点合計 | 0.1%以下 |
また、2050年における将来リスクも同時に確認を行い、High(リスク割合40%)以上に該当するエリアが確認されました。これらのエリアにおいては、中長期的な水没/洪水リスク、渇水/干魃リスク、水質的なリスクなどが懸念されることから、今後も節水、省エネに努めつつ、リスク顕在化の事態への備えを作りながら事業の継続性確保に努めてまいります。
LINEヤフーグループの取り組みとして、事業拡大に伴う水使用量を2030年までに2022年度比で10%削減することを目標に、水源の涵養に努めます。
水使用量(m3/百万円) | 基準年(2022年度)※ | 2023年度実績 | 2030年度目標 |
---|---|---|---|
0.376 | 0.367 | 0.338 |
※ 2022年度水使用量及び排水量について一部再集計のうえ修正しました。(2024/5)
グループでもっとも水を利用している用途は、データセンターでの冷却・加湿用の水と、事業所での生活用水に大別されます。うち、事業所については、職場生活に必要な量のみを消費しており、ビルシステムによる雨水利用なども行うことでさらなる節制に努めています。
データセンターについては、再利用率の高い工業用水を利用するなど、毎年の計画に基づいて利用しており、資源の枯渇につながるような過度の環境負荷は与えておりません。排水についても、用途が冷却や加湿が中心であるため、汚染につながることはありません。これらの管理・監督は、担当当局と連携しながら適切に行い水資源の保全に努めています。
今後も継続して水リスクの変化をチェックする体制を敷いており、各種水リスクが高いと判断された場合には、適切な対策を講じて参ります。
総支出に占める水道費の割合 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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0.002% | 0.003% | 0.006% |
※ LINEヤフーにおける水道費の割合を、販売費および一般管理費を総支出として算出
LINEヤフーのデータセンターでは、施設が拡大更新されていくごとに最新の省エネ型、節水型での導入を進めています。水が必要となる冷却システムには、外気を活用した空調システムを採用したり、大量の冷却水を必要としない空冷チラーを採用するなど、引き続き節水に努めていきます。
LINEヤフーグループは、親会社であるソフトバンクとともに、環境データの客観的な評価および算定の信頼性を高めることを目的として、一般財団法人日本品質保証機構による第三者検証を受審しました。
詳細は以下のリンクをご確認ください。