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manmosのトモ近況 | スラド
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manmosさんのトモダチの日記。

今週も投票をしましたか?

13923204 journal
日記

taka2の日記: 家庭用の4Kビデオカメラで60p撮影できない… 2

日記 by taka2

ちょっと前から、ハンディカムの調子が悪い
(機能的には問題ないけど、液晶のヒンジが壊れたのがグラグラ)

子供の運動会に向けて、
どうせなら4Kのに買い換えようかなと情報集めてたら、
4K対応カメラってどれも30pなのね。キヤノンは出してたみたいだけど、もう販売終了。
今は60iで撮ってるから、フレームレートが半減するのは残念すぎる。
60pが撮れるようになるまでは、フルHDで十分だなもう。

じゃあ買い換えはやめて、修理に、となるとハンディカムは定額で25000円ぐらい。一方、フルHDの新品が今はキャッシュバックキャンペーンやってるので35000円ぐらい。この値段差だと修理に出す気になれない。

などと、いろいろ悩んでたんですが、
結局、中古でHDR-CX675(一つ前の型。現行モデルとはメモリの違いだけ)を25000円で見つけたので購入。これで明日の子供の運動会が本番。

今まで60iで撮ってたのは動画をとりながら静止画撮影もできるから(60pだとできない)なんだけど、今回の機種は手ぶれ補正が強力になったかわりに静止画撮影ができなくなったので、せっかくなので60pで撮る予定。

13918582 journal
日記

phasonの日記: 水の二相モデルは幻か?:新たな実験結果 3

日記 by phason

"Absence of amorphous forms when ice is compressed at low temperature"
C. A. Tulk, J. J. Molaison, A. R. Makhluf, C. E. Manning and D. D. Klug, Nature, 569, 542-545 (2019).

水というのはかなり特異な振る舞いを示す液体である.例えば通常は固体は液体より密度が高いのに氷は水より密度が低かったり,融解後に昇温とともに密度が増加する(4 ℃で極大)など,他の物質ではなかなか見られない変わった挙動はよく知られているだろう.これだけなら氷で見られる水分子の水素結合による四配位構造が昇温とともに崩れていく,というだけで説明できるのだが,実は水にはほかにも低温で比熱や圧縮率に発散傾向が現れたり,粘性率に異常が生じたりとさまざまな異常を示し,これら全てを説明するのは現在でも困難である.そんななか生まれた一つの仮説が,「液体の水には二つの異なる構造があり,我々が目にする『水』はこの二つの相がミクロ&動的に入り乱れている」というものだ.

発端は日本の三島らによる高密度アモルファス氷(High Density Amorphous ice,HDA)の発見だ.微小な水滴などを極低温の基板に降らせると液体の水が急冷され,液体の構造を保ったまま固まってしまう.このようにしてできるアモルファス氷は比較的低密度であることから,Low Density Amorphous ice(LDA)と呼ばれる.通常の水が低温でどのような構造をとるのか?ということを知りたかった三島らは,氷の融点が加圧により低下することに注目,十分低温であっても,圧力を印可していけば融点が下がり液化するに違いない,と実験を行ったのだが,そこで発見されたのは結晶性の氷が高圧の印可によりアモルファス構造の氷となる,という実験結果であった.このアモルファス氷は圧力を抜いた後もその構造を保ち続けることが可能であり,しかも通常の氷から加圧だけで作れるためその後多くの実験が行われることとなる.
三島らはこの結果を「通常の氷(ice-Ih)が加圧により融解し超過冷却液体となり,そのまま瞬時に固化してアモルファス氷となった」と解釈した.ここで重要であったのが,この新たなアモルファス相は以前に知られていたLDAよりも明らかに高い密度を持ち(ゆえに,高密度アモルファス氷,High Density Amorphous ice, HDAと呼ばれる),温度を上げると分子運動が活発になった結果としてそれまで知られていた低密度アモルファス氷へと明確な一次転移を示したことだ.これはHDAとLDAが異なる相であることを示唆していた.アモルファス状態(液体のような乱雑の構造のまま低温で分子の動きが鈍り,固体化した)が2種類あるということは,そのもととなる液体の構造が2種類存在する可能性を示している.

さらにその後Pooleらが過冷却水の分子動力学的シミュレーションを行い,過冷却水の安定構造として2つの異なる相があるのではないかと報告した.一方は氷に近い4配位構造を持ち,隙間が多いために低密度である(Low Density Liquid,LDL相).もう一方は水素結合が部分的に壊れ3配位に近くなり,崩れたネットワーク構造の隙間に水分子が入り込むことによる高密度の液体(High Density Liquid,HDL相)となる.
これとHDA,LDAの実験結果を組み合わせることで,液体の水について以下のような仮説が提出されている.

・液体の水は,低温において3配位の高密度構造HDLと,4配位の氷に近い構造を持つ水である低密度構造LDLの異なる相を取り得る.
※そのまま急冷すると,その構造のまま固まったHDAとLDAの異なるアモルファス相を生じる.
・実は室温付近の水というのは微視的にはこのHDLとLDLが分離し,大きなスケールでは混合している状態である.
・温度が上がると,LDLの比率が下がりHDLの比率が上がる.
・塩類などを溶かすと,そのイオンの周囲ではHDL構造があり,周囲のLDL相とは異なる構造となっている.

「均一に見える水が,実は内部では分離した2液の混合物である」というのは非常に刺激的で面白い仮説であり,しかもさまざまな実験結果を統一的に説明できることから大きな注目を集めた.そして実際のそれら2種の液体間の相転移を見よう,という試みもいろいろとされたのだが,

・2液が相分離する臨界点の温度(の予想位置)が低すぎる.このため,高温側から温度を下げていくと先に結晶化してしまい,それだけ低温の過冷却液体が得られない.
・逆に急冷して作ったアモルファス相の温度を上げていく(低温側から近づく)と,ガラス転移温度を超えると同時に液化 → 結晶化が起こりやはり過冷却液体にはならない.

という問題があり,純粋な水においての液液相転移の観測には成功していないのが現状である.
#そして,この「超低温の過冷却状態の温度領域」は,誰も到達できていないことから「No man's land(未踏領域)」と呼ばれている.

さて,そんなわけで三島らの実験以降徐々に市民権を得てきた水の二相モデルであるが,異論も多い.特に問題とされているのが,氷に圧力を印可することで生じたHDA相が本当に水の安定相なのか?という点である.まずそもそも,三島らの実験条件で通常の氷Ihが融解すると予想されていた圧力域は,実際にHDA相が生じた圧力よりももっと低いため,実はあの実験は高圧の印可により氷Ihが壊れ,別の氷の相に移行する過程に過ぎないのではないか,という指摘は以前からあった.
※氷は圧力・温度で非常にさまざまな構造をとることが知られており,17種類以上の結晶構造が知られている.

また,圧力印可時の位置による圧力の微妙なばらつきや,急激に圧力をかけることによる不完全な構造転移なども指摘されており,また近年では理論計算の側からも「液体の水に2つの相はないのではないか?」という話も出てきている.

今回の論文の著者らは,通常の氷である氷Ihにできるだけ均一かつゆっくりと圧力を印可した結果,三島らが報告したようなHDA相への転移は確認されず,別の結晶系の入り乱れた構造を経由して最終的に結晶質のIce-VIII'相への転移が観測された,ということを報告している.

実験の内容そのものは「実験しやすいように重水使って,ゆっくり均一に圧力かけました.構造は中性子回折で見てます」以上のなにものでもないのだが,100 Kにおいてice-Ihに十分ゆっくり圧力を印可するとまずice-IX'に転移する.そしてそれがice-XV'を経由し,その後ice-VIII'相へと転移することがわかり,その途中でHDA相は生じなかった.実はice-VIII'相というのは分子が2グループに完全に分離し,それぞれが作る水素結合のネットワークが完全に分離,互いのネットワークの隙間を貫通しあっているような構造である.これは全体がつながった1つのネットワーク構造を持つ通常のice-Ihやice-IX'からは直接遷移できず(何せ,ひとつながりのネットワークが,2つの互いに交差する別のネットワークに再構築されないといけない),そのため途中であちこちで水素結合が切れたようなice-XV'を経由する必要があるためにおこる変化だと考えられる.
全く同じような加圧を,同じ温度で,ただしもう少し素早く行うと,ice-Ihはいきなり構造が崩れHDA相となり,その後Ice-VII'相へと変化することが確認された.
これらの実験結果が示唆しているのは,これまで「ice-Ihを圧縮すると,別な安定構造な液状構造であるHDLを生じ,その分子運動がそのまま凍結することでHDA相になる」という結果を真っ向から否定する実験結果である.HDA相が生じるのはそれが安定相だからではなく,単に「本当ならice-VIII'相になりたいのに,そのためには水素結合ネットワークの大規模な再構築が必要になって,早い圧縮ではネットワーク再構築が間に合わないため別のごちゃごちゃな構造で固まってしまった」ということになるわけだ.

なんというか,これはまた盛大なちゃぶ台返しである.もしこれが事実だったとすると,水の二相モデルはその根拠としていた柱を失うこととなる.今後,水の二相モデルを支持するグループ,否定するグループそれぞれで活発な実験や計算が行われることとなるだろう.今後の展開に注目である.

13908148 journal
日記

taka2の日記: 泉佐野市など4自治体、ふるさと納税制度から外れる。泉佐野市は返礼率60%のキャンペーンを開始。 147

日記 by taka2

日記エントリはあったけどタレコミはなかったようなので書く。
あと、泉佐野市の新ネタあり。返礼率60%ってなりふりかまってないよなぁ…

「最大Amazonギフト券30%をプレゼント!300億円限定キャンペーン」
ってことは、1000億の寄付を集めるってことなんだから、返礼率60%でも400億円の収入。まあ、それだけあれば財政は再建できそうだし、たとえ地方交付金を打ち切られても、たかだか年14億円だしおつりがくり感じか。
(地方交付税の金額を間違えてたので修正。タレコミの方は間違えたままだ…)
日記兼用タレコミだけど、一応タレコミの文体。
---
6月からふるさと納税の新制度が始まるが、泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の参加は認めないとのこと。
(日経産業新聞Yahoo!ヘッドライン)

これらの自治体も5月31日まではふるさと納税制度は有効。これを受けてか泉佐野市は返礼率60%のコースを新設している。(ねとらぼ泉佐野市のふるさと納税特設サイト)

関連ストーリー: ふるさと納税で注目を集める大阪府泉佐野市、公式サイトのアクセスが急増しつながりにくくなる

13896523 journal
日記

TarZの日記: 最小おもしろおかしいモデ問題 2

日記 by TarZ

#3606032

残念、すべっちゃいましたね。

 いま。、ココロの中で粛々と反省会をやっているところなので、追い打ちはやめてくださーい。うっうっうっ。

 このキャンペーン、私の感覚ではド直球で先のコメントの元ネタ(巡回セールスマン問題)に結びつくのですが、1000店舗や2000店舗くらいの規模だと、頑張ればやってやれないこともないので(←実際に店舗を回れるという意味じゃなくて、厳密解を出せるという意味で)、元ネタとの関連がわかりづらかったかもしれませんね! 100万店舗でチャレンジするキャンペーンが行われるときは、同じネタで再チャレンジします!

 なお、計算量に関して最近読んで面白いと思ったのが、武蔵野 Advent Calendar 2018のこちらの記事です。→ とても強い計算量クラスのコンピュータとその実現方法

13893790 journal
日記

TarZの日記: 「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」 11

日記 by TarZ

 タイトル↑でGoogle検索すると「けものフレンズ2」がサジェストされる昨今ですが、まさかスラドで目撃することになるとは…!

13878215 journal
日記

taka2の日記: 仕様は予告なく変更されることがあり…ました

日記 by taka2

無接点給電から、マグネットケーブルに移行の、もしかしたら続き。

Type-Cは不安定なため利用を断念したものの、microUSBについては非常に便利で、片っ端からマグネットケーブル化していったのですが、そのためUSB機器側のコネクタがちょっと足りなくなってしまいました。で、注文履歴からたどって、まったく同じ商品を追加購入したのですが…

最初に買ったものは、接点が

コネクタ側(メス):  [:::::]  (接点数10)
ケーブル側(オス):  [.....]  (接点数5、片方に寄ってる)

という形なのに対し、新たに届いたものは、

コネクタ側(メス):  [|||||]  (接点数5、細長い)
ケーブル側(オス):  [・・・・・]  (接点数5、中央に並ぶ)

と、接点の配置が変わってる…

外観はそっくりで、マグネットによる合体はどの組み合わせでも可能。
でも、旧コネクタ[:::::]と新ケーブル[・・・・・]では、端子の位置が合わないので、見るからに使用不可。。

新コネクタ[|||||]と旧ケーブル[.....]では、機構的には接点の接触はできそうなのですが
旧版はコネクタ側の10個の接点が、点対称に5本だけが接触することで、どちら向きに挿しても問題なく動作するものだと信じていたので、
向きを間違えたらショートして壊れるとか起きたりしそうで怖くて使えません…

まあ、これこそが aliexpress クオリティって感じもしますが、
「次に買おうと思った時には、同じ商品はもう扱ってない」ってレベルの想定はしてましけど、
「同じ商品を買ったつもりが、違うものが届く」というのは予想外。

さてはてどうしようかなぁ。今まで使ってたのを全部捨てて、
新しいケーブルで必要数全部買い直すのが安全そうですが…
なんか負けた感じがする…

13856887 journal
日記

phasonの日記: 適用範囲の広いインフルエンザ治療薬を目指して:広域中和抗体を模した小分子薬の開発 1

日記 by phason

"A small-molecule fusion inhibitor of influenza virus is orally active in mice"
M. J. P. van Dongen et al., Science, 363, eaar6221 (2019).

インフルエンザは身近な伝染病であるが,全世界では毎年平均して30-65万人の死者を生み出していると考えられている非常に強烈な病である.ワクチンなども製造されてはいるものの,インフルエンザウイルスは変異により免疫系を逃れやすく,その効果は完全ではない.
そんなインフルエンザの感染を考えるうえで重要となるのが,インフルエンザウイルスの表面に突き出しているヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる二つの糖タンパク質である.前者はウイルスが宿主の細胞にとりつく&中に取り込まれるために働く糖タンパク質で,後者は逆に細胞から外に出ていくときに働く糖タンパク質であり,インフルエンザウイルスはこの二つの糖タンパク質の種類(型)により分類される.例えばHAが5型でNAが1型のウイルスはH5N1と呼ばれる,というようなものだ.
このHAとNA,どちらもインフルエンザウイルスの感染に重要な働きをしているため,どちらかの働きを阻害できる分子が見つかれば治療薬として利用できる.ところがこれら二つの糖タンパク質はその末端部分に非常に変異しやす部位を持ち,ここがさまざまな異なる型に変異することで免疫系をかいくぐったり,薬剤を無効化したりしていることが明らかとなっている.

というわけで,インフルエンザは治療薬や予防薬を作ることが難しく,しかもワクチンもなかなか効果を発揮しにくい(何せ,免疫系が認識しやすい末端部の構造がころころ変わる)ことが知られているわけだが,近年,さまざまな異なる型のインフルエンザウイルスに対する抗体を持つ人がいることが明らかとなった.研究により,この抗体は例えばHA(こいつは軸の上に丸い頭がついた,こけしのような構造だと思ってほしい)であればその先端ではなく,軸の部分をターゲットとした珍しい抗体であり,この軸部分は多くのインフルエンザウイルスで構造が保持されている=変異がほとんどないことが明らかとなってきている.
HAの軸部分は,感染において非常に重要な役割を果たす.細胞内に膜につつまれた小胞として取り込まれた際に,この軸部分がpHの変化をトリガーとして変形し,それにより自身の膜と細胞の膜を融合させ,ウイルスの中身を細胞内に放出する.この重要な役割を担っているため,この部分には変異が生じにくいのだ(生存にとって構造が重要な部位なので,下手な変異が起こるとそもそも感染できなくなる).したがって,この軸部分をターゲットとした薬剤が開発できれば,さまざまなタイプのインフルエンザに共通して使える治療薬となる可能性がある.

※このため,この「軸部分」を量産して体内に導入することで免疫系に覚えさせ,汎用のインフルエンザに対する免疫(広域中和抗体)を作らせよう,というような研究もある.
実際に見つかった汎用の抗体も,HAの軸部分のとりつきそのpH変化による変形を阻害することで機能を発揮できなくし,感染を防止しているとみられる.

さて,インフルエンザの治療薬を作ることを考えると,飲み薬タイプの薬剤が利便性が高い.ところが現在見つかっている広域中和抗体などはタンパク質ベースであり,そのまま服用しても消化されてしまい効果を発揮できない.
できれば,同様の働きをしつつ,消化器系から吸収される小分子の開発が望まれる.
今回報告された論文は,多数の分子からのスクリーニングにより,そのような小分子を見つけさらに改良した,というものになる.

著者らはまず,HAの軸部分をターゲットとした汎用の抗体として働くCR6261をスタートとした.この分子はHAの中でもグループ1と呼ばれるもの(H1,2,5,6,8,9,11,12,13,16,17,18)の多く(前述のうち,H11,17,18以外)のすべてのHAに結合できるタンパク質である.著者らはこのたんぱく質の構造をベースに,もうちょっと単純なタンパク質分子HB80.4を開発した(このたんぱく質自体は薬剤として使うわけではなく,薬剤を見つけるために使用する).
標的であるインフルエンザウイルスのHAモデル分子としてH1の軸部分だけのタンパク質(以下,単にHAと呼ぶ)を量産,こいつと先ほどのHB80.4とにそれぞれペアとなる分子(受光体および蛍光体)をくっつける.これにより,HAとHB80.4が結合している状態で680 nmの光を当てると,HAにくっつけた部分の効果で活性酸素が発生,それが近傍のHB80.4にくっついた蛍光体を光らせることで615 nmの光が出てくる系を構築した.
この系を多量に作成し小分けにして,さまざまな異なる候補分子をそれぞれに加える.もし候補分子がHAの標的部位(=HB80.4がくっついている部位)に強くくっつく能力(これは,HAを無効化するうえで最低限必要な能力である)があれば,既に結合しているHB80.4を押しのけてでも吸着し,その結果HB80.4が放出されるはずである.すると,発光体がHB80.4とともに外れてしまうわけだから,励起光を当てても光らなくなる.
これを利用して,約50万種の化学種ライブラリーから,HAの標的部位に吸着できる小分子およそ9000が選別された.この9000種をさらに,本当に目的部位に吸着しているのかどうかのチェック(例えば,単にHB80.4を壊すような分子であっても蛍光は消えてしまう)により300に絞った.
こうして得られた300種の構造を検討すると,ベンジルピペラジン骨格を持つ分子が多く,その中でも特にJNJ7918と呼ばれる分子の活性が高いことが明らかとなった.これが目的通りHAの軸部分に結合しているのかを確かめるために,インフルエンザウイルスのHA(軸部分だけではなく,頭の部分もある)との結合をチェックし,HAの頭部分に結合する薬剤と競合しない(=JNJ7918が結合しているのはHAの頭部分ではなく,軸部分である)ことも確認した.

こうしてスタート物質であるJNJ7918が発見できたので,いよいよ薬剤開発である.この分子のさまざまなところにいろいろな置換基を導入したバリエーションを開発,その有効性をチェックしたところ,分子にエーテルやエステル部位等を導入することで,さらに優れた活性を示す分子であるJNJ6715を開発することができた.この分子は元となったJNJ7918の30~80倍HAに結合しやすく,しばしば大流行を引き起こしているH1やH5型のウイルスに対する効果が30~500倍ある分子であった.
ただ,このJNJ6715は
・体内環境に近いほぼ中性の水に溶けにくい
・肝臓などでの代謝が起きやすく,半減期が非常に短い
という弱点があり,そのままでは使用できない.そこで代謝を受けやすいメトキシ基のCH3をCF3に変えて分解されにくくしたり,一部の芳香環をNを入れたピリジン環に変えるなどの改良を行いJNJ8897を開発,その後さらに活性を高めるために一部の置換基を変更し,最終的に彼らがJNJ4796と呼ぶ分子を完成させた.
この分子は細胞毒性も低く,ある程度水に溶け,そこそこ代謝されにくかったので,これを用いて実際のインフルエンザウイルスへの効果を調べる実験を行っている.

まず行ったのが,マウスを用いた実験である.一部の遺伝子を削ることでA型インフルエンザに対する感受性が非常に高くなっているマウスがあるのだが,これをH1N1型のインフルエンザウイルスに感染させ,その餌に混ぜ込むことで10 mg/kgや50 mg/kgなどの量のJNJ8897またはJNJ4796を1日2回投与,その効果を調べた.
薬剤を未投与の対照群ではおよそ7~11日程度でマウスは全滅したのだが,JNJ8897では10 mg/kgの投与で25%,50 mg/kgの投与で40%のマウスが21日目以降まで生存した.さらに改良したJNJ4796の投与では,10 mg/kg,50 mg/kgの投与でともに生存率100%と劇的な向上を見せており,このJNJ4796がH1N1ウイルスに対し大きな効果を発揮していることがわかる.
ヒトの気管支細胞を培養したものへの効果もチェックしており,培養中に各種濃度のJNJ4796を加えた際にインフルエンザウィルス由来のRNAがどのぐらい検出されなくなるかを見てやると,10 μMあたりから顕著にRNAの検出量が減少し(-90%減少),40~50 μMあたり(?)で99.9%以上減少するなど,ウイルスを減らすことができている.
また,各種の型のHAとの結合のチェックでは,作成したJNJ4796はグループ1のうちH1,2,5,6,11,13,16に結合することが確認できており,そこそこ広範囲に効果があるのではないかと期待できる(なお,グループ1のうちH8,17,18は未チェック,H9と12は結合せず).

というわけで,将来の汎用性の高いインフルエンザ治療薬(につながるかもしれない薬剤)の研究であった.
こういった薬剤を作る際のスクリーニングや改良などに関しては全く知識がなかったので,なかなか面白く読めた.

13852022 journal
日記

taka2の日記: Yahoo!メール大爆発 8

日記 by taka2

Yahoo!JAPANのメールを、自ドメインのメールアドレスに転送するようにしてるんですが
(主にYahoo!ショッピング・Yahoo!オークションの連絡メールの受信用で、あまり流通量なし)
昨日あたりからすでに読んだ覚えのあるメールがぽつぽつと再転送されてくるように。
あまり気にせずに放置してたんですが、今朝みたら24000通ほど届いてました。

送信時刻順にならべたら、
先頭が「ようこそYahoo!メールへ」って件名で2003年のメールが8通。
その後も、同じ件名が8つづつ並んでる…

Yahoo!メールのメールボックスを確認したところ、
そこには残ってないメールも転送されてる感じなので

「Yahoo!を使い始めてから今までに受け取ったメールが全部で3000通で、
削除したものも全てYahoo!のサーバには残っていて、
それを8倍にして転送しなおされた」って感じでしょうか…

…って、今みたら、まだまだ続々転送されてきてる…ヤバイ…

13836280 journal
日記

taka2の日記: 音痴 11

日記 by taka2

私自身、結構音痴の自覚はあります。ところが、先日の音痴テストでは「上から45%」という結果に。
「こんなテストあてにならないよなー」と思いつつも、
もしかして、意外と自分は普通なのかも、とも思ったりしてたんですが、

先日、下の子が100円ショップで縦笛を買いました。で、それを見た妻(小学校教諭)が、
「うわー、それやめてー。学校からの連絡でも、100均の笛はダメって言ってるんやでー」っと。

見るからに安っぽい作りですが、子供のオモチャにするぶんにはいいかなと思ってたんですが、
その笛で「ドレミファソラシド♪~」と吹いたら、妻と上の子が二人して「うわー、なにこの音ー、ひどすぎるー」と…
さもプロフェッサーギルの笛の音を聞くキカイダーかのようにもだえ苦しみだしました。

でも、私だけはまったく何も気になりません。どうひどいのかもさっぱりわからない。
やっぱり私は音痴だったようです orz

13834114 journal
日記

phasonの日記: 空間中にダイレクトに3次元物体を造形する:積層しない3Dプリンタ(再掲) 5

日記 by phason

なんかうちの一部のブラウザから見えなかったんでちょっと修正して再掲.
これで見えるだろうか……

"Volumetric additive manufacturing via tomographic reconstruction"
B. E. Kelly et al., Science, in press (2019).

Natureの記事経由.
3Dプリンタの開発と普及は多品種少量生産的な場における製造を大きく変えつつある.さてそんな3Dプリンタであるが,その仕組みは薄い物体を造形し,それが積みあがっていくことで三次元物体となる,という点はほぼ同一である.この手法はさまざまな三次元物体が作成可能である優れた手法ではあるのだが,積層の跡が残ってしまったり,物体の作成に非常に長い時間がかかる点,既に存在している物体の内部や周囲に物体を造形していくことが難しい点など,欠点も多い.
今回の論文で著者らが発表したのは,三次元の物体をダイレクトに三次元空間内に造形してしまおう,というものになる.

その威力は著者らが公開しているムービーを見ていただければ一目瞭然であり大変インパクトがあるので,まずは以下のムービーを見ていただきたい.動画はすべて論文のSupplementary Materialsにて公開されているものである.

Movie 1:溶液中に考える人を造形する
Movie 3:すでにあるドライバーの軸の周りに持ち手を造形
Movie 4:カゴに入ったボールをそのまま造形

さて,ではこの手法がどのように実現されているのかの説明に移ろう(気づく方は動画を見た段階でおおよそわかるだろうが).
著者らいわく,この手法はCTスキャンにインスパイアされたものとのことだ.
CTスキャンにおいては,さまざまな方向から物体に照射された放射線が体の各所で吸収され,その残りが検出器に届く.さまざまな方向から放射線を照射してその透過像をたくさん得ると,そこから逆算して元の物体のどの部分でどれだけ吸収が起こっていたかが計算できるというものだ(詳しくは「Radon変換」で調べていただけると,その具体的な計算法などの解説が見つかるはずだ).
このCTの逆過程を行っているのが今回の論文である.CTでは「立体的な物体による吸収が,無数の方向への投影像へと変換される」のに対し,今回の手法ではこれを逆転させ「無数の方向から見た投影像(に対応した強度の光)を各方向から照射すると,もともとの物体があった場所ほど多数の光が重なって,強い光を受ける」ということを利用する.
どうやっているのかを単純化して言えば,

1. 三次元物体をさまざまな方向から見た際の投影像を用意する.この時(その見ている方向に対し)「分厚い部分」ほど明るくなるようにする
2. 光が当たると硬化する粘性の高い樹脂を用意し,円筒形の管に入れる.
3. 円筒の表面で光が反射されないように,樹脂の入った円筒を屈折率がガラスに近い液体に丸ごと浸す.
4. 円筒をゆっくりと回転させながら,その時の角度に対応する投影像をプロジェクタで投影する.
5. すると,各方向からの光の積算量が多い部分=本来の三次元構造で固体になっている場所ほど多くの光を受け,硬化する.
6. その結果,もとの三次元構造を再現した立体が樹脂の液体中に自然に固まって生成する.

という流れになる.
現在のところ,分解能0.3 mm程度で三次元構造を作成可能であり,作成に要する時間は30秒~2分程度とかなり速い.また,硬化する樹脂がほぼ同じ密度の硬化前の樹脂中に浮いた状態となることから,橋状の構造などでもサポート材は不要であり,複雑な立体形状が一気に造形される.また,造形に積層を使用していないため,積層由来の跡などもなく非常につるりとした表面を持つ三次元物体が作成できる.光硬化樹脂の種類を選べば,弾力のあるゲル(ゴム状の物体など)なども綺麗に造形することができる.

アイディア勝負という感じの研究ではあるが,見た目のインパクトは非常に大きい.どの程度まで発展できるのかはこれからの検討次第というところもあるが,うまくいくとかなり大きな影響もありそうな造形法であった.

typodupeerror

物事のやり方は一つではない -- Perlな人

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