ゼロになるのは、国家が民間保険会社の代わりに保険業務を行う場合ですね。
しかし、国家が新たに保険業務を行う新たな仕組みの創設・運用コストがかかります。
その国家保険業務は、非効率なものになる可能性が高い。
民間と違って、競争がありませんから。
民業圧迫と言う意味でも、褒められた仕組みではありません。
一方、国家が税として徴収した自賠責保険料を民間に配るとなると、その仕組みが新たに必要です。
これにも創設・運用コストはかかります。
「徴収コストはゼロになる」かもしれませんが、それ以外のコストゼロではありません。
そもそも、国家が保険料を集めて民間が保険業務を行う、という仕組みって、具体的にはどんなものでしょうか?
保険会社と自動車の所有者の間の契約はどうなるんでしょうか?
そしてそれは、どのくらい上手くいきそうなんでしょうか?
どちらにせよ、それらの仕組みが必要なのは、あなたが目指す電気自動車普及までのそう長くない期間だけです。
そうまでコストをかけて創設した仕組みは、その後は無駄になるだけです。
徴税と補助金の二重制度化は、煩雑になるけれど、このような不合理を解消する施策として有効かと。
その仕組みが有効に機能しているのは認めます。
ただ、課税段階で軽減されていて、大した煩雑さが発生していません。そこが大きい。
一方、燃料への課税を強化しておいて、その後に補助金で還付する仕組みは、無視できない煩雑さがあります。
有効性かも知れませんが、煩雑さやそれに伴うコストまで考えて、釣り合うかどうか疑問です。
さらに、そうまでコストをかけて作った仕組みはやはり、電気自動車普及までの間のみ必要なもので、その後は無駄になります。
もちろん、旅客業務や物流に関わるのディーゼル車が多いので、軽油だけ課税段階から軽減するって手はあり得ます。
しかし、それはガソリンより環境負荷の大きいディーゼルの延命を促し、電気自動車普及を遅らせることになるでしょう。
全体的に言って、まったく無効ではないでしょうが、それより簡単で低コストな方法があるでしょう。
例えば、現状のまま単に旧来燃料車の自賠責保険料を値上げする等です。
あるいは、燃料への課税は強化するにしても、自賠責保険には全く手を付けない、というのもありでしょうね。