phasonの日記: ウィルスの変異は言語モデルで取り扱えるか? 4
"Learning the language of viral evolution and escape"
B. Hie, E. D. Zhong, B. Berger and B. Bryson, Science, 371, 284-288 (2021).
ウィルスは非常に変異を起こしやすい存在である.その理由は(RNAウィルスの場合)RNAポリメラーゼのエラー訂正機構が貧弱であることや,(1本鎖ウィルスの場合)単鎖ゆえのエラー訂正の効かなさであったりといろいろあるのだが,とにかくウィルスは変異が速く,それゆえ免疫系が一度覚えてもその網をすり抜ける変異種が現れがちなことはよく知られた事実であろう.
今回紹介するのは,そんな「ウィルスの変異による免疫系からの逃れやすさ」が,機械学習による自然言語モデルを用いて推測できる,という報告である.