phasonの日記: 階層的複合材料を用いた放射冷却布地
"Hierarchical-morphology metafabric for scalable passive daytime radiative cooling"
S. Zeng et al., Science, 373, 692-696 (2021).
昨今何かと話題の武漢にある華中科学技術大学などのグループによる研究.この大学は光関連でいろいろな研究を行っており,今回の論文もそのような研究の一つとなる.
"Hierarchical-morphology metafabric for scalable passive daytime radiative cooling"
S. Zeng et al., Science, 373, 692-696 (2021).
昨今何かと話題の武漢にある華中科学技術大学などのグループによる研究.この大学は光関連でいろいろな研究を行っており,今回の論文もそのような研究の一つとなる.
"Spectroscopic evidence for a gold-coloured metallic water solution"
P. E. Mason et al., Nature, 595, 673-676 (2021).
5族元素という系列(とか,周期表の下の方ほどイオン化エネルギーが小さいという流れとか)で見ると,喪失ってのも違和感はないかも.
・5族元素がもつ金属的な性質は,周期表を下がっていくとDbで失われる.
という感じの文章は自分でも使う気がしますし.
・どうやって地下が見えるのか?
マイクロ波(や,もっと波長の長い電波類)は地面に対してある程度侵入長があるので,減衰しながらも内部にまで浸透していきます.
このため,ある程度地下にあるものからの反射もディテクトすることが可能です.
マイクロ波を使ったこの手の探査では,少なくとも1~2 mほど地下までの情報は得られることがわかっています.
同様の探査は例えば月面や火星の地下探査でも用いられています(レーダーサウンダー).
特に波長の長い電波は非常に地下深くまで浸透するため,100 mを超えるような深度の構造を観測することも可能です.
(原理的にはキロメートル単位まで見れるのでは,とかいう話も聞いた覚えが)
・水道水と地下水をどう区別するのか
水道水は飲用にするためイオン濃度が非常に低くなっているため,誘電率がかなり小さくなります.
一方通常の地下水等はそれなりのイオンを含んでいる(ことが多い)ため誘電率が高く,マイクロ波の反射が微妙に強くなります.
どちらもただの乾いた土に比べると反射は強いのですが,微妙な差を見ることで一応区別はできるよ,という研究は見たことがあります.今回のも比誘電率で云々と書かれているので,まあ反射強度の差で区別しているのだと思います.
ただしその差はかなり小さいので,単に反射率の絶対値だけではなく,その形状やら分布の仕方やら得られる情報すべてを考慮に入れて,どっちの可能性が高いかを絞り出す,という感じだとは思います.
"Accidental synthesis of a previously unknown quasicrystal in the first atomic bomb test"
L. Bindi et al., Proc. Natl Acad. Sci., 118, e2101350118 (2021).
A widespread pathway for substitution of adenine by diaminopurine in phage genomes
Y Zhou et al., Science, 372, 512-516 (2021).
および
A third purine biosynthetic pathway encoded by aminoadenine-based viral DNA genomes
D. Sleiman et al., Science, 372, 516-520 (2021).
なるほど,一段目相当なんですが.てっきり二段目とかかと.
一段目を結構上までもっていくんですね.
日本のH-IIBなんかも,第二段の制御落下に関してはまだ試験中(10年ぐらいやっていたはず)で,実用的とまでは言えない状況.
今回の長征に限らず,上段は制御されずに落ちるのが基本では.大抵燃え尽きるから.
最近だとSpace-Xなんかも第二段の燃え残りが落ちてきてたりしますし.
ただ,Space-Xの例でもあるように時々燃え尽きずに落ちてくるので,何とかしたほうがいいかなあ,という議論はある.
(JAXAがHTVとかの打ち上げの際についでに制御落下実験をやっているのもそのため)
今週のScienceの記事経由でNatureのASAP論文(アクセプトされてオンラインでは公開されたけど,まだ巻号ページなどついてないやつ).
すでにいろいろなところで話題になっているが,ミューオンの異常磁気能率が標準理論の予測から外れているのでは?(=何らかの未知の物理があるのでは),という報告が出てきている.
これは物理学にとっては非常に素晴らしいことなのだが,ちょうど時を同じくして,「実は計算値の法が近似精度の問題でずれていて,ズレているという実測値は標準理論と一致するかも」という論文が出ている.
ということで論文を読んで……と言いたいところだが,さすがにこのレベルの計算の論文となると部外者にはさっぱりである.
曲がりなりにも読めるアブスト部分とか解説記事をまとめると,
"Three-dimensional nanoprinting via charged aerosol jets"
Wooik Jung et al., Nature, 592 54-59 (2021).
金属のナノ構造体は,その特異な電磁的な応答を利用してプラズモニックデバイス(*1)や光学的メタマテリアル(*2)への利用が期待されている.ただ,工業的に利用しようとなると「どうやってナノ構造を安価に量産するか?」というのは大きな問題である.特にメタマテリアルのように広い領域を覆う必要があるとなると,大面積に一気にナノ構造を作りこめるような製造手段が必要となる.
今回の論文で報告されているのは,真空チャンバー中に基板とそこから少し浮かせたマスクパターンを用意し,そこに向かって放電により発生させた金属ナノ粒子を吹き付けるだけでさまざまな立体的なナノ構造が作成できる,という論文である.
物事のやり方は一つではない -- Perlな人