torlyの日記: 本格的になくなってきた繊維 14
Oh, 金曜夕方とかいう週で一番一般ユーザのweb閲覧量が多いとされる時期…ってそりゃソーシャルメディアのことだったか。ともかく今日も普通のやり方では駄目だった。更新時間がこれなのは単に他のことで時間を奪われただけなので深い意味はない。
contriさんのトモダチの日記。 アナウンス:スラドは 2024 年 1 月 31 日で終了します。データ保存はお早めに。
Oh, 金曜夕方とかいう週で一番一般ユーザのweb閲覧量が多いとされる時期…ってそりゃソーシャルメディアのことだったか。ともかく今日も普通のやり方では駄目だった。更新時間がこれなのは単に他のことで時間を奪われただけなので深い意味はない。
2021年12月23日の日記の読者から、NDL古典籍OCR用RoBERTa-small ver.2という単文字日本語モデルをお教えいただいた。以前、私(安岡孝一)が作ったroberta-small-japanese-aozora-charを再トレーニングして、TrOCRのデコーダーに使っているらしい。とりあえず、当該モデルをGoogle Colaboratoryで動かしてみよう。
!pip install transformers
!test -f model-ver2.zip || curl -LO https://lab.ndl.go.jp/dataset/ndlkotensekiocr/trocr/model-ver2.zip
!test -d model-ver2 || unzip model-ver2.zip
from transformers import pipeline
fmp=pipeline("fill-mask","model-ver2/decoder-roberta-v3")
print(fmp("いと小さく[MASK]ゆるはいとをかし"))
「いと小さく[MASK]ゆるはいとをかし」を穴埋めさせてみたところ、私の手元では以下の結果になった。
[{'score': 0.16102387011051178, 'token': 95, 'token_str': 'み', 'sequence': 'いと小さくみゆるはいとをかし'}, {'score': 0.05442138388752937, 'token': 51, 'token_str': 'こ', 'sequence': 'いと小さくこゆるはいとをかし'}, {'score': 0.050991836935281754, 'token': 45, 'token_str': 'き', 'sequence': 'いと小さくきゆるはいとをかし'}, {'score': 0.04673411697149277, 'token': 75, 'token_str': 'に', 'sequence': 'いと小さくにゆるはいとをかし'}, {'score': 0.0423908531665802, 'token': 108, 'token_str': 'れ', 'sequence': 'いと小さくれゆるはいとをかし'}]
漢字の「見」ではなく、ひらがなの「み」を埋めてきているが、それでも素晴らしい。だとすると、たとえば拓本文字データベースと絡めて再トレーニングすれば、さて、何かできるかなぁ。
とうとう降雪。本格的に寒くなってきた。
昨日の日記は正常に保存できたのだが、今日はGoogle Analyticsの読み込みがなかなか終わらず日記フォームがレンダリングされるまで待たされた。うーん、そのうちスラド日記も携帯から更新の時代か。
一昨昨日の日記に関連して、アイヌ語の「イワイサルㇱペ」を調べていたところ、B・ピウスツキ『樺太アイヌの言語と民話についての研究資料<26>病弱な者でも有能な憑き神によって開運する由来話』(創造の世界, 第77号 (1991年2月), pp.138-145)に、以下の文章を見つけた(p.140)。
ネヤイケヘ そうしたら(ちょうど、そこへ)
アンポニウネ ぼくの年下の
ホㇱキラムフ 兄さんが
キラアニエㇸマヌ 逃げてやってきた。
オーポニ (よく見ると)その後を
イワイサルㇱカムイ 六尾をもつ神(という魔性のオオカミ)が
アンホㇱキラムフ ぼくの兄さんを
ノㇱパ 追いかけていた。
アノㇱキラムフ ぼくの兄さんを
アネソㇹキ ぼくは(わきに手早く)よけ(てやり過ごし)た。(夢中に兄さんを追いかける性悪のオオカミにぼくは目をすえて)
アヌッソロマレペ ぼくが(かねて)内ふところにしのばせていたものを
アヌイナマヌ ぼくは取り出した。
トイキエムシアニ (鞘を払い)トイキ(という名)刀で
イワイサルㇱペ 六尾をもつ(というオオカミの)奴を
アンタウケ ぼくはたたき斬った。
アルパㇵノㇱキケタ (みごと)ちょうど、ど真中を
アントゥイテㇸテ ぼくは斬(ってしま)った。
「虎」ではなく「オオカミ」らしい。Bronisław Piłsudski『Materials for the Study of the Ainu Language and Folklore』(Cracow: Imperical Academy of Sciences, 1912)の原文にあたってみよう(pp.239-240 [in Nr.27. Dictated (December 1903) by Nita aged 28 of village of Aj.])。
Nejàjḱehé am-ponínue hóśki rámhu kira ani éx manu, opóni ivaj-saruś kamúi an-hóśki rámhu nośpa. Anóśki rámhu anesóxki. An-usòmarepé anújna manu. Tóiki emuś-ani ivaj-saruśpe antáwḱe, arúpax nóśḱe-ḱeta antújtexte.
Meanwhile the younger of my elder brothers came running; following (and) pursuing my brother, (there came) a beast with six tails. I made way for my elder brother. I seized the thing in my bosom: with (my) earthen sword, I struck the six-tailed beast; just in the middle did I cut it in two.
原文は「虎」とも「オオカミ」とも書いていないようだ。日本語訳をおこなった藤村久和は「H・Y媼によれば、この動物はオオカミであって」としているものの、それを裏付ける他の文献が引用されているわけでもない。また、Piłsudski自身は、アイヌ語の「horoḱéu」を「wolf」と訳している(『Materials for the Study of the Ainu Language and Folklore』pp.199-213)。さて、どうしたものかな。
アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い