オンキヨーのタブレット端末、ウィンドウズ7の強み弱み フリーライター 1
(2011年08月9日)米アップルの多機能携帯端末「iPad」のヒットで参入が相次ぐタブレット端末。日本メーカーではオンキヨーが大手に先駆けて10年11月上~下旬に3機種を発売する。基本ソフト(OS)に 7インチ タブレット を採用し、ウィンドウズパソコンに慣れたユーザーを狙うが、仕上がり具合はどうか。機能や使用感などをiPadと比べてみた。
オンキヨーが発売する3機種は「ウィンドウズ7ホームプレミアム」を搭載するタブレット端末。今回試用した「TW317A5」はそのうちの最上位機種で、 Android タブレットPC ワイド液晶、半導体メモリーを使う32ギガバイトのSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を搭載する。直販サイト「オンキヨーダイレクト」での価格は6万9800円。3機種では唯一、米ブロードコムの動画再生支援チップ「BCM70015」を備え、フルハイビジョン(HD)動画の再生に対応させたのが売りだ。
指先でタッチパネルを操作するタブレット端末だが、普通のパソコンとしても使えるだけの外部接続用インターフェースを備える。USB2.0端子が左側面に2つ。IEEE802.11b/g/nの無線LANのほかにブルートゥースによる無線通信機能も内蔵し、必要に応じて有線や無線でキーボードやマウスをつなぐことができる。プロジェクターや大画面テレビなどに簡単に接続できるミニHDMI端子も装備している。
OSの起動中や起動後に表示される画面は、ウィンドウズパソコンと同じ。電源ボタンを押してからOSの起動が終了するまでの時間は1分20秒だった。ウィンドウズ7には現在の状況をメモリーに保存して低消費電力モードに移行する「スリープモード」がある。スリープモードに移行するまでの時間は約10秒、復帰までは約2秒なので、いちいちシャットダウンせずスリープモードを活用するといいだろう。この点はiPadも同様だ。
指を使ったタッチパネルの操作方法はiPadとあまり変わらない。画面のスクロールは指先を上下に滑らせる。拡大・縮小は2本の指を開いたりつまんだりする。1本の指を軸にしてもう1本を動かすと画像が回転する。
ウィンドウズ7搭載端末に共通する課題
操作のしやすさは、タッチ操作を前提としたiPadに軍配が上がる。これはTW317A5に限らずウィンドウズ7を搭載するタッチパネル端末に共通する問題だ。
一方、ウィンドウズ7にはパソコンと同じソフトでファイルをやりとりできるというメリットがある。ビジネスパーソンにとってオフィス文書の表示互換性は重要で、マイクロソフトの「Office」をインストールできるTW317A5は、仕事で使うのには向く。
操作上の難点は、例えばワイヤレスマウスをつなげるだけでだいぶ軽減する。TW317A5のUSB端子に普段使っているマウスのレシーバーユニットをつなげたり、ブルートゥースで認識させたりすれば、細かい操作は通常のパソコンのようにマウスポインターでできる。使い慣れたパソコンに早変わりするのもウィンドウズ7を搭載するメリットだ。
2つのタブレット端末を使い比べた結果、ウェブや電子書籍の閲覧、電子メールやスケジュール管理といった用途ではiPadのリードは揺るがないと感じた。ただ、少し複雑なことをしようとすると、ウィンドウズパソコンに慣れた人にすればTW317A5のほうが使い勝手がいいはず。iPadはもちろん、米グーグルのOS「Android(アンドロイド)」を搭載するタブレット端末との競争も控えるだけに、マイクロソフトはタッチパネルに最適化したウィンドウズOSの開発を急ぐ必要がありそうだ。