誤った選択のツケ
―棄てられた遊園地―
サン「……ここがエネルギー発生源の一つ………」
アザル「見事に何もありませんね」
マモ『本当か?Mk-Ⅱは未だその地点からエネルギーを感じ取っている』
サン「正確な座標をお願いします」
マモ『了解だボス…………?これは一体……』
サン「……マモ君?」
アスモ「ぅ………うぅ……!」
ベル「アスモ?どうしたんですか?」
アスモ「ベル様……ここイヤです。体が……ビリビリして……うぅ…!」
マモ『エネルギーの発生源の正確なポイントだが……お前たちの上空だ』
サン「上空……」
ビービー!ビービー!……ピッ
ラスカ『こちらラスカ。サン、アビドス砂漠のポイントに到着した』
サン「何かありましたか?」
ラスカ『いやこっちは何も…』
??『ちょっと、もういいでしょ?手離してよ』
サン「?誰かいるのですか?」
ラスカ『あぁ、ちょっとな……危なっかしいやつでな。目を離せないんだ……』
??『はぁ?私のどこが危なっかしいの?お節介はいい加減にしてよ』
ラスカ『わかったから、少し静かにな、ミサキ。……それでサン、こっちには何もない。ただ……』
サン「……『ただ』…?」
ラスカ『カイザーのクソ共が、慌ただしく何かをやってやがる。ふざけやがって……』
サン「無暗に手を出してはいけませんよ?」
ラスカ『わかってるよ。……それより、どうする?』
サン「……引き上げてください。カイザーに見つかると厄介です」
ラスカ『わかった』
プツッ
サン「………不在着信?………もしもし?」
連邦生徒会役員『副会長!繋がってよかった…!』
サン「会議は順調ですか?」
連邦生徒会役員『それが…!せ、先生の行方が…!』
サン「……はい?」
連邦生徒会役員『先生をお迎えに上がったのですが…シャーレに先生の姿はなく………ど、どこに行かれたかご存知ではありませんか!?』
サン「……アザル君、先生から何か連絡はありましたか?」
アザル「あたしには何も……」
連邦生徒会役員『……副会長…?』
サン「……先生の行方は、私(わたくし)の方で捜索します」
連邦生徒会役員『わ、わかりました!代行にもそのようにお伝え―――』
プツッ
サン「?もしもし?…………電波が……どうして突然圏外に……アタン、貴女のスマホはどうですか?」
アタン「(ゴソゴソ)……変ですね。あたしのスマホも圏外です」
アスモ「うぅ………うぅあっ!」
サン「……一先ず、シャーレに向かいましょう」
―――――
――――
―――
――
―D.U.―
サン(さっきから地震が立て続けに……リン君や、他の役員たちとも連絡が取れなくなってしまいました………アスモ君も倒れてしまいましたし……)
アタン(くっ!アスモ…重くない……重くはないハズなのに……!あたしよりちょ~っと身長大きいくらいなのに……どうしてこう重く感じるんですかっ!)
ビービー!ビービー!
サン「……番号非通知……」
ベル「サン様?」
サン「とにかく、出てみましょう(ピッ)」
??『ごきげんよう連邦生徒会副会長』
サン「……誰ですか」
ジェネラル『失礼、私はカイザーコーポレーション所属のジェネラルと云う者だ。今はカイザーPMCの指揮官も務めている』
サン「はぁ……カイザーの方が、一体何のご用でしょうか?今は忙しいのですが……」
ジェネラル『あぁ…大変申し訳ないが、行政委員会は解散となった』
サン「………は?」
ジェネラル『サンクトゥタワーは我々カイザーPMCが掌握した。これよりD.U.全体に厳戒令を敷く。君、あぁいや、君たちは孤児院で大人しくしているといい』
サン「誰がそんな言葉を聞くとでも?たかが私企業が、随分と大きく出ましたね。連邦生徒会に喧嘩を売るとは……」
ジェネラル「いいや、大人しくしてもらう。そうだな……『シャーレの先生の身柄は我々が預かっている』……君程聡い少女なら、この言葉の意味がすぐにわかるハズだ」
サン「っ!?」
ジェネラル『ではな、連邦生徒会副会長。君とは、できればいい関係でいたいものだ』
サン「なっ!待ちなさいっ!!」
プツッ
サン「‥‥‥‥‥」
ベル「……サン様?」
サン「先生が……先生がカイザーに誘拐されました……」
アザル「はい!?」
サン「カイザーPMCはサンクトゥタワーを掌握、D.U.に厳戒令を敷くそうです」
アタン「あ、あたしたちは!どうするんですかっ!」
サン「……孤児院で大人しくしていろと。そうしなければ、先生の身の安全は保障しないと…」
アタン「まさか……まさか、私企業程度の命令に従うんですか!?貴女がっ!?……もしそうなら、あたしは心底貴女に失望します、サンっ!!」
アザル「アタン君…!!」
サン「アザル君。……アタン君、手がない訳ではありません」
アタン「………」
サン「………トオル君ですか?サンです……お願いが…あります…」
ベル(サン様?…どうして……どうして…あんな大人なんかのために、そんな顔をなさるんですか……?)
サン「はい、では……(プツッ)」
マモ『ボス、少し困り事だ』
サン「なんですか?」
マモ『カイザーPMCのバカ共が、孤児院を囲んでいる。どうする?』
サン「……何かされましたか?」
マモ『いや、今の所何も………ふむ、ある種D.U.の一大勢力だから、少し警戒しているようだ。もう一度聞く、どうする?』
サン「……何もされていないのであれば、こちらから仕掛ける事もありません」
マモ『……わかった。煩いからどこかに行って欲しいんだがな……』
サン「何かあったら、早急に対応してください」
マモ『了解だボス』
サン(……今はトオル君にお任せする他ありません…か………アザル君を呼び戻していなければ………どうしてこうも、私の選択はいつも悪い方に……)