通達、『悪魔』と『薬師』に
VerdictDay8日目―○○自治区、商店街道―
ゼル「あ~たらし~い朝が来た~♪希望~の~朝が~♪」
ビービービー!ビービービー!
ゼル「ア゛?ンだよ人が気持ちよ~く歌ってンのに………(ピッ)もしもしィ!?」
サン『………おはようございます。サンです』
ゼル「ンだよ~サンか~、昨日振りだなァ~!寂しくなって、あたしの声が聞きたくなっちまったのかァ~?」
サン『なぁっ!?ち、違います!そんなんじゃありません!』
ゼル「ひっひっひっ♪で?どしたよ」
サン『業務連絡……と言いますか何と言いますか……』
ゼル「また『依頼』かァ~?当分は好きにさせてもらうって言ったばっかだろォ?」
サン『文句を言う前にまず聞いてください。別にこれといった要件があるとかではなくてですね?念押しと言いますか…』
ゼル「早く言えよ切っちまうぞ」
サン『あぁちょっ!待ってください!』
ゼル「……………」
サン『コホン!『念押し』をお伝えする前に、まずは説明させていただきますね』
ゼル「おう」
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サン『………と、言う訳なのです』
ゼル「ミレニアムにいかァ……」
サン『それで、私からゼル君に念押ししたいことと言うのは、先生をフリーにしないで欲しいということです。絶対に』
ゼル「先生に邪魔されたくねェ訳かァー」
サン『はい。相手に先生がいる。先生の指揮があるというだけで、何でもないような相手がかなり厄介な相手になってしまいます。ゼル君、貴女には先生をミレニアムに合流させないよう釘付けにしてほしい。ちょっかいを掛け続けてください。という念押しでした』
ゼル「ふんふんふ~ん……まァ言いてェことはよォ~くわかったよ」
サン『頭の隅に留めておく程度で構いません。ゼル君はいつものように、自由に、ゼル君らしく動いてください』
ゼル「そりゃもちろん。オメェに言われなくてもそうするぜ」
サン『お願いします』
ゼル「要件はそれだけか?」
サン『はい。お時間いただきありがとうございました。それでは』
ゼル「おう。たまには外出ろよなァケツがデカくなるぞ」
サン『はっ!?で、デカくなる訳ないじゃないですか!何を言ってるんですか貴女……!』
ピッ
ゼル「さて、先生探すか。ツノエ曰く、この自治区の方角に逃げ込んだらしいし。ついこの前ランコがこの自治区で先生と戦闘したからなァ」
ゼル(○○(焔陽魔巣会の若頭)が言うには、セーフハウス自体は▽□自治区のどこかにある。この自治区、山海経からはセーフハウスのある▽◇自治区とは別方向だァ……)
ゼル「どっかに仮の隠れ家でもあンのかねェ……」
ゼル(先生はあたしの遊びに付き合ってくれるかねェ……付き合ってくれた時のための『礼』も用意してるが…)
ゼル「まァ、会ってみて…だな…」
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―◇◇自治区、Verdicters補給基地―
アザル「…………ふぅー……」
アスモ「アザル様……お疲れですね…?」
アザル「んん……移動疲れがヤバイ。ずぅっとバイク吹かしてさ………あの子、どう?」
アスモ「あっはい!PTSDというか…少々錯乱ぎみでしたが、かなり落ち着いて、元気になっていますよ!」
アザル「………何か話した?先生の居場所とか……先生のトコに誰いるか……とか?」
アスモ「何も…」
アザル「流石にそんな簡単な子じゃないか……」
ビービービー!ビービービー!
アザル「ん?アスモ君?」
アスモ「いえ…私ではありませんよ。アザル様の方では?」
アザル「(ゴソゴソ)……ホントだ。誰だろ……(ピッ)はいアザル」
サン『アザル君ですか?サンです』
アザル「ひゃいっ!?さっささささサン様!?えとあの…あ、あたしに何のご用で……」
サン『次の作戦行動が決まりましたので、通知いたします』
アザル「わ、態々サン様が直接……」
アザル(サン様があたしのために時間を割いてくれている……!サン様の時間が、あたしの物に…!)
アザル「ふひっ…!」
アスモ「アザル様?」
サン『アザル君?』
アザル「な、なんでもございません!!」
サン『………大丈夫ですか?どこか体調が優れないとか…』
アザル「いえ何も!」
サン『そうですか?アザル君にはかなりの負担をかけてしまっているのは、私も心苦しいところではあります。もし体調が優れないですとか、何かあれば素直に言ってくださいね?』
アザル「も、もちろんですサン様!」
サン『………では、本題に入らせていただきます』
アザル「あ…はい。新たな作戦が決まったと…?」
サン『はい。近々、ミレニアムを攻め落とします』
アザル「ミレニアムを…」
サン『はい……アザル君の母校ですから、少々心苦しいかと存じますが…』
アザル「いえそんなことは全然ないんですけど」
サン『へっ?あ…そ、そうなの……ですか?思い入れとか…』
アザル「ありませんね~これっぽっちも」
サン『……………』
アザル「サン様?」
サン『いえあの…!何でもありません……よ?』
アザル「?」
サン『………コホン!それで、アザル君にやっていただきたいのは、内偵です』
アザル「内偵……ですか…」
サン『はい。元々アザル君はミレニアムに在籍しており、連邦生徒会に出向して来たということになっています』
アザル「はい」
サン『その立場を利用します。アザル君には『捕まっていたところを何とか逃れて来た』という体でミレニアムに潜り込んでいただきます。それで、ミレニアム……主にセミナー辺りの動向を報告してほしいのです』
アザル「なるほど……」
サン『流石にセミナー内部にまで潜入できるとは思えませんので、無理のない範囲でお願いします。ヴァーティクターズは始めにセミナーに対して警告を発します。それに対する一般生徒の反応なども簡潔に報告していただければと思います』
アザル「………了解しました。ではすぐにミレニアムに向かいます!えへへっ…サン様、期待していてください。想像以上の働きをしてみせます」
サン『はい。私は貴女を応援することしかできませんが……頑張ってくださいね、アザル君』
アザル(いえいえサン様……貴女様のお声が聞けるだけであたしはどこまで頑張れるのですよ!!)
アザル「でへへぇ…」
サン『それと……アスモ君も今そこにいるのですよね?』
アスモ「あっはい!おります、サン様…!」
サン『ミレニアム侵攻、貴女にも参加していただきます』
アスモ「わ、私も……ですか?」
サン『はい。記録表の作成も終了したと報告を受けておりますので、D.U.にてベルと合流してください』
アスモ「わ、わかりました…!」
サン『連絡は以上です。失礼しますね、二人とも』
アザル「はい、サン様」
アスモ「ま、まあた後程…!」
プツッ
アザル「…………うん!アスモ君、あたし早速ミレニアムに行くから」
アスモ「あっ…すみませんアザル様……その前に、先程の××(ケガをしたトリニティ生徒)のことなのですが…」
アザル「うん?」
アスモ「『ルキさんに会いたい』と言っておりまして……ミレニアムに行かれる前に、お会いになってはいただけませんか?」
アザル「ん~……わかった、そうする。じゃ」
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―◇◇自治区、難民避難所―
ケガをしたトリニティ生徒「…………」
コンコンッ
ケガをしたトリニティ生徒「はい…?」
ルキ「あたし。ルキだよ」
ケガをしたトリニティ生徒「ルキさん…!」
トテトテトテトテッ…!
ガチャ
ルキ「やほ」
ケガをしたトリニティ生徒「ルキさぁん!(ギュウ)」
ルキ「おお~…!だいた~ん。どしたの~?(ポンポン)」
ケガをしたトリニティ生徒「すみません……その……寂しくて…」
ルキ「……先生のところ戻りたくなってきた?」
ケガをしたトリニティ生徒「そ、それは………イヤです…!あそこにいたら……戦わなきゃいけない。痛い思いをしなきゃいけない……私は、そんなのイヤです…………でも、寂しいから……」
ルキ「お姉さんを呼びつけたんだ~?甘えんぼさんめぇ!(ツンツン)」
ケガをしたトリニティ生徒「…………」
ルキ(ん~………やっぱ××君ってどちらかと言うなら“こっち側”なのかなぁ……)
ルキ「……………(ギュウ)」
ケガをしたトリニティ生徒「ルキさん?」
ルキ「ねぇ、教えてくれない?先生はどこ?」
ケガをしたトリニティ生徒「…………っ!」
ルキ「お姉さんもさぁ………痛い思いしたくないし、させたくないんだよ。お姉さんはただ……先生とお話がしたいだけ。先生を傷つけたい訳じゃない。だから………ね?(ナデナデ)」
ケガをしたトリニティ生徒「……………▽◇自治区……です」
ルキ「うんうん」
ルキ(それはゼル君のとこの魔巣会の若頭君が教えてくれたな~………これ以上はムリそうかな)
ルキ「ん、ありがと」
ケガをしたトリニティ生徒「…………」
ルキ「お姉さんこれから行くところがあるからさ。暫く会えないんだけど……」
ケガをしたトリニティ生徒「へっ?」
ルキ「戻って来た時に元気な××ちゃんに会いたいからさ。ちゃんとご飯食べて、ちゃんと元気になりなよ?」
ケガをしたトリニティ生徒「…………はい」
ルキ「うん、いい子いい子~♪(ナデナデ)」
ケガをしたトリニティ生徒「………ルキさん…」
ルキ「じゃあ、あたしもう行くから。またね、××ちゃん。落ち着いたら……トリニティに戻ろうか?お友達にも会えるよ」
ケガをしたトリニティ生徒「……はい」
ルキ「…………」
ギィ……バタン
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―ミレニアム自治区、校区境―
ブロロロロロロロ…
アザル「…………よし……久しぶりだなぁ………“アザル”がこの自治区に来るの……ルキやキヨは……何度か入り込んでるけど」
アザル「さて、サン様のためにしっかり仕事しようか」