何を書いてよいかわからないので、自分自身の事を書こうと思う。私は工学部を卒業して大学院は農学部と薬学部で過ごした。どうして大学院を受かったのかはわからないが、農芸化学の大学院に入ったときはホスファチジルコリンはもちろん、プラスミドという言葉も知らなかった。薬学部に移ったときはアゴニストという言葉を知らなかった。免疫というものを教わったことがなかった。そういうなかで、わからない言葉に翻弄されているうちに学生時代は終わってしまった。幸いにも良き恩師、先輩、同僚、にめぐり合えたおかげで脂質の生化学のさわりは知ることができた。 就職して数年、脂質の生化学と生物物理を我流で勉強しているうちに米国に行く機会を得た。米国では「脂質の細胞生物学」をやっていた。脂質の細胞生物学というのは、私の理解では、今も昔も脂質を見る、ということだと思う。そこでは脂質の脂肪酸の1本を蛍光脂肪酸に変え、顕微鏡の下で脂質の動