夫婦げんかを目撃する心理的虐待「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」にさらされ続けた当時19歳の元少年(21)が父親(当時49歳)を刺殺して殺人罪に問われた裁判員裁判。仙台地裁は13日、元少年に懲役11年(求刑・懲役14年)を言い渡した。 面前DVにさらされ続けた元少年の成育歴が量刑にどこまで反映されるかに注目が集まった。石油ストーブを投げ、跳び蹴りする親の姿を物陰からじっと見続けて育った元少年の心はゆがんだ。自傷行為を繰り返し、自分自身を傷つけることで怒りや不安を晴らし「生き延びてきた」と専門家はいう。 元少年は事件前に自殺未遂をして入院している。だが、入院先の医師も学校の担任も少年の心のSOSを見逃した。臨床心理士の春原由紀さんは「家庭内暴力を見て育つと、暴力の応酬という形でしか問題解決の方法が学習できなくなる。自傷行為で暴力の衝動を自分に向けてきたが、もう耐えきれなくなったのだろ