去年、京都市で重い知的障害のある17歳の長男を殺害した罪に問われた母親に対し、京都地方裁判所は「長男の受け入れ施設が見つからず、将来に絶望を抱きかねない状況だった」として執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。 京都市左京区の無職、坂山文野被告(54)は、去年7月、自宅のマンションで重い知的障害があり、総合支援学校高等部に通う長男のりゅうさん(17)の首をベルトのようなもので絞めて殺害したとして殺人の罪に問われました。 裁判の中で母親は長男を殺害したことを認めましたが、弁護側は当時、心神喪失の状態だったとして無罪を主張し、検察は懲役5年を求刑していました。 13日の判決で、京都地方裁判所の増田啓祐裁判長は、「将来に大きな可能性のある17歳の尊い命を奪ったことはあまりに痛ましい結果だ。ノートに犯行をためらう内容を記すなど、限定的とはいえ、犯行を思いとどまる能力は残っていた」と述べ、当時は心
交通死亡事故が殺人事件に 姉を殺害した罪に問われた弟 2020年10月、警察から「交通単独事故」として報道発表された事故。およそ1カ月半後、運転していた男が殺人容疑で逮捕された。事故の真相は、弟が、故意に事故を起こし、同乗していた実の姉を殺害した「殺人事件」だった。そして、その裁判が始まった。 高沢翔悟被告(22)は、千葉県・市原市で、車を走行中に、故意に速度を加速させながら、法面へ乗り上げ、電柱に衝突させるなどして、同乗していた実姉の絵里香さん(当時26)を殺害した罪に問われている。 実の姉を殺害した罪に問われている高沢翔悟被告(22)。事故により自らも大けがをした(20年12月 市原署) この記事の画像(6枚) 初公判で起訴内容認める 父親は「寛大な処分を・・・」 9月30日、千葉地裁で開かれた初公判に、高沢被告は頭を丸刈りにして出廷。検察官が朗読する起訴状を、姿勢正しく、前を見つめた
誤った公共政策の悪影響が明らかになるには、何年もかかることもある。しかしジョージ・フロイド氏殺害事件を受けた昨年の警察への政治的攻撃の場合は、そうならなかった。警察の取り締まりが緩くなったことで、2020年に暴力犯罪が増えたのは、予想通りの結果だった。最近の米連邦捜査局(FBI)のデータでそれが確認された。 米国での殺人事件件数は、2020年には30%近く増えた。1万6000近い法執行機関から得られた犯罪統計によれば、これはFBIが60年前にデータ集計を開始して以来、前年比で最も大きな伸びだ。2020年の殺人事件の犠牲者数は2万1570人となり、前年を4901人上回った。加重暴行に相当する犯罪は前年比12%以上増加し、暴力犯罪全体の件数は5.6%増加した。 こうした犯罪の急増を1つの要因で説明することはできない。しかし、複数の都市が警察予算を縮減し、進歩派の検察官が寛大な措置を求めて犯罪容
色鉛筆を使えるようにしてほしい――。死刑囚が拘置所から国に対して訴えを起こした。33歳の死刑囚がなぜ色鉛筆にこだわるのか。そこには死刑判決確定から7年がたつ彼の償いの形があった。 拘置所内で色鉛筆が使えなくなったのは憲法が定める表現の自由の侵害だとして、奥本章寛(あきひろ)死刑囚(33)=福岡拘置所に収監中=が、国を相手に法務省の訓令の取り消しを求めて東京地裁に提訴したことが、代理人弁護士への取材で判明した。提訴は7月30日付。 奥本死刑囚は、宮崎市で2010年に家族3人が殺害された事件で殺人などの罪に問われ、14年に死刑判決が確定した。 その後、遺族の一人が奥本死刑囚との面会などを通じて裁判のやり直しを求めたため、代理人弁護士は「死刑か無期懲役かを慎重に審理してほしい」とする遺族の上申書を新証拠に17年3月、再審を請求。宮崎地裁と福岡高裁宮崎支部は再審を認めず、奥本死刑囚は18年3月、最
大津市の無職少年(17)が自宅で小学1年の妹(6)を暴行し死亡させたとされる事件で、傷害致死の疑いで逮捕された少年が、滋賀県警の調べに対し、容疑を認め、「妹の世話をするのがつらかった」との趣旨の供述をしていることが6日、関係者への取材で分かった。母親は留守がちだったといい、県警は家庭状況や暴行の動機などを詳しく調べている。 大津・高島子ども家庭相談センター(児童相談所)の説明では、兄妹は家庭の経済的な理由などで県外の別々の児童養護施設で育ち、妹が小学校に入学した4月から母親と3人暮らしの生活となった。 少年は母親の代わりに妹の面倒をみて、近所の住民は妹とボールなどで仲良く遊ぶ姿をたびたび目にしていた。一方、暴行があったとされる時期に近い7月21日未明、兄妹が自宅近くのコンビニを訪れたため、同センターは「ネグレクト(育児放棄)の疑いがある」などとして、今月4日に母親と面談する予定だった。 少
2019年4月、岡山県美作市で当時96歳の女性が頭を殴られ殺害された事件の控訴審判決が8月4日に言い渡されます。1審では、隣の家に住む86歳の男が殺人の罪で懲役12年の判決を受けましたが、「自分はやっていない」と一貫して無罪を主張しています。 直接の証拠がないこの事件、改めて争点をお伝えします。 2019年4月4日、美作市小房の住宅近くで、ビニールシートをかけられた当時96歳の女性の遺体が見つかりました。 警察は、隣の家に住む農業・小林幸夫被告(86)を死体遺棄の疑いで逮捕。のちに検察が殺人と死体遺棄の罪で起訴しました。 事件の引き金はスモモの木の伐採? (記者リポート) 「事件の引き金になったとされるのが小林被告の自宅と、隣の家のちょうど境い目に生えているスモモの木の伐採をめぐるトラブルでした」 小林被告は、スモモの木の枝が伸び、被告の家の屋根に葉っぱが落ちてくるため、4月3日午前9時半
「裁判は判決ありきだった」と話す精神科医の工藤行夫氏=2021年5月31日午後4時34分、高田奈実撮影 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人を殺害し、26人に重軽傷を負わせた植松聖(さとし)死刑囚(31)の公判では、動機や事件の背景が十分解明されたとは言い難い。死刑囚に面会し、弁護側証人として出廷した精神科医、工藤行夫氏は常用していた大麻による精神障害が影響したとの意見書を提出したが、判決では否定された。「裁判は判決ありきだった。植松死刑囚に必要なのは治療だ」とする工藤氏に、裁判を振り返ってもらった。 ――面会時の植松死刑囚の印象は。 ◆会ったのは2019年5月、横浜拘置支所で1時間程度。質問には落ち着いて丁寧に答えていた。「自分が死刑にならないと収まりがつかない」と覚悟しているような発言があった。事件への反省はなかった。 ――意見書では「自分(植松死刑囚)が選ばれた存在だとい
私の手元には、津久井やまゆり園を運営する「かながわ共同会」の職員から、極秘に入手した21枚の書類がある。 植松死刑囚が、在職中に書いたヒヤリハット報告書である。「ヒヤリハット」とは、介護や医療分野で広く普及した取り組みで、現場でヒヤリとしたりハッとした事例を記録し、職員どうしで共有するための報告書であり、植松の在職中の仕事ぶりを知る上で重要な記録である。 すでに私は、『文藝春秋』(2021年6月号)に書いた記事の中で、その報告書の存在に触れ、朝日新聞・論壇時評(5月27日)などでも取り上げられ、大きな反響を呼んだ。 今回は、さらに報告書の全貌を明らかにするため、かながわ共同会の元職員であるTさんに21枚のヒヤリハットから浮かび上がる植松像を読み解いてもらう。 Tさんは、植松と直接的な面識はないものの、かながわ共同会の職員として15年以上の勤務歴があり、津久井やまゆり園にも6年間勤務していた
児童8人が犠牲となった平成13年6月の大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)の児童殺傷事件から8日で20年。宅間守元死刑囚=16年9月執行、当時(40)=の元主任弁護人は謝罪の言葉を引き出そうと試み、面会を重ねた公認心理師は罪の意識と向き合わせようとしたが、ゆがんだ思考の持ち主は一筋縄ではいかなかった。悲劇を繰り返さないために、社会ができることは何か。自問自答を繰り返した2人が、それぞれの立場から提言する。 ゆがんだ思考「戦う弁護士なんていらんねん。早く楽になりたいだけ。死刑にしてくれ」。元死刑囚の主任弁護人を務めた戸谷(とだに)茂樹弁護士(大阪弁護士会)は初めての接見でこう告げられた。「ゆがんでしまっているな」という印象を持ったという。 極悪人を弁護する必要はない-。そんな手紙や電話が毎日のように事務所に届いた。目指したのは「謝罪を引き出す」「事件の真相を明らかにする」という異例の弁護活動
「悪人だとしてもできるだけ(母親には)病死してほしかったです。チベット仏教でも殺人を禁止していますので」 チベット仏教を信仰するという被告の男(44歳)は、メモを取るのが追い付かないほどの早口でそう言った。 グレーのスウェットの上着をきっちりとズボンに入れ、かなりやせ型でひょろりとした被告。この細い腕で母親の心臓をめがけて、包丁を突き刺した。 この記事の画像(11枚) 逮捕後、自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害(ADHD)を併存する発達障害と初めて診断を受けた。 鑑定医は、母親も発達障害だった可能性を指摘。ともに強いこだわりを持ち、コミュニケーションをとるのが難しかったとみられる母子に何が… 福島地方裁判所の第203号法廷。全4回の裁判員裁判を福島テレビの記者が傍聴した。 日常的に母親からの厳しいしつけ 被告の男は、福島県福島市の中心部にある母親(当時71)が所有するビルに、両親
「はよ、判決言えや。死刑だろうが!!」 〈被告である自分は、あの日証言台の席でややうなだれていた。 (裁判長)「これより判決を言い渡す。被告人前へ」 それを聞いて証言台へ移動する。 「はよ、判決言えや。死刑だろうが!!」 そう心の中で叫んでいた。 (裁判長)「主文は後に回して罪となるべき事実、理由から先に述べる」 後方、傍聴席の記者席からバタバタと急いで法廷内から外に出ていった。 「はい正解予想通り」 判決文を読み進める裁判長。それから一息吐いてこう言った。 (裁判長)「被告人起立しなさい。主文を言い渡します」 「下手なドラマでもこんな演出しねぇぞ」 (裁判長)「主文。被告人を死刑に処する」 「はいはい、茶番、茶番。はじめから死刑って言えや。後からペタペタと理由を補完する様な文体にすんな」〉(一部要約、以下同) これは、2人の高齢者を殺害したとして死刑判決を下された男、土屋和也の述懐である
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