(西岡千史、フロントラインプレス) 本人も家族も望んでいないのに、高齢者を親族から引き離し、長期間、面会も許さないという奇っ怪なケースが全国で多発している。自治体が勝手に「高齢者の認知症が進んだ」「虐待から守る」などと判断し、施設に収容してしまうのだ。その間に行政権限で高齢者に成年後見人が付き、家族の同意がないまま財産が処分されたケースもある。 当の高齢者は、やはり自治体の判断によって医療保護入院させられて精神科病院などから出られなくなり、親族との連絡が遮断される。被害に遭った当事者や親族は「親が死ぬまで会えないのか」「自治体による高齢者の誘拐ではないか」と憤っている。 行政による高齢者の連れ去り――。 調査報道グループ「フロントラインプレス」の記者がそんな出来事を追って各地を歩くと、まだ可視化されていない、おぞましい実態が次から次へと見えてきた。最初に報告するのは、東京都江東区のケースだ