各所で言われてますが、これは家族の物語であると同時に、東浩紀の入門書っぽい性格を有しています。 だから、小説としては名前を隠した方がよかった。という意見には全面的に賛同。 自分は若いので主人公の心情を汲み取れませんでした。妻も娘もいなければ、囚われるほどの仮定法過去もない。 でも、最終的に主人公が下した決断に関しては、はっきりと理解できた気がします。 それは東浩紀という思想家が主張している、「島宇宙を統合する」という理想に支えられているからでしょう。 オビに書かれた、「思索と思想と情報」は、確かにつぎ込まれています。 かなり偏った割合ではありますが。 それを様々な世界に割り振って東浩紀を一度分散させ、もう一度集めている。そんな印象を受けました。 ゆえに、全く知らない人が見れば、それは劇的な再生であり構成となりえます。 前半の衒学的とも言える設定を生かしつつ、物語を一点に収斂させていくわけで