メフィスト賞受賞作。つまりはデビュー作になるが、20年書き続けてきた作家の総決算そしてそこから先へみたいな迫力が感じられる異常な傑作だ。そして何よりも、長い。分厚すぎてもって読むのが大変。外に持ち歩くなんてとんでもないというレンガ本である。いくら枚数制限がないことが特徴の賞だとはいえ、1400ページを超える大作を送りつけるのはよほどの馬鹿かよほどの自信家だろう。 せっかく書いたが送る場所も無いし、という謙虚な人の可能性もあるか。その長さにも関わらず、本書は無駄に感じられるようなこともなく、とんでもなく面白い。長いからゆっくり読もうとか考えていたら、読み始めたら止まらずに一気に読み通してしまった。それでも十時間以上かかったけど……。どうせ内容を刈り込みきれなかったぐだぐだな展開が続くのだろうといった心配は杞憂である。ひたすら図書館のごとき言葉の迷宮に入り込んで思う存分迷えばよい。 しかも良質