「京都の大学を卒業した学生が、こぞって東京で就職するのって、おかしいと思いませんか?」――はてなの近藤社長は心から不思議そうに言った。京都には京都大、立命館大、同志社大など大学が数多いが、京都で就職する学生はわずか。特に近藤社長が卒業した京大の卒業生は、多くが東京の一流企業や官公庁に就職する。 そんな仲間を尻目に近藤社長は、京都という大好きな土地を離れずにどこまでできるか、試してみたかったという。「京都で新しいものを作りたいという学生やフリーターを集めて何かしたいと思っていた」(近藤社長)。 ただ、京都には企業の数自体が少ないため、競争相手や尊敬できる経営者もあまりいなかった。東京で刺激を受けて、もう一回り大きくなることが必要と考え、「どうしたって京都に来ようとしない友たちが住んでいる」(近藤社長)東京に、小さな事務所を構えた。 大学院を中退し、カメラマンをやりながら、自分が本当にやりたい