カラスから、やけにじっと見つめられているように感じた経験はないだろうか。もしあるなら、それは思い過ごしではないかもしれない。カラスは、地球上において屈指の賢い動物だ。類人猿、そして人間の子どもにさえ匹敵する認知能力を持っている。 カラスは道具を使い、複数の手順からなるパズルを解き、物体を水に沈めると水位が上がる物理学的現象を理解できる。それどころか、葬儀らしきことをしているところを目撃された例まである。だが、ひときわ驚きを誘うカラスのスキルの1つは、人間それぞれの顔を認識し、その人間が自分をどう扱ったかを記憶する能力だ。しかも、何年もそれを覚えている。 カラスが人間の顔を認識することを証明した画期的研究カラスの顔認識に関する最も有名な研究は、ワシントン大学のジョン・マーズラフが中心となったもので、2010年に『Animal Behavior』誌で発表された。 マーズラフの研究チームの狙いは