なんでパルコは「PARCO GAMES」でゲーム事業に参入したの?
異業種からの新規参入が続くゲーム業界。
今年の東京ゲームショウ2025でも他業種からの新規参入組が目につきました。
商業施設「PARCO」を運営する株式会社パルコが出展した「PARCO GAMES」も新規参入組の一つです。
「インディーゲーム領域に特化したゲームパブリッシング事業」に本格参入した、同社ゲーム事業開発部の広報PR担当、勝又詩織さんにゲーム事業参入の背景などを伺いました。
ーーパルコがなぜ畑違いとも言える事業領域に参入したのでしょうか?
勝又:パルコはファッション・エンターテインメント・アートなどあらゆるカルチャーを発信してきました。また自社事業として長年、演劇・映画・音楽・出版・展覧会・コラボカフェなど多様なエンタテインメント事業を手掛けています。
日本が世界に誇れるカルチャーである「ゲーム」の分野にも、これまでの経験やノウハウ、クリエイターさんたちとの向き合い方を応用できるのではないかと考えました。
またパルコは創業以来”インキュベーション精神”を大切にしており、さまざまな分野で新たな価値創造を仕掛けてきました。そうした精神と、個性や才能にあふれるクリエイターさんが多く存在するインディーゲーム領域には親和性があると考えています。
ーーパブリッシングだけでなくゲーム開発にも関与するのでしょうか?
勝又:ゲーム開発にも関与していきます。現在予定しているパブリッシングタイトルについても、開発自体は開発スタジオ主体ですが、デモビルドをプレイしフィードバックをするなど、一部開発にも関与しながら内容をよりよくしていくやりとりを密に行っています。
ーーサードパーティが開発したゲームを御社がパブリッシュするか否かの判断はどういった基準でするのでしょうか?
勝又:一番大事にしているのは「物語性」です。ゲーム自体のストーリーやムードはもちろん、どうしてその作品を作ろうと思ったのか? どんな背景や経験からアイディアを得ているのか? といった部分まで含みます。そういう「物語」に共感できるか、そしてクリエイターさんと目線合わせができるかが重要だと思っています。
それ以外にも、私たちが実際にデモプレイをして「動く状態」で作品を触ることもチェックポイントとしています。感じた良さや魅力はもちろん、さらに魅力的になる可能性のあるフィードバックもお伝えするようにしています。そうやってある種の開発支援にもつながるディスカッションを重ねていきながら「一緒に作品をもっとよくしていこう」という気持ちの共鳴が生まれるのも大事な要素だと考えています。
ーーゲームを販売するのはどういったプラットフォームを考えていますか?
勝又:PC(Steam)をベースに、Nintendo Switch、PlayStation 5、Xboxといったマルチプラットフォーム展開を視野に入れています。ただし、各タイトルでどのプラットフォームに対応するかは契約・開発状況・ローカライズ性・販売見込みなどを踏まえて個別に判断していきます。
ーー東京ゲームショウ2025では手応えを感じられましたか?
勝又:とても手応えを感じました。「パルコって、あのパルコ?」と口にしながら、興味を持ってブースに入って来ていただける方も多くいらっしゃいましたし、試遊を通じて現場やSNSで“生の反応”を得られる機会となりました。3タイトルのウィッシュリスト登録もおかげさまでかなり増え、関心をお持ちいただけていることを嬉しく思っています。
ーーPARCO GAMESの立ち上げまでに社内的な摩擦はなかったのでしょうか?
勝又:会社としてもゲーム市場の盛り上がりや文化的な魅力を感じてはいたのですが、経験値のない領域であったため、市場調査をしたり有識者の方にお話を聞いたり、催事やイベントの企画制作に取り組みながらゲーム業界のことをみんなで勉強して理解を深めていきました。
またゲーム会社での経験を持つメンバーにもチームに加わってもらいながら、方向性や共通認識をすり合わせていきました。そんな検討や理解を重ねながら「これまで培ってきたノウハウや知見を活かし、パルコらしくやれることがあるのでは」というジャッジに至り、PARCO GAMESを立ち上げることができました。
ーーPARCO GAMESの圧倒的な強みは何ですか?
勝又:リアルな場を持っていることと、他事業で培ったノウハウや知見から総合的な展開をご提案・伴走できることだと思っています。
パルコは商業施設PARCOを全国で15店舗展開しています。またパルコ自体がカルチャー軸企業であり、多様なエンタテインメント分野で培った目利き力、企画力、演出力などに多少なりとも自信を持っています。
PARCO実店舗でのPOPUP等の展開、ECでの販売、OOH広告、SNS展開、イベント施策などを総合的に打てる、多様な導線を持てることが強みだと思っています。ただし、これが“圧倒的”かどうかは、これからの結果や実績がカギとなると思いますので、協業いただける皆さんと一緒に頑張っていきたいです。
ーー頭の中でパルコとゲームがパッと結びつかないゲームファンに対してメッセージはありますか?
勝又:パルコは、これまでファッションやアート、映画、音楽といったカルチャーを発信し、街と人と感性をつなぐ場をつくってきました。ゲームは日本が世界に誇れる素晴らしいカルチャーだと考えています。
ゲームが好きな人にとってはもちろん、ゲームに馴染みがあまりなかった人にも、まず一歩を踏み出してもらいたいです。PARCO GAMESが扱うタイトルは、“体験”や“物語”を大切にし、ただ遊ぶだけでなく、感じたり考えたりできる作品を目指していきます。
もちろんデジタルゲームに限らず、アナログ/体験型ゲームも引き続き扱っていきますし、さらにいえば「ゲーム」をハブにして体験価値を提供したいと考えているので、もっと幅広くとらえている、といったほうが正しいかもしれません。
「パルコは、ゲームのために、何ができるか」というコンセプトのもとで挑戦を続けていきますので、一緒に面白がっていただけたら嬉しく思います。
ーーありがとうございました。
PARCO GAMESのパブリッシング第1弾タイトルは以下の3タイトルとなります。
『南極計画』Game Play Trailer:2025年冬発売予定 体験版配信中(YouTube)
https://youtu.be/xKIcksRw3lo
『南極計画』
ジャンル:サバイバルアドベンチャー
開発:RexLabo合同会社(日本)
発売日:2025年冬(予定)
『Constance』Steam Next Fest Trailer:11月25日発売 最新体験版10月14日より配信中(YouTube)
https://youtu.be/tcjIkMp_kAc
『Constance』
ジャンル:2Dアクションアドベンチャー
開発:Blue Backpack(ドイツ)
発売日:2025年11月25日
『The Berlin Apartment』2nd Trailer : 11月18日発売 体験版配信中(YouTube)
https://youtu.be/y6r20Iuq0T4
『The Berlin Apartment』
ジャンル:3D探索アドベンチャー
開発:Blue Backpack(ドイツ)
発売日:2025年11月18日
PARCO GAMES公式サイト
https://games.parco.jp/[リンク]
※画像提供:株式会社パルコ
(執筆者: 6PAC)
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