米アマゾン、TIのモバイルチップ部門買収に向け交渉=報道

ロイター編集
米アマゾン、TIのモバイルチップ部門買収に向け交渉=報道
10月15日、イスラエルの経済紙カルカリストは、米アマゾン・ドット・コムが半導体大手テキサス・インスツルメンツのモバイルチップ部門買収に向け交渉を行っていると伝えた。写真はアマゾンのジェフ・ベゾスCEO。カリフォルニア州サンタモニカで9月撮影(2012年 ロイター/Gus Ruelas)
[15日 ロイター] イスラエルの経済紙カルカリストは15日、世界最大のオンライン小売り会社である米アマゾン・ドット・コムが半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)のモバイルチップ部門買収に向け、進んだ段階の交渉を行っていると伝えた。
合意に到達すれば、アマゾンによるスマートフォン(多機能携帯電話)市場参入への第一歩となる可能性がある。また、アマゾンが今後、米アップルや韓国のサムスン電子<005930.KS>の直接的なライバルとなることも見込まれる。
カルカリスト紙によると、買収額は数十億ドルに達する可能性があるという。
アマゾンからコメントは得られていない。
TIはうわさにはコメントしないとしつつも、ロイターに対し電子メールで、同社のマルチコアプロセッサ(OMAP)事業にとり、スマートフォン市場は長期的には魅力的ではないとし、投資戦略を見直していると説明した。
ドイツ銀のアナリスト、ロス・シーモア氏は、今年のTIのOMAP事業の収入を約6億5000万ドルと予想。同氏は顧客向けノートのなかで、この予想を踏まえ、同事業の売却価格を5億─7億ドルになるとの見通しを示した。
TI製のプロセッサーはアマゾンのタブレット端末「キンドル・ファイア」に使用されている。
ここ1年余り、アマゾンが自社ブランドのスマートフォンを投入するとのうわさが広がっていたものの、アマゾンはうわさにはコメントしないとの姿勢を維持してきた。
また、TIはこれまでに、競争が激化しているスマートフォンやタブレットなど向けモバイルチップ事業から撤退する計画を示しており、同部門が売却されるとの観測が高まっていた。
同社は先月、「組み込みシステム」向けプロセッサ(組み込みプロセッサ)事業について、スマートフォンなどの携帯機器から、自動車会社などを含めたより幅広い市場の顧客へと軸足を移す方針を示している。
米株式市場では、アマゾンは約0.8%、TIは約3.4%それぞれ上昇した。
*内容を追加して再送します。

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