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ユーザーも管理者も確認したい「Microsoft 365」新機能、全17項目をダイジェスト解説

「Teams」設定検索や「Outlook」誤操作防止など、11月のMicrosoft 365は現場の実用性を高める新機能が適用された。ユーザーの効率化からIT管理者が把握すべき変更点まで、組織全体で押さえたい全17項目の詳細を解説する。

» 2025年12月09日 07時00分 公開
[平 行男合同会社スクライブ]

 「Teams」の設定検索や「Outlook」の誤操作防止、そして「SharePoint」や「Microsoft 365 Copilot」の機能拡張など、2025年11月には「Microsoft 365」に多くの実用的なアップデートが適用された。今回の変更点は、エンドユーザーの日常的な操作を快適にする機能だけでなく、IT管理者が把握しておくべき仕様変更や新機能も多く含んでいる。

 ユーザー部門からIT管理者まで、組織全体で押さえておきたいこれらの新機能について、アプリケーションごとにその詳細を解説する。

本稿は、内田洋行の太田浩史氏(エンタープライズエンジニアリング事業部)による「聞きたい! 知りたい! おさえたい! 今月のMicrosoft 365アップデート」講演内容を編集部が再構成した。

Teamsが便利に 設定検索、音声録画、Loop連携など6つの新機能

 2025年11月に追加された新機能やアップデートは全部で17項目だ。今回は単なる改善にとどまらず、新たな機能の追加も含まれている。以降で、これら17項目の内容を詳しく解説していく。

Teams

1.「あの設定どこ?」を即解決 Teams設定に検索機能が追加

2.会議レコーディングに「音声のみ」記録する新オプション

3.Teams、「チャット」と「チーム」の複数ウィンドウ表示に対応

4.Teams転送機能が改善、元メッセージへのリンク機能が追加

5.Loopがチャネルと統合 タブ追加で誰でもすぐに共同編集

6.気になった話題は即フォロー 情報をストックして「あとで読む」を効率化

Outlook

1.定型メール作成を時短 新Outlookのテンプレート機能

2.メール一覧の「クイックアクション」位置が変更

3.スマホ版Outlook、よく使う機能をツールバーに自由に配置

4.メール送信ボタン、キーボード付近から画面右上へ

SharePoint、Viva Engage

1.SharePoint:ドキュメントライブラリに「ファイル収集フォーム」機能が追加

2.Viva Engage:M365検索バーからViva Engage内を探せるように

Microsoft 365 Copilot

1.OneDriveフォルダにCopilotメニュー追加 右クリックでAI起動

2.検索画面でファイルを要約。ポップアップで内容を即座に表示

3.Copilotへの指示で「Teamsチャット」を参照可能に

4.Copilot参照ファイル検索時「ファイルの種類」でフィルター可能に

5.Copilot「ノートブック」が共有可能に チームで対話内容を共同編集

Microsoft Teams(1): 「あの設定どこ?」を即解決。Teams設定に検索機能が追加

 Teamsアプリの設定画面に、項目をキーワードで検索できる機能が追加された。設定画面左上に検索バーが設けられ、「会議」や「マイク」などのキーワードを入力すると、関連する設定のみが絞り込まれて表示される。機能拡張に伴って設定項目が増えている中、目的の設定へ素早くアクセスできる実用的な改善だ。

図1 設定項目の検索機能(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Microsoft Teams(2): 会議レコーディングに「音声のみ」記録する新オプション

 会議のレコーディングにおいて、映像を含めず「音声のみ」を記録できるオプションが追加された。レコーディング開始時に「オーディオのみ」を選択すると、カメラ映像や画面共有は記録されず、音声だけが保存される。生成されるファイル形式は動画だが、再生時には「Audio Only」と表示され、音声のみが流れる仕様だ。プライバシーに配慮したい会議や、議事録作成のために音声とトランスクリプトだけを残したい場合、さらにはストレージ容量を節約したい場合に有用な機能だ。

図2 オーディオのみレコーディング(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Microsoft Teams(3): Teams、「チャット」と「チーム」の複数ウィンドウ表示に対応

 「チャット」や「チーム」を新しいウィンドウで開く機能が拡張された。アプリ左側メニューのアイコンを右クリックし、「新しいウィンドウで開く」を選択することで、メインウィンドウとは独立したウィンドウとして表示できる。チャットとチームを行き来しながら作業する際など、複数ウィンドウを並べて表示することで、より効率的に操作できるようになる。

図3 別ウィンドウ対応の拡張(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Microsoft Teams(4): Teams転送機能が改善、元メッセージへのリンク機能が追加

 Teamsでメッセージを転送した際、転送後のメッセージに表示される投稿日時をクリックすると、元のメッセージへジャンプできるようになった。従来は転送された内容だけでは文脈を把握しづらい場合があったが、この機能により元の投稿やスレッドへ迅速に移動し、前後関係を確認しやすくなる。ただし、遷移には元メッセージの閲覧権限が必要だ。

図4 転送元メッセージへのリンク(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Microsoft Teams(5): Loopがチャネルと統合 タブ追加で誰でもすぐに共同編集

 チームのチャネル内のタブに、「Microsoft Loop」のページを追加できるようになった。タブ追加メニューから「新しいページ」を選択すると、そのチャネル内で共同編集可能なLoopページが作成される。実体ファイルはチャネルの「ファイル」タブに保存されるため、Loopワークスペースのライセンスを持たないユーザーでも、チャネル内のファイルとして手軽に共同編集機能を利用できる。

図5 チャネルにLoopページを追加(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Microsoft Teams(6): 気になった話題は即フォロー 情報をストックして「あとで読む」を効率化

 チャット一覧上部に表示される「発見する」フィードから、気になったスレッドを直接フォローできるようになった。「発見する」は、自分が参加しているチームや関連性の高いユーザーの投稿を自動的にサジェストする機能であり、ここで見つけた話題をフォローしておくことで、後から「フォロー中のスレッド」一覧でまとめて確認できるようになる。

図6 「発見する」のスレッドフォロー(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Outlookの新機能、テンプレート機能の追加やモバイル版のボタン配置変更など

Outlook(1): 定型メール作成を時短 新Outlookのテンプレート機能

 新しいOutlookおよびブラウザ版Outlookで、メールのテンプレート機能が利用可能になった。頻繁に送信するメールの宛先や件名、本文などをあらかじめテンプレートとして保存し、新規作成時に呼び出して利用できる。テンプレートはクラウドに保存されるため、デバイスが異なっても共通のテンプレートを使用できる。また、クラシックOutlookで利用していたテンプレートファイル(.oft)のインポートにも対応している。

図7 メールテンプレート(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Outlook(2): メール一覧の「クイックアクション」位置が変更

 メール一覧で各メールにマウスカーソルを合わせた際に表示される「削除」や「フラグ」などのクイックアクションアイコンの位置が変更された。従来はメール一覧の右端(受信日時列)に表示されていたが、今回の変更により左側の「差出人」列に表示されるようになった。これによりマウス移動の距離が短縮され、操作性が向上する。

図8 クイックアクションの表示位置の変更(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Outlook(3): スマホ版Outlook、よく使う機能をツールバーに自由に配置

 Outlookモバイルアプリ(iOS/Android)で、メール作成画面下部のツールバーメニューをカスタマイズできるようになった。「…」メニューから、よく使う機能をツールバーに追加したり、不要な機能を非表示にしたりできるため、誤操作を防ぎつつ操作性を高められる。

図9 モバイルのメール作成画面のメニューカスタマイズ(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Outlook(4): メール送信ボタン、キーボード付近から画面右上へ

 Outlookモバイルアプリで、メール送信ボタンの位置が変更された。従来は画面下部のキーボード付近に配置されていたが、文字入力中の誤タップによる意図しない送信を防ぐため、画面右上に移動された。

図10 モバイルのメール作成画面の送信ボタンの位置変更(出典:内田洋行のイベント投影資料)

情報の収集と検索を効率化 ファイル管理とナレッジ共有の新機能

SharePoint:ドキュメントライブラリに「ファイル収集フォーム」機能が追加

 ドキュメントライブラリにファイルをアップロードする専用フォームを作成できる機能が追加された。ライブラリのメニューから「Forms」を選び、「新しいフォームを作成する」で利用できる。

 この機能の最大の利点は、ファイルのアップロードと同時に、管理に必要なメタデータ(属性情報)の入力を必須化できる点にある。従来のドラッグ&ドロップによるアップロードではメタデータが未入力になりがちだが、フォームを経由させることでこれを防げる。また、作成したフォームのURLを共有すれば、ライブラリへのアクセス権限がないユーザーでもフォーム経由でファイルをアップロード可能だ。社内の申請書類収集や営業担当者からの提案書回収など、幅広い業務での活用が期待される。

図11 ライブラリのフォーム機能(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Viva Engage:M365検索バーからViva Engage内を探せるように

 Microsoft 365の全体検索機能から、Viva Engage内のディスカッション内容も検索可能になった。検索結果画面の「すべてのソース」フィルターで「Viva Engage」を選択すると、関連する投稿を絞り込んで確認できる。これにより、ファイルやメールだけでなく、社内SNS上のナレッジも横断的に検索できるようになる。

図12 ディスカッションの検索対応(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Microsoft 365 Copilotの操作性向上とコラボレーション機能の拡張

Copilot(1):  OneDriveフォルダにCopilotメニュー追加 右クリックでAI起動

 PCのエクスプローラーに同期されたOneDriveフォルダ内のファイルに対し、右クリックメニューから直接Copilot機能を呼び出せるようになった。ファイルを右クリックし、「Copilot」メニューから「要約する」を選択すると、ブラウザでファイルのプレビュー画面が開き、自動的に要約などの処理が実行される。利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要だ。

図13 OneDrive同期済みのエクスプローラー連携(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Copilot(2): 検索画面でファイルを要約。ポップアップで内容を即座に表示

 Microsoft 365 Copilotの検索結果画面に、ファイル内容を確認できる「概要」ボタンが追加された。検索結果に表示されたファイルの「概要」をクリックすると、ファイルを開かずに要約内容がポップアップ表示されるため、ドキュメント探索の効率が向上する。利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要だ。

図14 Copilot検索の概要機能(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Copilot(3): Copilotへの指示で「Teamsチャット」を参照可能に

 Copilotへのプロンプトで参照コンテンツとして、Teamsのチャットを指定できるようになった。「コンテンツの追加」メニューから特定のグループチャットや会議チャットを選択することで、「このチャットでの最近の話題をまとめて」といった指示が可能になる。利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要だ。

図15 プロンプトに Teams チャットを含める(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Copilot(4): Copilot参照ファイル検索時「ファイルの種類」でフィルター可能に

 プロンプトに参照ファイルを追加する際、ファイルの種類(PowerPoint、Word、Excelなど)でフィルターをかけて検索できるようになった。ファイル形式で絞り込むことで、目的の資料をよりスムーズに見つけ出し、Copilotに指示を出せるようになる。利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要だ。

図16 プロンプトに含めるファイルを種類でフィルター(出典:内田洋行のイベント投影資料)

Copilot(5): Copilot「ノートブック」が共有可能に チームで対話内容を共同編集

 Copilotとの対話や作業内容をまとめる「ノートブック」機能を、他のユーザーと共有できるようになった。共有されたユーザーは「エディター」権限を持ち、ノートブック内のコンテンツを追加・編集できる。ただし、ノートブック機能自体の利用にはCopilotライセンスが必要であり、ライセンスを持たないユーザーは開くことができない。利用にはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要だ。

図17 Copilotノートブックの共有(出典:内田洋行のイベント投影資料)

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