目を開けると薄暗い、ほとんど真っ暗な部屋に居た。身体を捩って、なにやら、大きなベッドに寝かされている感じがする。
「…………くま」
私は、私のくまを探して、直ぐに見つけることができた。
🛏️🪟🪟
『船出』本文より引用。一章の終わりら辺で、レクスは『大きなベッド』と言っていますが、ベッドが大きいのではなく、レクスの腕と脚がなくなって、身長が半分くらいになってしまったから、寝かされているベッドが大きく感じられている猫写です。
自作解説なんて需要があるのかわからないけど、まぁ、雑談でもしているなと思ってください。
レクスは、オスカー・ワイルドの『幸福な王子様』の王子像がイメージ元で、作中話が進むにつれて、手足の他にも色々なものを失っていきます。王子とは逆に、レクスは心臓が真っ先に失われています。提供者として誕生させられ育てられたレクスには、読んでいて結構残酷な目に遭っているよう感じられるシーンも多いかと思って、なるべく直接猫写や詳細猫写は該当シーンで書きませんでした。
くまのぬいぐるみをレクスに持たせたのも、レクスにだけじゃなくて、読者にも中和が利くようにと与えたアイテムです。(効きましたか?)
レクスがバイオノイドではなく、バイオマテリアルの総合体である、とイツァークはフリゲート艦の船員に指摘しませんでした。
イツァークは、誤りを訂正したところでレクスの扱いには影響しない、なんてことを言っていましたが…………イツァークは、レクスを人間として見てしまわないように自己防衛していたのですよ。生体部品の集まり(バイオマテリアルの総合体)……よりかは、バイオノイドの方が、人間らしさが増して近付きますからね。いちばん倫理的問題に振り回されていた人は、イツァークだったのかも。
人間の、しかも実の息子と見た目そっくりなレクス。ツバメは王子像から宝石や金箔を剥がして運ぶことに、そこまでのキツさを感じていなかったかもしれないけど、イツァークは『レクスは尊重しなければならない人間、ではない』と自分に言い聞かせたくて、言動が矛盾していました。(イツァークが読者から悪人のように見えていなかったか、若干の不安……を拭い去りたくて弁明してみる)
裏話てゆーか、言い訳タイム?w