秋になり、どことなく周囲の人々も口数が少なくなってきました。
今年の夏も1日何十回人々の「暑い」という言葉を耳にしました。
いつも、春が来ると次の冬が訪れるのを怖れるようになります。
一番の心配は朝の通勤です。
毎日のように車の雪を下ろして、窓ガラスの氷を沸かしたお湯か、専用の液で溶かします。
もう嫌だと泣きたくなりながら、なんとか春を迎えます。
しかし、これも毎年なのですが、夏が終わると、「今年も冬がきてくれてもいいかな」という気持ちになります。
秋もそうです。
なんとなく淋しい季節というイメージがありますが、実際に秋になってみるととても有難い季節だと感じます。
私は忘れっぽいのですが、秋になるとその度に、「ああ。私はそういえばススキが好きだったんだ」と思い出します。
そういえば、秋にはススキがあって、コスモスが咲いて、月も綺麗だった。
と自分でもあきれるぐらい毎年秋にはそう確認しなおします。
この季節になると、イライラから解放されて、周囲の人たちが喜ぶ何かをしてみようかと思ったりもします。
この間は、栗を一袋買ってきてレンジでチンをし、皮を剥いて栗ご飯を炊きました。
秋には、渡り鳥が飛来します。
私は、毎年鳥たちに「今年も来てくれてありがとう」と心の中で感謝します。
夏の間、北の国へ帰ることができなかった白鳥が、ぐったりしているところを見かけて泣きそうになりました。
あの子は、今も生きているのでしょうか。
きっと、また仲間が帰ってくるのを待っているはずなんです。
それを見たときに、少しばかり夏が嫌いになりました。
四季はめぐりますが、その前になると以外なほど、苦手意識のある季節も受け入れようと心と身体が準備を始めるようです。
四季がきちんとある今が、なんとなく寂しくも感じられる今日この頃です。