人は過ちを繰り返す。
誤変換も又、そうした過ちの内の一つ。
それは、私こと色街アゲハが、取引先に仕事の依頼のメールを送った時の話である。
仕事中は文字通り分刻みのスケジュールで動いている為、スマホでのメールのやり取りは本当に重宝する。
何度もやり取りする内、決まった言い回しが出来上がって来るのもまた道理であり、その時もまたお決まりの文章を打ち込んでいた。
”以上~の件、宜しくお願い致します。”
便利な物で、例えば”よ”と一文字打つだけで、変換候補として、”宜しく”と云う語句が表示される。以上、流れに従って、”お”と打てば、自然、”お願い致します。”の語句が。
よし、送信。ポンポン、と慣れた手付きで送信するも、何とも言い難い違和感と拭い切れない不安を感じ、たった今送ったばかりのメールの内容を確認する。
”以上~の件、宜しくオニャンコポン”
凄い……、顔から血の気の引いて行く音が聞こえる。
……そう言えば、進撃の〇人の登場人物の一人の名前が、余りにインパクト強かった物だから、一時期あれこれ検索しまくった事があったわ。
それが履歴に残り、碌々確認もせずにそれを選択し、送信した、と……。
いやはや、これは先生、一本取られましたな、ハッハッハ……、って、笑ってる場合じゃねぇ!
震える手で急ぎ謝罪のメールを打とうと右往左往している所に、着信音と共に返信のメールが届く。
”了解だポン。”
……鳥は何故空を飛ぶのだろう……。……人はなぜ生きねばならないのか……。
この世から消えて無くなりたいと云う感情が強烈に湧いて来るのを覚えながら、今日も私は元気に生きております。
Holly Shit!