概要
陰謀と欲望の渦巻く異空間ダンジョンで、聖女と皇女の二人が出会う
悲惨な経験から癒しの力が歪んでしまった聖女イサリカと、人々の欲望を増幅させる異空間ダンジョンの攻略を目指すヴァレンシアの二人を中心とした異世界ダンジョン物です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!聖女と皇女、優しさと非情が交錯する迷宮劇。命を賭す応援必至の物語です!
りょーめんさん、『聖女は皇女を狙っている』拝読しました。霧雨の街道から迷宮都市〈ソルディム〉へ滑り込む導入の清涼と、「聖女は皇女の命を狙っている」という宣言の鋭さが、胸を一気に掴みます。蜂蜜色の髪の皇女ヴァレンシアの伸びやかな気配と、手袋に隠されたイサリカの「左手」というアイコン。〈コルバン派〉や教会暗部の影まで含め、日常と非情の切り替えが鮮やかで、世界の手触りが章ごとに立ち上がってくる心地よさがありました。
何より印象的なのは、優しさと非情が一つの身体に同居する構図です。城門で獣人の母子が入城を拒まれたとき、イサリカは左手の力で幼子の痛みを静め、聖印と胆力で衛兵を動かし医師へ橋渡しする―…続きを読む - ★★★ Excellent!!!聖女と修道女が織りなす、闇と葛藤のダークファンタジー
『聖女は皇女を狙っている』は、冷酷な暗部の世界と聖女イサリカの葛藤を巧みに描いたダークファンタジーです。本作は、血塗られた任務の中で繰り広げられる濃密な心理描写と、登場人物たちの相反する信念が魅力です。
特に、シュハの冷酷な拷問や策略の数々に震撼させられる一方、イサリカの「歪みの聖女」としての力が発動するシーンでは、彼女の内なる恐怖と使命感が共鳴し、物語に奥行きを与えています。暴力や恐怖に満ちたシーンの中でも、登場人物の感情の機微を繊細に捉える描写が光ります。
また、舞台となる娼館や迷宮ダンジョンなど、暗く陰鬱な世界観の中で紡がれる物語は、善悪の境界が曖昧な人間模様を映し出し、読後…続きを読む