概要
帰りたくても帰れない。誰かの腕の中で、今日も春は狂い咲く。
犀川よう様自主企画「さいかわ卯月賞」への参加作としての新作短編小説です。
家出少女の美春は友人宅を転々と渡り歩いていた。ある日、自宅に帰宅した美春は母親が寝室で毒の男と逢瀬を繰り返しているのを目撃してしまう。
毒におかされている母親。
男に捕まり、闇に引き摺り込まれる美春。
人生に絶望して家を飛び出した美春が向かった先で待ち受ける永遠の喪失とは。
今日も誰かの腕の中。
埋められない心の穴を慰めるように、染め上げる春が狂い咲く。
家出少女の美春は友人宅を転々と渡り歩いていた。ある日、自宅に帰宅した美春は母親が寝室で毒の男と逢瀬を繰り返しているのを目撃してしまう。
毒におかされている母親。
男に捕まり、闇に引き摺り込まれる美春。
人生に絶望して家を飛び出した美春が向かった先で待ち受ける永遠の喪失とは。
今日も誰かの腕の中。
埋められない心の穴を慰めるように、染め上げる春が狂い咲く。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あまりにも強い葛藤と閉塞感。強烈過ぎる心情に打ちのめされます
主人公の感情描写がとても鮮烈で、否応なく物語に引き込まれて行きました。
「ハル」こと美春はこの世に居場所がないと感じていた。友人の家に住まわせてもらうも邪魔者扱い。
一方で実家に帰ると、体を売ることで生計を立てている母が客の男を連れ込んでいる。
男はハルを見ると下卑た笑みを浮かべ、ハルは身の危険を感じて外へ逃げ出す。
その先で、ハルが取ろうとした行動。その先で思わぬ事態が発生します。
母に対して抱いていた嫌悪。一方で、母がハルに対して抱いていた想い。
タイトルの意味が回収され、ハルが抱えていた強烈な葛藤と行き場のない感情に、読者は激しく打ちのめされます。
生きていれば…続きを読む - ★★★ Excellent!!!作者の非常に繊細な筆致で複雑な感情が巧みに描かれた珠玉の短編です。
主人公の内面世界を深く掘り下げ、彼女の心の中に潜む複雑な感情や葛藤を巧みに描いています。特に、春という季節の象徴的な意味合いと、主人公の感じる厭世感の対比が印象的で、読者に強いインパクトを与えます。
作者の非常に繊細な筆致で登場人物の感情を描写しており、その描写が物語全体にわたって一貫しています。物語の進行と共に、主人公の心情が徐々に明らかになり、読者は彼女の苦悩や絶望に共感せずにはいられません。また、物語の終盤で訪れるある種のカタルシスが、読後感を深くし、余韻を残します。
この作品は短編でありながらも非常に濃密で、読者に強い印象を残すこと間違いなしです。感情の波を感じながら、深いテーマ…続きを読む