初めて小説を書き始めたときに、書きたかった世界が広がっていました。
(わたしは早々に諦めて今の作風に至りました)
皆さんがおっしゃる通り、バトルシーンが圧巻です。
でも、それだけじゃない。
主人公が持つ悲しみを始めとして、登場人物の感情がよく書き込まれているし、すべて納得できます。
主人公たちの能力もチートではないのも、個人的に高ポイントです。
転生もので、どうしても苦手だったのがチートなんです。知識の面では確かにチートなところもありますが、それを忘れる努力の描写が尊かったです。
バッド・エンドではない方も楽しみにしています。どのあたりで話が分岐するのか、勝手に想像しつつ、お待ちしてます。
この作品、バトルシーンの描写が素晴らしいと評判だったので拝読させて頂いたのですが、魅力はそれだけではありませんでした。
まず何と言っても、主人公が魅力的です。本作の主人公ヴィクターは、『棚ぼたで手に入れた能力』を使い、『無自覚に無双』し、『周囲の人間の賞賛を集める』というようなタイプとはまさに対極といっていい人物です。強さに背景や説得力があります。
それから、これもファンタジー小説にありがちな『手抜き満載の中世ヨーロッパ風』などではなく、近未来の日本、地球、それから宇宙へと広がりを見せる壮大なストーリー。基本はダークでシリアスな展開ですが、ところどころ『息抜き』ともいえる描写も混ぜてあり、読者を飽きさせません。
数分読んでスカッとするだけ、特に心に残るものはないような、理由がよく分からない高評価作品とは違い、納得の高評価作品です。
近未来、宇宙開発、月面探索、etc、etc……そんなSF好きにはたまらない単語が羅列される中で、突如発生する『ダンジョン』という言葉。ファンタジーとSF、そして両親の死から始まった復讐劇……三つのチグハグな要素が絡み合った末に、解き明かされる謎は、はてさて何か——。
……という感じで、SF好きにもファンタジー好きにもオススメできる本作です。が、その魅力は、もしかしたらキャラクターの方かもしれませんよ?
まだ第四章の半ばまでしか読んでいない為、今後の展開は読めませんが、主人公のヴィクター君が復讐者としての道を突き進まんとする一方、両親と同様に思わず人助けをしてしまうシーンや、個性強め(?)なキャラクターに振り回される様は、とても親近感を覚えました。
あらすじにもある通り本作は壮大な展開に転がって行くようなので、この人間味に溢れたヴィクター君が、今後どのようにしてこの物語の核心に絡んで行くのか、そして絡まれて行くのか目が離せません。
月面から始まった物語……いずれヴィクター君も自らの復讐心と共に宇宙へと飛び出し、どこかへと着地へとするのでしょう。
その着地点が一体どこなのか……貴方も一緒に見届けて見ませんか?
主人公ヴィクターさんの内に秘める感情、それは復讐です。
探索者の両親がダンジョンで亡くなってしまったことが原因でした。
ダンジョンを滅ぼす目標をたて、心技体を極める毎日。
ついに探索者登録を行いダンジョンに潜ることになりますが、そこは様々な思いを持った人たちが集まっていました。
ダンジョンを介して浮き彫りになる人間関係と裏事情、そして謎。
リアルな現実が書かれているので、ダンジョンができたらこうなるかもという説得力があります。
日常会話は和やかからシリアスまで楽しく読めますし、戦闘表現はスマートな文章かつ濃厚で勢いがあります。
私はヴィクターさんの容赦ない態度や感情が欠落したような思考が好きですね。
彼の心境がこれからどう変わっていくのか。それは良い方向か悪い方向なのか。そこも楽しみにしたいところです。
ダンジョン探索が好きな方、そしてリアリティを感じたい方にお勧めしたい作品です。