本作は、異世界に召喚された葦原梓が、呪われた王子キラと偽装結婚する物語です。キラには「触れた者を死に至らしめる呪い」があり、梓は何度も命を落としながらも聖女の力で蘇ります。やがて彼女は、呪いを解く方法を探しながら、王国の陰謀や権力争いに巻き込まれていきます。最初は形式だけだった結婚ですが、二人の関係は試練を経て本物へと変化していきます。
梓は何度も死を経験しながらも、運命を受け入れようとする冷静さと強さを持つヒロインです。一方、キラは孤独を抱えながらも、彼女との交流を通じて変わっていきます。彼らの関係は、ただのロマンスではなく、信頼と覚悟の積み重ねによって築かれます。神官ユーリをはじめとする宮廷の人々も、権力争いや陰謀を織り成しながら、物語に深みを与えています。
本作には「死と蘇生を繰り返す」設定があるため、まるでループ作品のような緊張感が漂います。政治や魔法の制度が組み込まれたハイ・ファンタジー的な要素もあります。文章はテンポがよく、心理描写が緻密で、映像的な戦闘描写や儀式のシーンも読者を引き込みます。
試練を超えて築かれる関係と、運命に抗う主人公の姿。偽りの関係が本物へと変化し、呪いが解かれたとき、タイトルの通りに二人は真の夫婦として結ばれます。異世界恋愛の枠を超えた、満足度の高い作品でした。
異世界に転移してしまった主人公が、とある国の王子と婚姻を結ばされてしまうところから物語は始まります。
王子も最初は主人公のことを疑っており、邪険にしてしまうこともあったのですが、主人公と共に過ごす中で少しづつ心を開いていき、自身の悲しい過去を吐露するまでに…
本作ではその過程を丁寧に描いているのが見どころです!
また、突然転移させられた主人公の立場に沿った感情と行動をしているのが、よく考えられているなと思ったところです。
一貫して元の世界に帰りたがっており、そのための行動を取るので動機に納得感があります。
そして、状況に動かされるのではなく、自分からしっかり考えて動く主人公なので自然と応援したくなってしまいます。
そして、異世界の文字の読み書き等に苦心する様子も丁寧に描かれていたり、なぜ神官が言語学者と言われているのかという世界観も作り込まれていて、とても興味深かったです!
第一章終了時の現在までは成婚の儀直前までで、今後王妃の邪魔がどのように入って来るのかハラハラするので、続きが楽しみです!
※読み合い企画からのレビューです
「手で触れた相手を殺してしまう」という呪いを受けた第一王子と結婚させるために召喚された主人公・梓
しかし、出てくる男性陣の態度がひどい
本当に、ひどい
皮肉に悪態、恫喝と、聖女として召喚したとは思えない扱いだ
だが、安心してほしい
主人公の梓には根性がある
ただただやられっぱなしではいない主人公の行動に、思わず応援してしまうこと間違いなしだ
また、お相手である第一王子の読者からの好感度は、物語が進むにつれて天井知らずに上がっていく
彼が、自らの呪いのために人を遠ざけ、心を閉ざしてしまったことが、梓にも読者にも理解できていくからだ
読み進めていくうち、二人に幸せになってほしいと、素直に願えるようになるだろう
レビュー当時は第一章までしか投稿されていないが、これから先が楽しみな作品だ