■【こんな方向け】
☑行間から旋律の零れ出すような上質な文章と物語世界を堪能したい方
☑様々な柵(しがらみ)を乗り越えようと強く生き抜く主人公の物語を読みたい方
☑堅物令嬢✕結婚を禁じられたカストラート(虚勢歌手)の恋模様を追ってみたい方
■【あらすじ】
「真面目くさった女はいらない」という理由で、ある夜会で婚約破棄をされたリラ。
そんな彼女を救ったのは美貌の青年歌手・アルカンジェロだった。
リラは彼に心惹かれていくものの、彼は教会から結婚を禁じられた「カストラート」。
思い悩むリラに、父は新たな婚約話を持ってきて……?
本編全44話、番外編3話。
美しく上質な文章で綴られたヒストリカル・ロマンスです!
■【おすすめポイント】
(1)唯一無二の文章
色々な方が書かれていらっしゃるように、行間から流れるように旋律と高らかな歌声が聞こえてくるような、芳醇で上質な文章。
それらと作中に配された詩、ドラマチックな展開とが相まって、心が揺さぶられます。
シリアスな展開もありますが、情熱的に愛が語られる場面もあり、クスッと思わず笑いたくなってしまうシーンもあり。
この味わいはまさしく「読むオペラ」とでも言えましょうか。
今作での読書体験は、無二の味わいがあります。
気になった方はまずは1話、読んでみましょう。
(2)交錯する人々の想い、思惑。それぞれの愛の形。
物語はリラとアルカンジェロを中心に、その家族達、そしてそれぞれの抱く愛の形が描かれます。
それらが、物語に深みを与えつつ、アルカンジェロとリラの愛の形をも浮き上がらせていきます。
こういった、様々に入り組む人々のドラマ、大好物です!
(3)リラは自らの囲いから逃れられるのか……?
身分違いでもあり、そもそも結婚を禁じられた「カストラート」であるアルカンジェロに心惹かれたリラ。
「鬼の騎士団長」「歩く法典」と称される父を持つが故、自らも律した結果「堅物令嬢」と揶揄されるまでになったリラ。
アルカンジェロとの愛を貫くため、その檻から抜けだすことができるのか……?
これこそが、この物語におけるテーマ。
迷いながら、悩みながら、それでもここぞ、という所で決断し行動していくリラを、きっと応援したくなる筈!!
真面目な性格ゆえか堅物令嬢と揶揄されるリラ。
妙齢の彼女には婚約者がいたのですが、冒頭で婚約破棄されてしまいます。
ここで塞ぎ込んだり自分を卑下したりしないのが、リラという女性の強いところ!
音楽と歌が大好きなリラは、やる気のない音楽教師の代わりに新たに雇った美しい青年に恋するのですが……。
しかし、この青年歌手は普通の男性ではありません。
アルカンジェロと名乗った彼は、なんとカストラート!(美しい声を残すために、少年の時期に残酷な手術を受けた去勢歌手のことを言います)
去勢されたアルカンジェロには結婚は許されておらず、まさに禁断の恋!そして、この青年には秘密があって……??
美しい情景描写とゆるやかに流れていく音楽の描写に魅了されると同時に、リアとアルの恋、そしてかつて王国で起きた王子毒殺事件の謎の解明にも目が離せません!
貴族社会という窮屈な世界で生きる女性のヒストリカルラブロマンス。ぜひぜひ、この素敵な物語に触れてみてください。
第一幕までのレビューとなります。
美しい旋律のまなざしが空間を彩る大広間。
上流階級の嗜好に翻弄され声の手術を受けた去勢歌手。
現在の美しい歌声と過去と未来に挟まれた運命の苛烈さとが綯い交ぜになって伝わってきます。
華やかな婚姻の儀も望まない喪に服した未来の色に染まり、心の行方も上向かない。
美中に秘められた残酷を対比的に宿して紡がれる本作は非常に印象的です。
告げられた婚約破棄の悲劇は一瞬の出来事のように。
声が孕む影がさす未来は繋がれた永遠の鎖のように。
時間の織り成すコントラストも読者の心情に訴える要素も取り入れられていて素晴らしいと感じます。
深みのある演出と奥行きのある音の造形美とが小説世界に溶け込み、至上たる品質の向上に寄与するだけにとどまらず、それでありながら物語の確固たる主軸として確立されている魅力あふれる意欲作です。
作者様の音楽への深淵なる造詣が耽美を思わせる。
二人の明るい未来線をたどる時の中で、奏でられる音の世界とともに見届けたい、対比の映える波乱万丈の恋愛物語です。
公爵家で催される煌びやかな夜会、失意の底に突き落とされるヒロインの令嬢……
加えて、運河が網の目状に延びる水の都が舞台とくれば、モードに添った「令嬢ロマンス」が始まる予感でいっぱいです。
しかし本作のゴンドリエーレ(=ゴンドラの漕ぎ手)は、ひと筋縄では行きません。プレリュードも短く、現在や過去の不穏な動きが相次いで提示され、読者は程なく“謎めいた運河”に誘われます。
──十年前の手記📙 密偵🕵️♂️ 王子毒殺事件☠️ 王位をめぐる暗闘👑
ヒロインは知らぬうちに巻き込まれ、そして勇気を奮って核心に迫ります。精密に構成された謎解き部分には触れることが出来ませんが、実に見事な宮廷ミステリーに仕上がり、エンディングで全ての読者が溜飲を下げるでしょう。
そこに、ヒロインとカストラート(去勢歌手)との“禁断の恋”が絡むところが、本作を唯一無二の物語たらしめています。
事件の解明と恋の行方、縦軸と横軸はいずれも読者を強く惹き付け、読み手は終盤で絢爛たるアラベスク模様を目の当たりにすることになります。
特筆すべきは、作者の知見に裏打ちされた数々の描写で、それは声楽や歌劇に関する詳細な補足説明に留まりません。
「〜島国、ブリタンニア王国は新大陸の植民地経営で潤って(略)優秀な音楽家に高額で契約を持ちかけている〜」(七話より)
架空の国に置き換えられていますが、水の都を取り巻く当時の国際環境を始め、背景は史実に沿ったものと捉えます。楽器や調度品、習慣などを含め、後期バロックの世界観をここまで忠実に再現した日本語の小説は、類例がないでしょう。
これがウェブ上で配信されたことに感嘆すると同時に、決して大上段に構えず、さらりと軽やかに記されている点が秀逸です。
🌊🚣🌊
是非、手練れのゴンドリエーレが操る舟に乗って運河を巡って下さい。最後に素敵な風景に出会えることは確実です。
ヴェネツィアのカーニバルにも似た大建国祭のなかを、主人公のリラとアルカンジェロは、禁じられた恋に身をやつしながら、情熱的に駆け抜けます。
文章がとても美しく、読みやすいです!
イタリア・ヴェネツィアをモデルにした、音楽の世界が、運河の町並みが、大祭の躍動が、貴族社会を生きるさまざまな人々の想いが、生き生きと目の前にあふれてきます。
まじめで固い蕾だった少女が、恋にふれて花ひらいてゆく様子が、丁寧な心理描写、情景描写であらわされています。
本格的なのに、軽さがあって、読みやすい。本格的であるからこそ、読みやすい。エンタメとしても文学としても、バランスがよい。……この飛びぬけたバランス感覚こそ、綾森先生ワールドの魅力だと思います。
磨きぬかれた音楽が、磨きぬかれた文章に乗せられた、奇跡的な作品だと思います。作者様が積み重ねてきたであろう、膨大なる音楽の経験、イタリア生活の経験が核となり、ゆるぎのない文章として、結晶の花びらを咲かせてます。大輪のリラの花として、咲き誇っています。
お読みいただければ、最初の数ページで、そのことを実感できるでしょう。
この時、この場所にひらいた奇跡の花を、ぜひ堪能してください!!!
バロック時代の荘厳で華麗な貴族社会の光と影を、美しいチェンバロの調べとカストラートの甘美な歌声が包み込みます。
作者様のバロック音楽や時代背景に対する深い造詣が各所に見られるのも作品の魅力!
そんなバックボーンの上で歌うのが、堅物令嬢と揶揄されるリラ。
政略結婚の駒にされながらも運命を受け入れ、幼い頃の初恋の記憶を胸に、懸命に自分を貫こうと奮闘する彼女の芯の強さには、現代という見えない枷で縛られた時代を生きる読者にも共感するところが多いように思います。
しがらみと責任。情熱と愛。
その狭間で揺れ動く心はやがて、国を揺るがす大きなうねりとなっていく!
人を想う気持ちが巻き起こす奇跡の物語!
物語の美しさ、音楽のすばらしさにただ酔いしれるだけ。
読めばわかります。
過剰な描写で上滑りするような文学的な表現はないのに、重厚で美しく感じられる世界観が本当に心地良い。
人間味のあるキャラクターたちが織り成す悲喜こもごもに目が離せません。
主人公のリラ以外にも人生があり、サブキャラクターと呼ぶには惜しいほど、みんな生き生きと……違いますね、必死に生きている姿が目に浮かぶようです。
読めばわかる。
1話1話最後まで追うのも楽しかったですが、一気に読んだらまた違う没入感があるのだと思います。
完結した後から読まれる方はぜひ、それを体験してみてください。
主人公の令嬢、リラ。ある日、彼女は婚約破棄されてしまう。
幼い日に会ったアルベルト殿下の毒殺事件の真相を追っていたリラにとって、この婚約はアルベルト殿下毒殺の首謀者に近づくチャンスでもあった。
婚約破棄され、毒殺事件の真相にも近づけず、リラは落胆する。
そんなリラだったが婚約破棄された夜会で美貌の男性歌手、アルカンジェロに出会って……
リラとアルカンジェロの仲がじわじわと深まっていく過程にキュンキュンしました!
状況設定や主人公のまわりを取り巻くキャラたちも、すごく魅力的☆
音楽の知識が豊富な作者様の作品だけあって、作中に登場する音楽関連の描写がすばらしいです。造詣のある人でないと描けない描写の数々は、ほんとうに必見。
主人公以外の登場人物たちもステキで、物語が進めば進むほど彼らが愛しくなりました。
リラの恋模様の裏でうごめく陰謀が解き明かされていく過程も面白く、最後までドキドキ、ハラハラしながら読める良作です☆
クロード・ドビュッシーの名言のひとつです。音楽家らしい言葉だと思います。
この物語では、色んな楽器や歌など、様々な形での音楽が奏でられています。その音色の数々が巧みな筆遣いで表現され、まるで言葉の限界の壁を突き破ったかのようです。
イタリアのヴェネツィアを思わせるヒストリカルな世界観で始まる婚約破棄、美しいカストラートとの出会い。蘇る幼い頃の鮮やかで苦い初恋。許されぬ禁断の恋と秘密に燃えて悶えるふたりの歌声。まるでオペラのように優雅に、時に軽快に進んでいきます。
何もかもを捨て去って、誰も知らない場所で貴方とふたり、見つけた愛を糧に生きていられたら……。
そんな決意と甘い希望の矢先に起きた事件。再び引き裂かれそうになるふたり。準備の時は過ぎ去りました。さあ決断の時、檻を破って羽ばたけるでしょうか?
こちらの作品は、ただのロマンスではありません。
堅物令嬢と揶揄されるリラが、心優しい青年アルカンジェロと出会い、禁断の恋に落ちます。しかし、彼にはカストラート(去勢歌手)意外にも大きな秘密が隠されていました。
物語は、二人の愛が試される中で、リラが自らの殻を破り、運命に立ち向かう姿を描き出します。
特に、音楽描写は秀逸で、読者は物語世界に引き込まれるでしょう。
他の方のレビューにもあるように、「まるで一本のミュージカルを観ているよう」な感覚を味わえます。また、恋愛要素だけでなく、ミステリー要素も含まれているため、飽きさせない展開となっています。
「初恋はリラの花のように~」は、ロマンス、ミステリー、成長、そして音楽という要素が絶妙に組み合わさった、エンターテイメント性の高い作品です。
ご一読されることをお勧めします!
この物語は、お約束の婚約破棄から始まります。
この場合、破棄された後に令嬢がどう立ち回り、どう物語が展開していくかが重要で、そこが面白くないと読みたくなくなるものですが、そこは作者様の腕の見せ所!
破棄された瞬間から読者の心を鷲掴み!
主人公は儚く守られるだけの令嬢じゃないのです。
十年前に暗殺された王子への、淡い初恋を胸に秘めた健気な一面を持ちつつも、その謎を解き明かそうとする靭やかな強さを持つリラ。
婚約破棄からその取っ掛かりを失い、失意の中出会うのは、運命の相手アルカンジェロ。
しかし、ヒーローの素質を詰め込んだ麗しの彼は、カストラートと呼ばれる去勢歌手で、普通に結ばれる事はない相手。
禁断の恋!
抑えきれない恋心!
燃え上がる二人の熱い想い!
きゃ〜! ハーレクイン・ロマンス!!
物語を彩るのは、作者様の音楽に対する愛情と深い造詣。
その表現は、物語を読んでいるのにまるで一本のミュージカルを観ているよう。
読めば読むほど、読者は文章から溢れ出す音楽と情緒の波の虜になるでしょう。
さあ、あなたもぜひ観劇を!
お勧め致します!
教科書に載っていないような言葉がたくさん出てくる、って表現したら分かってもらえると思うのですが、そうしたことが出来るのってやっぱり作者様が文化を知っているからなんだと思うんです。
美しい情景描写、ビロードのように流れる音楽、華やかなドレス、心と胃を満たしてくれる料理、そのどれもが「あ、作者さまならではの表現だな」と拝読しながら感じていました。
(文化を書くのってほんとうに難しいのですよ、わたしも苦労した経験があるからまじまじと読んじゃいまして💦)
主人公リラは幼き頃に毒殺された王子の事件にまつわる秘密を解き明かそうと画策しているのですが、彼女の前にイケメンのかっこいいアルカンジェロという歌手があらわれてリラは次第に彼に心惹かれていき……というストーリーです。
映像に訴えかけてくるような文章も魅力なのですが、何より気になるのはストーリーの行方です。
——アルはあのアルなの?(←これわたしの心の声ね笑)
ちょっと他では聞けないようなお洒落なセリフもたくさんあります。
恋の行方はどうなるのか、文化を堪能したいという方にもおすすめです!