バンド、この響きは音楽をしていた人間には、特別な感情を思い起こさせるかと思います。
バンドの仲間というのは独特です。単なる友達というニュアンスとは違い、独自の結びつきがそこに存在します。それは「音楽」というファクターが生み出す人間関係に他ならないからです。
それぞれが持つ「音」を持ち寄り、ひとつの「音楽」を作り出す力。エモーショナルであり、クリエイティブでもあり、アグレッシブでもあり、ウエットでもあり、ロジカルでもあり、グルーブがあり、そして素晴らしいケミストリーが存在します。
バンドで出す「音楽」って最高なんです。
本作はそんな音楽小説です。
人間をしっかりと書き込む事で、ただ「バンドやろうぜ!」というノリでなく、そこに様々な「生き様」が「音楽」を通して描かれています。そこにリアルが存在し、ゆえに「熱い」んです!! あっ、単純な熱血とかとは違います。それは、
人の持つ地熱の様な「熱さ」!!
それがこちらの小説が生み出す最大の魅力かと思います!!
お勧め致します。
音楽を愛する人達に「強く」そして「熱く」お勧め致します。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
音楽がテーマの作品は、アニメや漫画や映画で見たのがほとんどで、web小説(長編)は本作品が初めて(記憶が正しければ笑)でした。
そんな状態の自分でも、その場でそれぞれの音楽を体感しているように思えました!
そして音楽とともに描かれている各キャラクターの内と外にも注目!
それぞれが心を動かし、体を動かし、人となる。とてもリアルな人間ドラマになっています!
読めば読むほど物語の中に入り込み、いつしか小説ではなくテレビドラマや映画のような映像作品を楽しんでいる気持ちになっていました!
あと、自分もほんの少しだけ音楽をかじっているので、時間作って音を楽しみたいと思いました!
ありがとうございました!
バンドにまつわる青春物語……
そう言ってしまったら、凡百の作品群を想像してしまう人もいるでしょうけれど、この物語は違います。
挫折と再生、今を諦めたくない人々の祈りを背負い、音楽に限らず何かを成し遂げたい人の背中をそっと押してくれるだけの確かな力がある。
しっかりした知識を背景にしている為、音楽ファンなら誰しも唸るでしょうし、それにもう一つ……
構成が凄く凝っています。
本格ミステリーでも中々ないというレベルの「仕掛け」がありまして、一度読み終えてから読み返したくなる事、必然!
勿論、私も再読するつもりでいます。
突然ですが、音楽は生きています。
音楽は性別も年齢も場所も関係なく垣根を越えて心を結び、人は決して独りじゃないのだと証明してくれます。
この物語も、音楽と同じ。
――生きているのです。
舞台は、高校。軽音部。彷徨い悩む年齢です。
それはこのお話も例外ではなく、登場人物ひとりひとりに葛藤がありました。彼らの心の音は、まるで糸が絡むように複雑に乱れていたのです。
しかし、彼らはやがて仲間を見つけます。
ボーカル、ギター、ドラム、ベース……。
ひとりでは解けない糸も、ひとりでは奏でられない音楽も、ひとりではないのなら――。
いつか、光は差し込むのです。
目に浮かぶ情景。そして、時に激しく時に穏やかに紡がれる繊細な言葉の数々に、何度も胸が熱くなりました。
本日完結となりましたが、終わってしまった今、非常に悲しい気持ちでいっぱいです。しかしそれと同時に、海の中を揺蕩っているようなとても心地の良い感情に包まれています。
まだこちらのお話に触れたことのない方、ぜひ覗いてみてください。自信を持っておすすめできる、とても素敵なお話です!
そして読み終えた時、きっとあなたも誰かに紹介したくなる筈です。皆さまも、ぜひ!
レビュー執筆時点で、track4-6まで読了。
青春バンド物、そのようなくくりで語ってよいのかは、私がそのジャンルに詳しくないので分かりません。
ただ詳しくないなりに、この物語に熱があり、その熱を感じて物語の中を駆け抜けていくことに爽快感を感じています。
熱いけれど、それはやけどする感覚とはまた違い、ふれれば割れてしまいかねない繊細さもあるように感じ、棘や仄暗さを含有しつつも全体の構成はさわやかでみずみずしさがあります。
それがいわゆる、青春というものなのかなとも思います。
物語のあらすじについて。
気心知れたはずの仲間とのトラブルで、歌から離れてしまったボーカリスト。
彼が出会いによって再起していくストーリーラインは、言ってしまえば青春を構成要素とする物語の王道ともいえるものです。
であれば、この物語が目を惹き、今こうしてレビューを書くに至らせたエネルギーは、小手先の物珍しさなどではなく作品そのものの魅力なのだと思います。
ストレートな作品だからこそ、パワーも魅力もまっすぐに届くのだろうと感じます。
物語は完結まで書かれているとのこと、そして現在読んだ内容はまだまだ物語のサビには至っていない。
ここからまだ、おもしろいものを読める。
楽しみにしながら、続きを追わせていただきます。
『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生が、新川直司先生の『4月は君の嘘』を絶賛した際、次のようなこと仰っていました。
「漫画で音楽を表現するのは難しい」
音という武器を使えない漫画において、音楽をテーマに面白い作品を書くのは至難の業。
しかし、『4月は君の嘘』は漫画なのに美しい音色が聞こえる。
確か、そのような評価をされていたはずです。
何故、突然この話をしたかというと、この小説の魅力を語る上で必要だったからです。
漫画よりも音とは関係の薄い小説で、音や歌声が聴こえる。
明るい声や不安な声が聞こえてくるリアルな心理描写は一読の価値があります!