いやね、私ゃ木古先生のホラーなんて大ファンなんだから、読むつもりであったものの、読みたい物が山とある日々……しかし、書籍化され小俵マリコ先生の素敵な装画が公開されて、ホイホイ恭二と柊一の顔に釣られて一気読みした、愚か者の繰り言です……。
ホラーの世界を考える時、「幽霊や怪異の認知度はどの程度か?」「現実と同程度ならば、なぜ認知されていないのか?」「なぜ怪異は実際に害をもたらすのか?」という疑問が湧いてくることがあります。
以前、私は既存の宗教がそれぞれを鎮め守っているから――という仮説を立てたことがあるのですが、まあ色々とそれだとマズいなと悟って棄却しました。
そこへこの『偽葬家の一族』が持ち出すのは「葬儀によって怪異を鎮める」! これはなんとグッとくる設定でありましょう!
拝み屋さんの小話で、「ウソの人生を怪異に貼り付けると、神仏が強制成仏させてくれるという方法がある」という物がありましたが、偽の葬儀、偽の人生、偽の家族、そして――というテーマの繋げ方、アップテンポに転がされていくストーリーと転がし方。そして一段落まであれよあれよと目が離せない仕上がりとなっておりました。四郎さんの朝ご飯食べたいです。
読めば面白いと分かっていながら、今日まで序盤しか読まず、感想も寄せず、まとめてレビューを装った独り言にすること、お許し下さい……。
四時間ある台湾映画とか、細かい所でも笑ってしまいました。今後も続くとのことですので、ぜひ楽しみにしております!
幼い頃に一家離散し、親代わりの祖母とも死に別れた天涯孤独の青年・出淵恭二。
生活に困窮した恭二は、山で穴を掘るだけで日当十万円というバイトに参加するが、突風と共に現れた「なにか」によって、土中に生き埋めにされてしまう。
酸欠で意識も朦朧とし、死を意識したそのとき――穴の上から恭二を覗く、喪服姿の奇妙な男女を目にする。
2人はなぜか、初対面のはずの恭二を「弟」と呼び、強引に彼ら“平阪家”の一族が住まう家へと連れていく。
そこには、恭二の「祖父母」と「父母」だという、全く見知らぬ怪しげな人々が待ち受けていて……?
由縁不明の怪異を葬るための拝み屋的集団“偽葬家”に招き入れられた青年が、謎めいた平阪家の人々と怪異に対峙していく物語!
一癖も二癖もある平阪家の人々が抱えるそれぞれの過去や事情、そしてラストで明かされる驚愕の秘密とは――。
淡々と乾いた雰囲気の中にもユーモアや切なさがにじみ(もちろん恐怖も……)、特殊な世界に生きる人々のどこか様子のおかしい(楽しげな)掛け合いは必見です。
民俗学、オカルト調査、バディブロマンス、疑似家族、などなど、ひとつでも気になった方はぜひお試しを。
大好評シリーズ「領怪神犯」の著者が満を持して贈る、新たなエンタメホラーをどうぞお楽しみください!