ハイポ探そうぜハイポ
作者:前話数とのタイトルのやる気の差で風邪ひきそう。
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「さて祥平がヤる気になってくれたところで……なにから始めるかにゃ?」
「ノープラン乙」
翌日の祝日、挨拶も終えてオレたちは部屋で作戦会議をしていた。議題は一歩目で何をするかという話。
ちなみに両親同士の挨拶はすでに終えていていつでも遊びに来て良いって確約ももらった。昨日ベランダから侵入していた件については引き攣った顔をしていたななかマッマ。そら(自分の知らない間に見知った男子の部屋にベランダ伝いに逢瀬をしにいったら)そうよ。
あとで絶対怒られるやつだわ、常識を学んで来い。なお常識は
「とりあえず生配信は怒られそうだから先延ばしでしょ?」
「この時代で生配信なんてあまり流行らんからな」
「古き良きニヨニヨが現代でもう一度味わえるのは嬉しいね」
「ハイポ探そうぜハイポ」
「もっと高めて果てなく心の奥まで」
「とかちつくちて」
ちなみにすでにハイポはすでにあった。そしてオレたちは自分のネット環境をもっている小学5年生。つまりそういうこと。
「歌ってみたはもう始めてもよさそうだけどね」
「防音環境と収録環境が今はない」
「祥平パッパの機材は?」
「オトン次第」
オトンは機材持っているけどあくまで収録素材のみ。環境が整っているとは思えない。ちなみに昨日のうちにネットで活動する方向性については両親に共有済みだ。そしてななかの両親たちにはすでにネット活動すると本人から話をしたとのこと。その際にオレのことはまだ話してなかったらしい。そりゃそうだ、ナイス判断。
「でも部屋と機材を見た感じそこそこ良いの使ってるから歌みたとかはすぐにできると思う。動画撮影はカメラ……はオカンが良いの持ってるし多分画像加工ソフトあると思うから夜聞いてみるよ」
「デジカメって便利だったんだね」
それはそう。202X年の頃は良かっ……いや色々と良くなかったわ。あんな精神不安定ドブラックメンタルは二度とごめんだわな。
あとオトンの使ってるオーディオ機材はオレでもわかる有名なやつだった。使い方まだわかる、安心。
「生放送はニヨニヨ動画で動画投稿はニヨ動とYouChube両方で良いんじゃない?」
まぁそうよな。
「サムネ作れねぇな」
「えー? そこはいい感じにぐわーって作ればいいんじゃない?」
本当に適当。
「やっぱりあいつら召喚しましょう」
「そうしましょう」
絵を描くなら幼馴染(予定)のあいつに任せよう。え、企画構成? もう一人の幼馴染(予定)にやらせればええんちゃう? あらやだ、幼馴染たち有能。しかもそれで有名になっちゃうんだからもうやだすごい。
「ところであいつって今いる?」
「えー? また明日でいいんじゃない?」
「明日どうやって呼び出すつもりなのよ」
「机に手紙を入れる」
「思春期なめんなカス」
誰かにバレてみろよ処刑モンだぞ。
ということで手紙案はバツ。
「普通に呼び出しすればいいんじゃない?」
「校内放送で?」
普通にっつってんだろ。
「一人ずつ呼び出して」
「そしてシメる」
任侠じゃねぇんだよ。
「だから普通にお願いするだけでいいだろって話」
「なるほどねー」
本気かコイツ……。
「明日火曜だから午後にあの授業あるだろ」
「あークラブ学習の時間ねー」
これから転校予定の学校ではクラブ学習というなんか自由にクラブ活動が行えるという時間がある。ほかでこんな授業があるかは知らん。
野球やバスケとかの運動系や吹奏楽や声楽などの文化系もあればコンピューターやHTMLなどの情報システム系もある。なぜかHTMLだけシステムが違う。なんなら資格のための勉強をするという。なんで?
オレは前世で野球クラブ、ななかは声楽クラブだった。
「アイツって漫研だっけ?」
「いやお絵かきクラブだよ?」
漫研は大学か。そしてあいつは中退してたな。
「ならオレもお絵かきクラブにするか」
「一緒に歌おうよぉ~」
「だが断る」
音痴に未来はない。
「どうせカップルチャンネルになるんだから今のうちに練習しとこうよ」
「いつのまに開設してん?」
「そのうちの未来近くないうちに」
なにそれコワイ。
「今度一緒にカラオケいこうよ」
「……今度な」
なんだかいつか押し切られそうでコワイ。強い気持ちをもたないと……!
「ねっ♪」
「……今度な」
いかん、今度なBOTになりそう。
「だけど祥平絵描けないでしょ?」
「それはそうだけど……今のうちに練習しておけば」
「カラオケも、ね?」
「……はい」
しまった押し切られた……。フラグ回収するの早くない?
「でも今のうちに練習するのはいいね~」
「オレの場合何をすればいいかわからないから手札を増やすしかないんだけどな」
「切り札みたいなものもあればいいんじゃない?」
「なんでファンタジー主人公みたいな話になってんの?」
話題が転換しすぎてツライ。
「でも切り札は言いすぎても自分の手札でコレ! ってのは作っておかないとだめじゃない?」
「アピールポイントかぁ……苦手なんだよなぁ……」
「企画側の人間ってつらいねぇ」
「なんで他人事なんですかねぇ?」
あなたも今日から企画側だよ。
企画側に必要な人脈とか今の時点でどうしろと言うんですか。まぁこれから知り合っていくわけですが。
「まぁ今から死ぬほど絵の練習すれば将来そこそこの絵を描けるようになる、と願いたい」
「で、先にどっちを勧誘するの」
わかってるような顔で聞いてくるカワイイ幼馴染。けっ、言わんでもわかるやろがい。
「もちろん将来プロ漫画家の方だよ」
「それじゃあ祥平くんも今日から一緒にクラブ活動するのでよろしくね」
「蒔崎祥平です、よろしくお願いします」
先生からパスを渡されて挨拶。なるべく目立たないように。
「それじゃあ空いてる好きな席に座っていいよ」
と言われたので空いてたアイツの隣に座る。なおほかに空いている席はたくさんあるし、なんなら隣同士で座ってる人がほとんどいない。一クラス30人前後のクラスでこのクラブはだいたい15人くらいしかいない。不人気なクラブだこと。
「えっと……よろしくな!」
「よ、よろしく……」
パーフェクトコミュニケーションの道はまだ遠い。
ややくせっ毛で目を完全に隠している黒髪で片目を隠した猫背の少年は居心地悪そうにしている。
「それじゃあみんな好きに絵を描いていいわよ~」
一気に雑談ムードというか、ざわざわと話始めたり絵を描いたりと小学生らしい自由な時間に変わった。これなら話しかけても大丈夫そうだ。
「オレは祥平って言うんだけどお前は?」
「お、おいらは葉介……酒々井葉介(しすい ようすけ)」
「なら葉介だな、よろしく!」
「うん……よろしく……」
記憶ではもっと元気でやんちゃな印象だったけど……こんなに陰キャ陰キャしてたっけ? とりあえず情報収集。
「葉介は今なんの絵を描いてるんだ?」
「え、と……わかるかな……グレン〇ガン……」
「マジでー!? センスいいじゃねぇか!」
天元突破グレン〇ガンをこのころから描いているとは……恐るべし。しかもシ〇ンやヨ〇コとかのキャラではなくメカのグレンラガンのほうとは! 手描きだからかパースはかなり甘いもののしっかりメカ特有の無骨さと何といっても迫力がとんでもない。しっかり模倣されていて小学生のデッサンとしてみるなら金賞行ってても間違いはない。あとはあれやこれやを調整できればもっと格好よく……言ってもいいんか? いや、今は止めとこう。
要するに、だ。
「え待って、めっちゃかっけぇやん……! なんやお前、神かよ……」
「そ、そんな言われても……ありがとう……神?」
めっちゃかっけぇってことだ。
「祥平くんは……どんな絵を描くの?」
「わからん! 絵を描くのが苦手だからこっち来てみた!」
「えっ、そ、そうなの……?」
「おうとも! だから何が良いか教えてくれ!」
まーじで絵はわからん。
「そ、それなら……す、好きなもの描けばいいと思う」
「アニメキャラとか?」
「う、うん……おいらはグレンラ〇ン好きだから……」
「やべぇ……葉介とめっちゃグレンラ〇ン語りたい」
「そ……れは、休み時間にでも……」
どうやら同志……げふん。どうやら仲間を見つけられたようだ。嬉しいよ。
惜しむらくは前世でもっと早く気付ければよかった点。
「なら今は絵を描くか……。初心者は何描けばいい?」
「えっ、えっ、えっと……す、すきなもの?」
それはさっき聞いたな。オレもグレンラ〇ン描いてみたい。けどいきなりは無理だな……将来の夢はアークグレンラ〇ンを描くこと。いいね。
「うーん、わからんから花でも描いてみるか」
「あ、いいかも。教卓に花瓶と花があるから、実物みながら描くのは描きやすい、と思う、よ」
「ナイス! あとでアドバイスくれ―――」
「ちょっとあなたたち」
なんか誰かに呼び止められた?
「ん? なんだ?」
「なんだ、じゃあありません、いい加減しゃべるのは止めてもらえますか?」
委員長か何かですか?
「それってオレらに言ってる?」
「ほかに誰がいるんですか?」
高飛車! 高飛車キャラだ! でもオレはお前のこと知らんぞ!
そしてオレだけじゃん! みたいなことをいうとムキーってなるに違いない。賢いオレはわかる。
「わりぃわりぃ、描くモノに悩んでたから相談してたんだよ、これから静かにするから。あとオレの名前は祥平だ」
「フンッ」
名前を紹介したというのに名乗り返してくれないとは……。最近の若いのはなっとらんな!
あと葉介を睨んでなかった?
「アイツ誰?」
「た、立花さん。た……立花瀬理奈(たちばな せりな)さん」
「ほーん? なんで睨まれてるん?」
「わ、わかんない……」
わからんのかーい。
まぁどうせオレらが気に食わない不快感か絵が上手いでの嫉妬かもしくはしょうもねぇ些細なことだろ(鼻ほじ)。放置が一番。
「そういえば家はどこにあるん? 今度遊ぼうぜ!」
なんかどこかの誰かさんがこっち向いてる気がするけど放置。
「えっ、えっ、えっと……」
「気にすんなって」
「い、いいのかなぁ……」
気にしたところで仕方ないじゃあないか。どうせオレか葉介がフラグ回収するでしょ。
「えーっ! 家近いの!?」
「みたいだなぁ」(棒読み)
これでわいらはズッ友ダョ。
あと花は無事に完成した。花お絵かきRTAを完走した感想は人を食ってそうだなと思いました。Fa〇eのBADENDに出てくるアレみたいな感じ。逆に芸術品ができたような気がする。なお葉介は苦笑いして感想を濁された、そっちのほうが傷つくで。
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hosikudasai!!
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