概要
豊臣家の人々
豊臣秀勝(豊臣秀吉の姉・ともの子。豊臣秀次の弟)と江(豊臣秀頼の母・茶々の妹)の子・完子は、まだ乳飲み子の頃に秀勝が病没し、結果、江が徳川秀忠に嫁入りすることになったため、江の手から離れ、茶々の養子、すなわち豊臣の子となった。
さらに秀次が侍女の中から推した女を乳母とし、完子は成長する。
秀次の乱行による切腹とその一族の処刑や、関ヶ原の戦いを経て、やがて茶々の差配により、完子は公家の名門・九条家の忠栄に嫁ぐことになる。
嫁入り前夜、豊臣家の身内だけの宴が催され、乳母は、秀頼のことを父の関白によく似ていると褒めそやす。
直後、乳母は死体で発見される。
完子の愛猫がその死体の手を舐めているところを、秀頼が発見したのだ。
十年後、乳母の怪死事件に居合わせた、完子の愛猫が死ぬ。
秀頼
さらに秀次が侍女の中から推した女を乳母とし、完子は成長する。
秀次の乱行による切腹とその一族の処刑や、関ヶ原の戦いを経て、やがて茶々の差配により、完子は公家の名門・九条家の忠栄に嫁ぐことになる。
嫁入り前夜、豊臣家の身内だけの宴が催され、乳母は、秀頼のことを父の関白によく似ていると褒めそやす。
直後、乳母は死体で発見される。
完子の愛猫がその死体の手を舐めているところを、秀頼が発見したのだ。
十年後、乳母の怪死事件に居合わせた、完子の愛猫が死ぬ。
秀頼
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!真実は、鈴の音とともに蘇る
静かな夜だった。
祝言を控えた完子のために、城の奥で催されたささやかな宴。
茶々、千姫、秀頼、そして乳母。
たったそれだけの、はずだった。
けれどその晩、ひとつの命が密かに消えた。
誰も語らず、誰も問わず、誰も裁かないままに。
残されたのは、猫だけ。
鈴を鳴らしながら、冷たい手をなめていた。
それから十年。
猫は老い、そして死んだ。
そしてそれが、すべてを呼び覚ます。
完子の夫・九条忠栄は、ただの記憶と思われていた出来事に、
ぞっとするほど冷たい真実を見出していく。
城の中で交わされた言葉。
言わなかった者のまなざし。
そして、ひと振りの刀が引き裂いていく。
血の継承。名の偽装。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!豊臣家、滅びの理由
「汝(われ)には子種がないのだ」
信長はあごをあげ、おかしそうに笑った。この不格好な猿めに子種があってたまるか、という、そんな哄笑であった。
――司馬遼太郎『新史 太閤記』より
豊臣家の滅亡。そこに至る経緯――方広寺の鐘銘事件に端を発し、徳川家からの大坂城退去要請の拒否、そして自滅的な大坂の陣――を時代小説で読むと、どうにも豊臣方の打つ手の拙さに歯がゆい思いがします。徳川方(というより家康とその謀臣たち)は確かに悪辣ですが、豊臣方の対応如何によっては、公家になるとか数万石の小大名として生きる道もあったのではないかと、後知恵ながら思ってしまい…続きを読む