概要
雅志君、こっちの世界のこと、思い出すことありますか?
もし、私の子供やきょうだいや、家族の誰かがある日突然いなくなってしまったらどうするだろう? 転移ものを読んだ時、ふと浮かんだ思いを物語にしてみました。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!いなくなった息子を待ち続ける父親の、不抜の信念と愛情の話。
高校生の一人息子が何の手掛かりも残さず消えてしまった。
受け止め切れない衝撃に襲われた夫婦は消耗していく。警察はお手上げ状態、妻は「息子は異世界に転移したのだ」と流行りのラノベを読み漁っては現実逃避を始めてしまう中、気丈に息子の捜索を続ける夫が本作の主人公。
剣も魔法も無い現実世界で、警察でも探せない行方不明者をどう見つけるのか。主人公を襲う押し潰すような無力感と焦燥に、もし自分も、突然家族や大切な人がいなくなったらと考えてしまうリアリティがあり胸が詰まる。
それでも子供の無事を信じるのが親という生き物であり、何か息子に繋がる情報は無いかと息子の同級生らに話を聞いて行くが……。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!細やかで丁寧な情景描写と心情描写。まるで映像を追っているような没入感。
異世界へ旅立った息子のご両親のその後、という興味深い設定の作品です。
異世界の存在を何も知らぬまま、息子の失踪を受け入れねばならない両親の苦悩。読み進めるうちに、読み手はファンタジー的な気軽さからいつしか遠く離れた場所に佇んでいることに気づきます。息子を突然失った親の動揺、不安、悲しみ。息子は生きているのか、もうこの世にいないのか。その原因は……彼らの苦悩の一つ一つが、ひしひしと胸に迫ります。
情景と心情の描写が大変丁寧で細やかです。文字を読んでいるはずが、いつしか映像を追うような没入感でページをめくってしまいます。
この世界の人間を異世界へ召喚する女神は、その家族へ言葉を尽くしたメッセー…続きを読む