霊的現象に挑むミステリーシリーズ。緊迫の「異界」の描写がびりびり来ました。
主人公である蓮宮玲子のもとに伝えられた、「一個の事件」についての報告。
怪談の踊り場の鏡は「異界」と繋がっており、一人の女子生徒がそこに囚われてしまったという。
玲子はすぐに助けるために出動し、「住職」と共に鏡の怪異と向かい合うことに。
その先で描かれる「異界」の描写が「精神世界」ならではのつかみどころのない緊迫感に満ちていて、とても面白かったです。
心の中でイメージしたものが形になり、玲子と住職では違う映像が見えている。
これを映像化したらどんな感じになるのだろうなあ、とすごく興味が湧きました。玲子には消えた女子生徒の姿が「あるもの」に見えていましたが、この場において「それ」は果たしてどう見えるのか。
ほのぼのしていそうにも感じられるし、かえって恐怖を喚起するものにもなるかも。
ヴィジュアル的な想像力も強くくすぐられ、満足感の高い一作でした。