概要
その日から、彼女の世界は音もなく歪み始める。
家庭の理不尽、優しさの不在、少女の怒り。
そして——ふとした瞬間に芽吹いた、静かな狂気。
「世界は何も知らない」
夢と現実の境界が揺らぎ始めるとき、
彼女は「選ばれなかった子供」から
「世界を選ぶ支配者」へと変貌していく。
これは、深淵への第一章。
その足元で名を刻まれる者の物語。
※第一章~第三章 はスキップしても問題ないように構成しております。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!とにかく読みやすい!先が気になりすぎる現代ホラードラマ!
虐待されている少女が主人公。
現代ドラマを丁寧に描いたホラーです。
日常を丁寧に描くから作品の質が高いんです!
でもそうなると「さくさくと読めないんじゃない?」って思っちゃいますよね。
それが、とても、読みやすい。
文章に雑味がなくてシンプルな描写で「すっと」頭に入ってくるんです。
そして落ち着いた現代ドラマ風味ですので、漫画のような極端な人物描写にならず、ちょっと現実味があるんです。怪しい教団もいい味だしています。
ダークで鬱屈してるけれど、胸糞悪くて読むのがしんどいっていう風にならないんです。
不思議です。
実はまだ1章しか読んでいないのですが、とても面白いです!おすすめ! - ★★★ Excellent!!!息苦しい日常から立ち上がるためのホラー……。
一章まで読みました。
この作品は、日常の息苦しさを丁寧に積み重ねることで読者の心を掴む、文学的な深みを持った作品だと感じました。
息苦しい、痛々しい、生々しい。その中にあるリアリティは、読者の心をつかんで離さないでしょう。
最大の魅力は「人が消えると記憶からも消える」という設定を背景に、少女の過酷な日常を描いた世界観です。
派手な事件ではなく、鍵の締め出し、空腹、孤立感といった「毎日の不快の積み重ね」でどんどん少女の気持ちに立って考えてしまいます。
一人称の短文と浅い呼吸のリズムで綴られる文体によって、主人公の息苦しさをそのまま追体験させられます。
近所のばぁちゃんとの小さな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!“ふつう”を願う少女と、静かに染みていく絶望
1章を読み終えての感想です。
真澄ちゃんの抱える日常は、あまりにも静かで、あまりにも絶望に満ちています。
声を上げることも、助けを求めることも許されない。
そんな環境のなかで、ただひたすら息を潜めて生きようとする彼女の姿が非常に痛々しい。
それでも、隣人のおばさんがくれたクッキーや、ちょっとした言葉に心が揺れる真澄ちゃんがいて、けれど、それすらも罰せられる世界。
優しさが命取りになる、そんな構造が本当に怖かったです。
ラスト近くの声や異質な感覚には、ぞくっとする不穏さと同時に、どこか救いのような予感もありました。現実と幻想の境界がじわじわと崩れていくようで、続きを読まずにはいられません…続きを読む - ★★★ Excellent!!!現実に存在しうる小さな少女が持つ闇――それは物語とともにより深く
毒親、天涯孤独、施設、捨てたれた子供たち。この世には人を、世界を憎む子供たちが少なからずいると思います。
この物語に登場する主人公、真澄ちゃんは一気に家族を失い叔父に引き取られるところから始まります。
その生活は苦しくも悲しいもの。でもその中にも一筋の光があり、それに触れる真澄ちゃんには感情移入してしまいます。
そして、そんな少女にとあることがきっかけで深くなっていく闇。
プロローグから結末。そしてその結末に向かって少女、真澄ちゃんは向かっていくんだろうなと思うと、どうしてそうなったのかと「次どうなる?次どうなる?」と話数を重ねてしまっている自分がいました。
文章や構成やシンプルかつ情景が自…続きを読む