雪に覆われた坂道を歩きながら、高校生・祐希は自分の進むべき道を探していた。静かに過ぎていく季節、卒業していく先輩たち、残された部室の空気。文芸部の仲間と交わした言葉のすれ違いは、小さな傷のように胸に残っている。
春。入学式のざわめき、桜の香り、そして始業日。目まぐるしく移り変わる風景の中で、祐希の心は揺れ続ける。旧友との不器用な再会、からかいながらも寄り添ってくれる友人、そして本屋で偶然出会った少女の存在が、彼の内側に眠っていた書くことへの情熱や、まだ知らない自分の可能性に少しずつ光を当てていく。
これは、春の風に乗って始まる、新しい季節の物語。
言葉を紡ぐことが、誰かに想いを届ける第一歩だと、彼らは少しずつ思い出していく。
部活、友情、すれ違い、そして未来。静かな日常の中に、確かな変化が芽吹いていく。