人との違いや「うまくやれない」ことに悩む、高校生の瑠璃。彼女が仮想空間で再会した人は――。
近未来が舞台のSFですが、まず私が心を掴まれたのは、主人公、瑠璃の心の描写。
どうしても学校に通えない。人との交流がうまくできない。そして勉強も……という彼女の心の描写が、非常に繊細に、きめ細やかに描かれており、フィクションであることを忘れるほどに感情を揺さぶられます。
彼女が逃げ込む仮想学習空間、「シティ」で再開した元クラスメイトの碧も魅力的。
単なる王子様キャラではない彼。
実は……。
仮想学習空間『シティ』は、SFらしい雰囲気がありながらも、「今、ここ」の現実と地続きであることを強く感じさせるリアルさもあり、切ないような懐かしさもあり。
瑠璃と碧、そして二人の大切な世界『シティ』の今後が気になります。
これからも大切に読ませていただこうと思っています。