本作の舞台は天界、登場人物は人間の恋をつなぐキューピッド達。それは上位世界であって隣接する異世界とは違うんじゃないの? そんな質問は野暮です。
現代日本に生きる女性が魂をすくい上げられ天界に入ってみると…… それはもう、きらびやかな世界で。全てが麗しくて豪勢。やはり天界に上れる高貴な魂は、私達とは違う扱いを受けます。その扱いを疑似体験できるなんて…… これだけでお得な小説です。
それで、キューピッド達はお仕事にお忙しいでしょうし、御自身が恋愛という不確かな者に現を抜かすことはあるまい。そう思っていたら、実は恋をしています。
キューピッドの恋が、まぁ、その、下手なんですよ…… 人間の恋愛初心者と同じくらいに……
しばしば見られる、質問へのちゃぶ台返しがあります。素人が玄人に質問したら玄人が「それは私が聞きたい」と返すパターンです。
この小説は、正に上記のパターンです。恐れ多くも人間がキューピッドに「どうすれば恋が成就するのですか?」と尋ねると、キューピッドが「それは私が聞きたい」と返す、という。
その迷ってばかりの恋愛は、先ほど申しましたように、麗しくて豪勢な天界で展開されます。人間の恋愛と同じように迷ってばかりでも、それはもう、きらびやかで。人間の恋愛から見て、完全上位互換。
皆様、死に急ぐことはありません。本作で天界を疑似体験しましょう。
恋愛はご遠慮します! だってずっと昔から恋のキューピッドになりたかったんだから!
そう意気込むのは、98歳で大往生したおばあちゃん・珠美さん。ずっと行きたかった霊界に行ける日を楽しみにしていた霊界オタクで、恋のキューピッドになることを夢みるまっすぐさに応援せずにはいられません。
そんな珠美さんを支えるイケメンの教育係や、珠美に執着する謎めいた悪魔にドキドキさせられてください!
魂はおばあちゃん、だけど見た目は若いころに戻っているヒロインの奮闘記。
たくさんの人を幸せにするキューピッドのお仕事の裏側を、覗いてみませんか?
生前から霊界に興味があった珠美の幼い頃からの夢はキューピッドになること。
そのために清く正しく生きてきた珠美は、大往生してついに霊界に。
若い頃の姿に戻った珠美は、念願のキューピッドに志願。
美貌の上司・ヒカリエルの指導のもと、キューピッド修行を始めるが、悪魔もまた、珠美に興味を持っていて……。
お仕事物としての側面も持っていますが、そのお仕事が「キューピッド」というところが新しくて面白いです。
ずけずけと言ってくるけれども憎めない先輩に、キューピッドの独特な仕事の方法。
そしてヒカリエルと珠美にちょっかいをかけてくる悪魔ヤミとの因縁など、気になる要素がたくさんです。
気になる方はぜひお読みください!
高齢のため亡くなった、98歳のおばあちゃん、島村珠美。
亡くなってしまうなんて悲しいですけど、珠美さんは死んだ後に叶えたい夢がありました。
それは、天界で恋のキューピッドになって色んな人を幸せにすること!
生きてる時から、死んだら絶対にキューピッドになるって言っていた珠美。
家族は誰も本気にしてくれていませんでしたけど、こっちは大真面目です!
キューピッドとしての修行を開始しますけど、教育係の天使がすごいイケメンさんで、ドキドキ。
しかし天使に惹かれるだけなら良かったのですが、何故か悪魔に気に入られてしまう珠美。
はたして困難を乗り越えて、立派なキューピッドになれるでしょうか?
いくつになってもやりたい事があって、頑張る珠美がとても素敵でした!
本作のヒロインは、98歳で天寿を全うしたおばあちゃん・珠美さん。
人生経験豊富な彼女は、自分自身の幸せよりも、誰かと誰かを恋で結んで幸せにする道を選びます。
すなわち、恋のキューピッドを。
冒頭から、珠美さんのことが大好きになってしまいました。ポジティブでキュート。
死後に夢を叶えるため生きてきた真っ直ぐさに、すごく元気をもらえます。
キューピッドのお仕事や生活のシステムが面白いです。これなら私もやってみたい!
珠美さんの指南役についたヒカリエル様は、光り輝くイケメン。
ちょっぴり恋の予感もあり、まさかの三角関係あり……?!
いやいや、でもキューピッドは長年の夢だったから、恋になんてうつつを抜かしていられないっ!
私の推しはフィーネ先輩です。
自信家でプライド高そうに見えて、ちゃんと珠美さんの頑張りを認めてぐいぐい引っ張ってくれる、可愛くて素敵な先輩です。
恋模様も気になりますが、私は珠美さんとフィーネ先輩の女子バディ(?)の進展も気になる!
この続きも期待したくなっちゃう、楽しいお話です。ぜひご一読ください!
98歳でこの世を去った島村珠美は自分の夢を叶えるために天界へ。その夢とは、なんと、あの世で『恋のキューピッド』になることだったのです。
生きている間も、その夢のために真摯に努力して、徳のある立派な人生を送ってきました。
98年ものですよ。その根性、あっぱれです。
そして、いよいよ天界デビュー。
天界で待っていた亡き家族の説得にも応じず、彼女は自分の夢を語り、最後の審判でも珠美は言います。
「恋のキューピッドになりたい!」
この一途な主人公がかわいいんです。
天は彼女を夢をかなえます。そして、その夢に向かう彼女に、寄り添うような味方がいたのです。
この作品は、恋のキューピッドに憧れ、無事、念願が叶った珠美が、いかに夢を実現していくかという物語でもあります。
謎もあり、スリルもあり。そして、温かい愛情にあふれた作品。
物語では『真の番(つがい)』という謎のキーワードが暗躍していますが、そこは読んでのお楽しみ。
どうぞお読みくださいませ。幸せな気持ちになれます。
98歳で天寿を全うした、島村珠美さん。
死は悲しいことですが、そこまで行きたのですから精一杯この世の生を謳歌したのでしょう。
そして、ここからが彼女の新しい人生のスタート。
えっ? 死んだんだから新しい人生なんてないじゃないかって?
何を言います。ちゃんと、死後の世界という次の人生が待っているじゃないですか。
何を隠そう、他ならぬ珠美さん自身が、そんな死後の世界でお仕事するのをずっと夢見ていました。
そんな夢にいよいよ挑戦できるのですから、ある意味生きていた頃よりずっと元気です。
その珠美さんの夢というのが、恋のキューピッド。
人々の愛を取り持つという、あの天使。それになって、多くの人の縁を結ぶのです。
先にあの世に来ていた夫の、一緒に暮らさないかという誘いも断り、キューピッドとしての人生の始まり始まり。
珠美さんの前向きさと、やりたいことに向かって一生懸命なところに元気づけられるお話。
キューピッドとはどんなことをするのか、そこでどんな出会いと素敵な出来事が待っているのか、ワクワクさせてくれます。
時にはハラハラした展開も待っている中、珠美さんは一人前のキューピッドになれるでしょうか。
キューピッドガチ勢とはなんぞや、って思われたかもしれません。
私も果たして『キューピッドガチ勢』の表現であっているのかちょっと自信ないですもん(なのに書いたんか)。
いや、たとえ間違っていたとしても、ガチ勢って言いたくなるんですよ。
だってもうキューピッドへの意気込みが半端なくて!
というのも、本作のヒロイン珠美さんなんですけど、こちら、御年98でしてね。
えっ!?98歳がヒロイン?!大丈夫?!色々と!
心配になるでしょう。
ご安心ください。
享年です。
もっと安心出来なくなったって?
あっ、確かに。
こりゃあ私の書き方が悪かったですね。
あのね、こちらのお話、そこからスタートなんです。
98歳で天寿を全うした珠美さんが第二の人生をスタートさせる、というお話なのです。
だってあなた、それを言ったらあれよ?異世界転生と同じだからね?流れ的には。
あっちだって死んでるでしょうよ。トラックに轢かれるなどして死んでるでしょうよ。第二の人生始めてるでしょうが。
それが事故死か寿命かの違いだから。
さて、天寿を全うされた珠美さんなんですけど、彼女はむしろこの時を待っていた!とばかりにキューピッドに志願するわけです。もうね、そのために善良に生きて来たって言ってるから。彼女、生前からずっと、死んだらキューピッドになるから!って心に決めてたんですよ。そのために日々精進してたんですよ。なかなかいないですよ!?死んだ後のことを考えて善行積む人。います?そりゃガチ勢って言いたくもなるでしょう?!
それでですよ。
珠美さんは予定通り天界へ行って、そこでキューピッドになるためのアレコレがはじまるわけなんですけど。
いやもう、天界良すぎるな?!
え?マジでここ天国だな?!
まさに天国だなここ!
これならいつお迎えが来ても「まぁここに来れるならいっか~」ってなるな?!
もう天界が最高すぎて。
キューピッドのお仕事は思っていたよりも大変でしたけど、それでもこんな素敵なところで暮らせるならいまからでも私もいっちょ善良に生きてやろうかな?!なんて思ったりして。
ただ、そう、気になるのがですね。溺愛ですよ、溺愛。
まだね、天使は良いんです。同僚の方かな?それとも先輩天使と?!キャッ、なんてワクワクしてたんですけど、『悪魔』って!対極のやつよ!せっかく善行を積んでキューピッドになれたのに、堕天しちゃう!アカーン!!!
果たして珠美さんは悪魔からの誘惑を断ち切り、無事、キューピッドとしての第二の人生を謳歌出来るのか!?
こちら、安心安全の完結保障でございます!さぁ、共に見届けましょうぞ!
多くの人は死ぬのが怖いと思います。
けれど、この作品の主人公である島村珠美は98歳。人生を謳歌した彼女は、死んでもサバサバ。現世に未練などありません。むしろ、早く天界に行ってキューピッドになりたいと意欲満々。
珠美より先に亡くなった夫が「一緒に暮らそうよ」と誘っても、珠美の決意は揺らぎません。
読めば読むほどに、天界っていいね!想念の世界って素晴らしいね!キューピッド可愛いね!となりますが……。
それは珠美が生きていた頃に徳を積んだからであって、善行を積まなかった人間はそれなりの世界……なんですよね(^^;;
あの世の話としてもおもしろいし、キューピッドになった珠美の周囲で起こるなにやら不穏な出来事にハラハラしながら読んでもおもしろいです。
副題である、『天使と悪魔に溺愛されました』って……。
天使と悪魔って相反する存在ですが、どうなってしまうのでしょう!?
珠美は無事にキューピッドとして活躍できるのか、見守っていきたいと思います。