概要
この声を聞いた時、あなたはもういない。
十五歳の誕生日。止まっていたはずのスマートフォンが、不意に光を灯す。
表示されたのは、知らない番号と、たった一言のメッセージ――
「電話してください」
半信半疑でその番号にかけた少女の耳に届いたのは、十三年前に亡くしたはずの母の声だった。
なぜ、いま、その声が届くのか。
なぜ、自分は涙より先に「言葉」を探してしまうのか。
波音の届く丘に佇む、白い電話ボックス。
誰にもつながらないはずのその受話器は、今日も誰かの想いを未来へ運んでいく。
――これは、“さよなら”で泣く物語ではない。
“ただいま”と“おかえり”を重ね、未来へ進むための物語。
表示されたのは、知らない番号と、たった一言のメッセージ――
「電話してください」
半信半疑でその番号にかけた少女の耳に届いたのは、十三年前に亡くしたはずの母の声だった。
なぜ、いま、その声が届くのか。
なぜ、自分は涙より先に「言葉」を探してしまうのか。
波音の届く丘に佇む、白い電話ボックス。
誰にもつながらないはずのその受話器は、今日も誰かの想いを未来へ運んでいく。
――これは、“さよなら”で泣く物語ではない。
“ただいま”と“おかえり”を重ね、未来へ進むための物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!静かで穏やかで暖かい、心揺さぶられる物語。
電話しているとき、テレビ電話でもない限り相手の姿は見えません。
相手の声のトーンや口調から表情や感情を読み取るのですが、それは小説も同じです。登場人物の表情や感情を『読み取る』。
だからこそこんなにも深く共感してしまい、切なくなるんでしょう。
本作は小高い丘の上の、白い電話ボックスを中心に進む群像劇です。
電話線もない、電気も通っていない。普通なら使えないはずの電話ボックスですが、なぜかもう話せないと思った相手と通話ができる……。
姿が見えない相手を思いながら言葉を紡ぐ姿は、まさに感涙ものです。
静かで穏やかで暖かい、心揺さぶられる物語。
ぜひ一読をお勧めします。