学園を舞台に、生徒たちが「未知の敵」と戦う。その設定がやはり胸に響きます。
主人公の水月すみれは、授業中にエイリアンと思われる怪物が出現するのを見る。それが生徒の一人を捕食するが、ただちに学校の全員の記憶は「改竄」され、捕食された人間は最初からいなかったことになり、捕食者を目撃した記憶も消されてしまっている。
ただ一人記憶を保持していたすみれは、オカルト研究部の部長である石原彩夏のもとを訪れる。「サイキック」の一人でありテレパシーの力を持つ彩夏は、たしかに人の叫びをキャッチしたという。
捕食者はすみれは彩夏のようなサイキック相手には精神操作が通用しない。そのために恐れてもいることがわかる。そしてすみれたちは学園にいる別のサイキックたちを集め、能力を駆使して『捕食者』と戦うことに。
この感じ、眉村卓『ねらわれた学園』や平井和正『幻魔大戦』などの作品を思い出させられました。未知の敵に対抗するため、少年少女が超能力などを武器に必死の戦いを繰り広げる。
SFジュブナイルとしてかつて一世を風靡した作風。それを思い起こさせられる雰囲気がなんといっても楽しいです。
物語が進む中で現れる「山田太郎」というキーパーソン。捕食者にかつて滅ぼされた星に住む別の宇宙人。彼の駆使する科学技術も味方し、更に戦いは激化することに。
それぞれの持つ超能力の特性。そして途中で明かされる「すみれの能力」による意外な展開など、一筋縄ではいかない敵に対し、すみれたちもまた諦めずに立ち向かっていく姿が印象的でした。
果たして、この強大な敵にどうやって勝利を掴むのか。目の離せない作品です。