丘の上の画家は灰色の伯爵に恋をする

絵画魔術を宿す娘・ルリと伯爵ジークフリートの物語。

他の方も指摘されてますが非常に美しい文章で綴られています。叙情的な比喩を多用しており、読むものを陶酔の境地に誘います。

ジークフリートとルリが結ばれるにあたって、年上すぎることにたいするジークフリートの悩み、ルリの年下の女としての悩みなどが丁寧に綴られていて大変どきどきしました。
このじれじれした二人がどう結ばれていくのか……
物語展開も上品で、激しく緩急がつくというものではなく、じわじわと進んでいく感じがまた良いのです。

クライマックスは大変壮大な話になっていて気付けば泣いてしまっていました……。

人の命とはなんだろう。
そう思わ…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（266文字）

　この小説は絵画を主題に置いていることと思いますが丁寧で上品な文章表現がとても素敵で美しいです。
　丁寧に時間をかけてじっくりと読みたいと思わされる絵画のような小説です。

言葉のひとつひとつが繊細で、幻想的な世界に静かに吸い込まれていくようでした。
花の描写から始まり、会話もすべてが“静かな重厚感”に包まれてて、気づいたら読み終わってました。

読んでいるこちらの感覚まで研ぎ澄まされるようでした。