この世界の魔法使いにはランクがある。
お人好しのウェネーフィカは、卒業試験で人のために魔法を使い、最低ランクの赤帽子を渡された。
しかし、見る人が見れば彼女の実力はすぐに分かる。彼女は魔法研究所に引き抜かれ、そこで魔法を磨く修行を経てランクアップの試験を受ける。
面白いのは、各話に寄せられたコメントに、マッチョを期待するものが多数あり、だんだんと作者がそれによって行くところだ。
果たしてそれが初めから意図されていたのか、それとも作者のマッチョ魂がコメントによって触発されたのかは、作者にしか分からない。
テーマはあくまでも人の良い魔法使いウェネーフィカの成長物語であるが、真面目なストーリーにマッチョ要素を添加することで、コメディ感が出て来て楽しめるストーリーになっている。
繰り返しいうが、マッチョはテーマではない。
ただ、マッチョ愛溢れる作者とマッチョ大好き読者の強い絆がこの作品の中には確実に流れている。
児童文学作家を目指しているまめいえさんらしい、心優しい魔法使いの物語、おススメです!
主人公が本当に「良い子」な感じで、それがとにかく応援したくなります。
主人公のウェネーフィカは魔法使いを目指す少女。学園の中でもトップの実力を持ちながら、優しすぎる性格を持つがゆえに周りを助けることに力を注ぎ過ぎてしまいます。
その結果、自分の試験の成績はガタガタに。
学園は卒業できるものの、ウェネーフィカは合格者の中では最低ランクの「赤い帽子」を与えられることに。
けれど、そんな中でウェネーフィカは不思議な声を聞くことになります。声の主は「ルーシア」という、かつて闇の魔王を封印したという伝説の魔法使い。
これから再び闇の魔王が動き出そうとしているため、ウェネーフィカにそれを倒す手伝いをして欲しいと言われます。
ここからどんどん物語が動いていくことに。
才能には恵まれているけれど、性格ゆえに損も多く、不遇な立場に置かれるウェネーフィカ。そんな彼女がその心持ちと本来の実力ゆえに、少しずつ周りの人々に認められ、支えられるようになっていく。
この過程が本当に爽快です。「世界名作劇場」のようなほのぼのとあたたかい雰囲気も味わえるし、魔法でのバトルの時には冷静に状況を分析し、的確に難所を切り抜けるという緊迫感も見せてくれる。
その後に登場する「強烈な魅力を持った仲間たち」と、闇の魔王に関連して発生する不穏な事件。
壮大なストーリーと、どんどん成長していく主人公。まさに「冒険」している感じをしっかりと味わえるワクワクな物語です。
ウェネーフィカは魔法使いだ。
お人好し過ぎて損することもあるけど(冒頭いきなりやらかしているけど)、味方になって助けてくれる人もいる。
でも、ウェネーフィカにとっては損得は重要ではないのだ。
「魔法は誰かのために使うもの」それが両親の教えだから。
ウェネーフィカも、それを信じているから。
そんなウェネーフィカの歩みが世界の運命を変えていく
一歩一歩は小さいけれど。
女の子の「魔法」と「心の成長」をたどる優しい物語。
是非、その心の歩みに共感して欲しい。
現在、昇格試験編連載中。
登場するのは、実力派、マッチョ、問題児、いろいろなライバル。
やっぱり少年漫画伝統の試験編は面白い!!
良い意味で全体的に緩やかな雰囲気に包まれており、どこか童話や児童文学のような穏やかなお話に感じられます。
毒がないと言いましょうか、読んでいて辟易するような疲労感を感じることが非常に少ない、「子供に語り掛けるような目線」が保たれているかのようです。
これがまた実に落ち着きます。
尖っていて派手な展開はあまりないため、最近の流行り物を追っかけている方には物足りなさを感じるかもしれませんが、私個人としては、この穏やかで肯定的な気分に浸れる物語の足運び、そして根底にいつも感じられる温かな希望の雰囲気、結構好みです。
是非とも温かい飲み物を用意して、ゆったりとした気分でお読みください。
静かに綴られた物語が、まるで夜更けに窓辺で灯る蝋燭のように、私の心にそっと火を灯しました。
「赤い帽子のウェネーフィカ」――その第1話『卒業試験』から第4話『継承者』までを読ませていただき、胸の奥にじんわりとした温もりが宿るのを感じています。
魔法学園という幻想的な舞台。そのなかで描かれるのは、きらびやかな勝者の物語ではなく、静かに誰かを支えようとするひとりの少女の姿でした。
ウェネーフィカ。
彼女の行いは、たった一つの大きな成功よりも、何度も繰り返された小さな優しさでできていて――けれどその優しさこそが、見えないところで世界を支えているのだと、この物語はそっと教えてくれたように思います。
卒業試験という節目の日。自分の未来がかかっている大切な日に、彼女は仲間たちのために魔力を使い果たしてしまう。その「お人好し」な振る舞いは、時に笑われ、軽んじられてしまうことさえあるかもしれません。
けれどその手は、確かに多くの心に触れ、支えていたのだと……物語は、彼女の「赤い帽子」という評価とは裏腹に、読者の胸に静かに証言してくれます。
やがて明かされる「継承者」としての使命。
伝説の魔女ルーシアから託された思いは、きらきらと眩しくも、どこか切なく。
光の届かない場所で静かに息づいていた千年の記憶が、ウェネーフィカという心やさしい少女の中に再び目を覚ます展開には、まるで夜空のどこかに、またひとつ星が瞬いたような感動がありました。
継承とは、力を受け取ることではなく、想いを受け継ぐこと。
そう感じさせてくれる描写の数々が、柔らかな言葉で、でも決して逃げない芯の強さとともに紡がれていることに、深く心を動かされました。
まだ物語は序章――。
けれど、この赤い帽子の少女が、これからどのような道を歩んでゆくのか。
傷つきながら、それでも誰かを守るために魔法を使おうとするその姿に、私はこれからもそっと寄り添っていたいと思いました。
拙い感想ではありますが……
この物語に出会えたこと、ご縁に心から感謝を込めて。
また、そっと続きを読みにまいりますね。
(*´-`)🌸