霊感系主人公が「株式会社」を設立して怪奇現象を"事業として"解決していく、というユニークな設定に一気に引き込まれた。
スマホカメラで霊を可視化したり、電気機器で退治したりする現代的なアプローチが斬新で、従来の除霊ものとは一線を画している。何より主人公の永吉が、霊と対話して和解を目指す姿勢が温かく、読後感がとても良い。
コメディ要素もバランス良く散りばめられていて、シリアスになりすぎない絶妙な塩梅。政府の秘密機関も絡んできて、今後の展開がめちゃくちゃ気になる。
現代ファンタジー好き、お仕事もの好き、どちらにもオススメできる作品
心霊現象、超常現象などの怪異を専門とする会社を立ち上げた主人公。
霊や妖怪の存在を感知し、スマホを使ってその存在を顕わにする。そして霊の声を聞き、次々と怪異の起こした事件を解消していく。
株式会社怪奇現象総合研究所。
そんな彼の前に、同じように怪異の存在を感じ取り、より強い力を持つ少女が現れてーー
軽妙な主人公と登場人物達のやり取りが面白く、テンポよく物語が進んでいくため、次々と読み進めていくことができます。
怪異は必ずしも悪ではなく、超常現象の後ろには、きちんと理由となる背景がある。主人公の性格からか、事件の解決には爽快さがあります。
次第に大きな事件に巻き込まれていく彼らの行方に目が離せません。
皆様もぜひ!
幽霊? 未確認生物? 異次元現象?
「そういうの、大好きなんで」――
どこか飄々とした口調でそう語るのは、株式会社怪奇現象総合研究所、通称「怪研」の若き所長・小朝日永吉。
法人登記されたばかりのこの小さな会社は、まだホームページすらないが、目に見えない「何か」と戦う最前線だ。
最初の依頼は、空き店舗に漂う黒い影。
スマホ越しにしか映らない、亡き店主の未練。
続いてやってきたのは、仮想通貨のパスワードと「押し入れの幽霊」。
さらに──焼け落ちたビルの亡霊が、怒りと絶望の残滓を今もこの世に留めていた。
専門知識と霊感、そして「ちょっとだけ」便利なスマホを武器に、永吉は現実と怪異の狭間を今日も駆ける。
胡散臭くて頼りなくて、でも不思議と人を惹きつけてしまうその姿に、不動産屋の宅見健司も巻き込まれていく。
これは、都市の片隅で本当にあったかもしれない「霊的スタートアップ」の物語。
会社経営 × オカルト × 日常ミステリーが織りなす、新感覚・怪異ビジネス録、始動。