概要
そばにいてくれるだけで、生きていける。
狭山晴彦は、就職をきっかけに地元に戻ったことで葛西陽一と再会した。数年後、狭山の月面都市への転勤の辞令と同じタイミングで葛西が職を失ったと知って、狭山は月面都市への移住に誘う。ふたりでシェアハウスして始める、新しい暮らしのなか、狭山は葛西が抱えていたものを知る。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!月の上でのささやかな暮らしを君と
月の重力は地球の6分の1らしい。心の重力もその分軽くしてくれるような、そんな優しい物語です。
月面都市に移住した二人の話。
同級生だった二人は地元で再会し、仕事の都合で月面都市へとともに移住する。
ささやかな生活は決して劇的ではないけれど、そこが月の上というだけで描写一つ一つがロマンを感じさせます。
説明も必要最低限で、物語と舞台が綺麗に融合していて違和感なく夢中になれました。
特に、月面ならではの雨の描写…!これが本当に素敵だった…!
そして宇宙での危険な仕事に従事する人々が利用する「遺言管理センター」という仕事がとても印象的でした。何もかもが新鮮なのに、以前から知っている世界…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最後の手紙が凄まじく良い。本当に。
端的にいうとめちゃくちゃ良かったです。
BL作品を好んで読む方ではないですが、葛藤が滲むものは男女の恋愛に限らずかなり好きでして、こちらの作品は「地球」という日常、常識、自制心、という場から「月」という非日常空間に移動することで徐々にお互いの理性のたがが緩み、生の感情が漏れ出る過程が丁寧に描かれています。
若々しく激しい恋愛ではないです。
色んなものを失いながら、それでも一人で生きていくしかなかった二人がその悲しみを埋め合うように、かつての恋心を確かめ合うように、静かだけれど深い愛のやり取りがとても心に響きました。
思い出の食事がうどんなのがまたいいんだ…。
そして特筆すべきは最後の…続きを読む