これねえ……すごくわかるんですよ。
主人公は、主婦なのかな?
息子はそれぞれ巣立ち、孫の顔も拝んだ。
夫もずっと、そばにいてくれている。
バブルは知らないけれど、たいそれは欲はない。
幸せだ。
しかし、夫の体調に変化が。
病気で胃の殆どを切除。今度は、生きるために切実になっていく。
はてさて、長生きのコツとは?
宮本先生のシンプルで鋭い言葉は、この切実なテーマの核心をついているのではないかと思います。
と言うのも私にも経験があるからです。
とある会社の社長が、今年九十一歳になります。
ノーマルな九十一歳だったら、今頃施設暮らしか、穏やかな余生を送ってらっしゃるんですがね……
彼は違うんですなー深夜まで飲み歩いて、両手には若いチャンネエを座らせて。酌させて。
そんで年に一回は演劇やってるつってんだから!!
それ聞いて、俺の親父の十個上!? ほんとかよ!? と驚いてしまいました。
つまり、人間最後は性欲なのだな。と、悟ったものにございます。
……
生きていく上での知恵とヒントたりえるかも?
ご一読を!
今、生きていられるのは、その時はとてもつらかったけど、過去があるおかげだなと、いくつになっても考えることがあります。
この小説の最初の子育て中に起きたハプニングも、その時はきっと大変だったろうと思います。
その後、月日が過ぎて大変な試練が彼らを襲った時、「欲」について触れています。
わたしは介護の仕事をしていますが、高齢者の方々を見ていると、今日までに一体何が起きてどんな過去があったのだろうと、よく考えます。
そして、その方々を見ていても感じたのは「欲」でした。
感情が乏しいのは、その欲がないからですか?
自分はもう「欲」を手放したのですか? と私自身にも問いかけられた気がしました。
素晴らしい作品です。
オススメいたします。
『欲』があるから人間は行動します。
アメリカの心理学者マズローは、人間の欲求を5段階に分けて説明しました。
その中でも食欲、性欲、睡眠欲などの生理的欲求が全ての欲求の中で優先度の高い欲求であると論じています。
生理的欲求は、生きていたいという欲求なのです。
主人公の夫は、隠居生活に入ってから考えることをしなくなった。
そんな夫のために、妻は一計を案じた。そしてそれは奏功した。
3人の子どもを育て上げて、ひと通りの幸せを手にした後、残された人生も楽しく張り合いのある人生にして欲しい。そんな夫への愛溢れる妻のひと工夫。
優しい宮本さんの渾身の夫婦愛の物語を堪能してください。
これは、とても沁みますね。
「生きる喜び」というもの。
主人公は、平和で幸せな毎日を送っていた。しかし、夫がある時にステージ4の胃がんにかかっていることがわかってしまう。
夕飯を食べている最中に「明日の夕飯は?」と聞いてくるくらい、食事をとることが大好きだった夫。そんな夫との穏やかな日々が壊れてしまう。
だから、それを取り戻すために彼女は「あること」を思いつく。
日々の楽しみ。その代表格が毎日の食事。美味しいものが世の中にいっぱいある。そして、自分の知らなかったおいしいものもたくさんある。
ご当地ものとか、海外のものとか、あとはちょっとした味付けを変えたレシピとか。
ちょっと見方を変えると、日常が一挙に楽しいものに見えてくる。そして、普段の日常がいかに尊いものかが見えてくる。
「生きていられることの喜び」というものを再認識させられる物語ですた。