誰にでも見えない孤独があり、誰もが心に純粋さを持っている。そして誰もが何かで自分を抑圧する。中年主人公・憲夫の中にいる“自分”を見つけたとき、不器用な恋は眩い青春ストーリーへと色づきます。まずは最初の1ページをめくってみてください。素朴で衒いのない読み味。きっと沁みてくる夜があるはずです。手に取るのは、いつだって“遅くない”。
タイトルに『遅くない恋心』とあるように、四十代の男女の恋愛を描いた作品です。自分に自信がない主人公が、SNSを通じて恋心を抱くけど、自分に自信がない故に「自分なんて…」と卑下してしまう癖が出てしまう。そんな主人公にも、諦めようとする悪い癖を正してくれる親友がいる。恋愛や友情は、何も若い時だけの特権じゃなく、年を取っても存在するんだぞ!ということを感じられる作品だと思いました。若い人も、年を取ってる人も、読めばどこか共感できるところがある作品だと思います。オススメです!
恋愛に年齢って関係ないのです。若い世代とはまた違った独特の距離感、これはその歳にならないと分からないのかもしれません。歳とともに、人間って臆病になるもの。そして、幼いころの心のストッパーがそう簡単には外れなくなるもの。そんな心の葛藤を主人公の視点で深く描いている。大人の恋愛小説を読みたい方にお勧めします!
SNSで芽吹いた勇気が、現実の“一歩”に化ける。“間”と“手ざわり”で物語を動かす大人の恋物語です。自己評価の低い男性が、SNSでの小さな往復(いいね・引用・短文)が“勇気の種”になって、現実の一歩を踏み出す物語。ただしSNSは“目的”じゃなく触媒。視線の泳ぎ、ことばを飲み込む一拍、差し出された小さな好意——その積み重ねが、いつの間にか心拍を上げていく。比喩を抑え、所作で語る筆致だから、読み手が自分の記憶をそっと重ねられます。