第7話
「ふふっ。これからは…そういう関係だよ?
えっちしちゃうくらいに仲の良い友達。」
家へと向かう帰り道、歩きながら…先輩が言った言葉が、胸の痛みと一緒にずっとリフレインしてる。
「真夜…先輩…好きです。」
そう伝えた僕の気持ちは…嘘じゃなくて。
先輩に惹かれていた気持ちは…
ずっと心の奥底に在った。
でも由良が好きだったから。
抑えてきた気持ち。
由良の浮気を知って…先輩に相談した時、
僕は…本当は…先輩とこうなるコトを望んでいたんじゃないだろうか…
由良を取り返したいなんて言いながら…
それを否定してもらいたかったんじゃないか?
思考がグルグルと回って…
「幸せだったな…」
先輩と身体を重ね合わせた時のコトを思い出して…思わず言葉が口から溢れた…
行為のあと…先輩に、
「もしさ…まだ言ってない気持ちあるなら…聞いてあげるよ?」
そう言われて…
1度話し始めたら…止まらなくなってしまって…
小っちゃな頃からの思い出。
ずっと好きだったコト。
ずっと変わらないって。
「うん、うん。」
ただ頷きながら僕の話を聞いてくれて…
人前で泣くのは、
情け無いって思っていたのに…
「いいんだよ?大丈夫だから。」
そう言われて…
先輩は僕を抱き締めてくれて…
話しながら、涙が止まらなくなって…
先輩の胸の中で…
ただ泣くだけになって。
「うん、うん。辛かったね。」
そう言ってくれた先輩の声が…
まだ耳に残ってる。
''仲の良い友達''
ズキズキと痛む。今は…コッチの方が痛い…
帰る途中で、
昔…由良とよく遊んだ公園を通った。
付き合い始めてからも、よくこの公園のベンチに座って…色々な話をしたな。
由良の浮気を知った時…
悲しくて、辛かったけれど、不思議と怒りはなかった。
きっと先輩にずっと惹かれていたから。
好きという気持ちを…
天秤にかけるような真似を先にしていたのは僕の方だったから。
免罪符
そんな言葉が浮かんだ。
由良の家の前を通る時、彼女の部屋を見上げた。
まだ灯りがついていて
僕はボソッと小さく…
「由良…ごめんね。」
僕が先に君の心を裏切っていたからなのか
先輩と身体の関係を持ってしまったからなのか
それとも…
まだちゃんと君に向き合えていないことに対してなのか
僕はまだ何も分からないままに…
彼女の部屋に向かって謝った。
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